江東区長・山﨑孝明が望む大豊洲、なるかIR(統合リゾート施設)

【ビジネス・社会考察】 平成二十八年十二月十四日に参院(議長:伊達忠一)本会議にて、一部修正された衆法『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(IR推進法案)』が賛成多数で可決。衆院(議長:大島理森)に回付され、三日間の再延長し十五日に可決・成立した。修正内容は「ギャンブル依存症等の防止」の明示等。参院では民進・小川敏夫 参議が「議長不信任決議案」を提出。伊達議長のリーダーシップが足らない事を理由とし、選挙制度の抜本的見直しに向けた取り組みを行わなかった現状を訴え、IR法の賛成会派に対抗した。本議案は否決。

衆院では野党四党が「内閣不信任決議案」を提出し、否決された。


IR(統合型リゾート施設)は横浜市と大阪府・大阪市が有力地となっているが、東京は五輪主要地の江東区(区長:山﨑孝明)が名乗り出る。江東区議会は本年の第一回と第三回定例会において、山﨑区長に対しIRについて問い質した。第一回では鈴木清人(民進)区議が本区のスタンスを問い、「早い時期に整備決断を求める。」と。第三回では伊藤嘉浩(維新)区議が東京のIRについての経済成長をリードする気概を質し、「国際観光の拠点化が見込まれる臨海部に整備する事で、高い相乗効果が期待でき、今後は実現不可欠であるIR推進法案の審議状況を注視していく。」と山﨑区長は答えていた。



<都知事も前向きなIR>

 先の五輪三施設の建設問題の内、ボート・カヌー会場「海の森水上競技場(青海)」と水泳会場「オリンピック・アクアティクスセンター(辰巳)」を予定通りに決定した事を、山﨑区長は喜んだ。山﨑区長は移転に反対し、積極的に活動を行っていた。小池百合子(自民)都知事の初黒星となった事案である。残るバレーボールも「有明アリーナ」で本区が絡み、予定通りとなる見込み。都議会のドン・内田茂(自民)都議と懇意にしている山﨑区長は、息子の山崎一輝(自民)都議を預けている。詰まり、小池都知事の対抗勢力サイドとして、最後の砦が山﨑区長とも云える。


昨年に三期連続で当選し、十九年から五輪一年前の三十一年迄が実質任期。本区民からの信頼は厚い。二日の定例会見で小池都知事は、東京新聞のカジノへの考え方と誘致に関する問いに、「東京都とすれば、どうあるべきなのかという事については、検討していきたいと思っております。そして東京都として、どうあるべきかという事は、その中身がどんな議論になっていくのかという事も含めて、対応していきたいと思っております。それからやはり観光振興ということが東京にとりましての一番大きなポイントではあるかと思いますけれども・・・どの様にすれば一番よい形で東京都としてできるのかについては、引き続き検討を進めていきたい。」とIRに前向きな検討姿勢だ。



区長の手腕

 以前は港区(区長:武井雅昭)の台場が、フジ・メディアHD(代取:日枝久、嘉納修治)と森喜朗(自民)衆議のバックアップで挙手していたが、当時の舛添要一(無所属)都知事のカジノ反対により略頓挫。武井区長の手腕に限界があった。一方の江東区は、北東部にある亀戸・大島の再開発や地下鉄「東京八号線延伸(豊洲-住吉)」「東京十一号線延伸(住吉-四つ木)」等も控えており、上昇トレンドだ。後者は東京直結鉄道の構想の核であり、埼玉・千葉・茨城を繋ぐ。豊洲エリアは本区の臨海部。


本年度の当初予算は二千九百億円。直近十年で増加の一途だ。一日現在の人口は五十万六千人。若い人の流入が止まらない。当初は五輪開催時で四十八万人に達すると予定されていた。如何に江東区への流入が多いか分かるだろう。IR推進法は、認定されたエリア(自治体)に多大な経済効果を齎す。カジノ施設だけでなく、ホテルや劇場等の新開発があり、周辺ビジネスも勃興する。豊洲新市場が浮遊する中で、IRが落とし所となれば、大豊洲が生まれるかも知れない。

今後一年以内に、「IR実施法案」が国会に出され、成立した後に本格的なスタートとなる。


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