【芸能ニュース】 松竹ブロードキャスティング(代取:井田寛)とアーク・フィルムズ(代取:上野廣幸)は平成二十八年十二月十日に東京・新宿にて、原作・脚本がみうらじゅん(戊戌)で監督は安齋肇(癸巳)の映画『変態だ』の初日舞台挨拶を行った。みうらと安齋、シンガソングライタ・前野健太(己未)、元宝塚で女優・月船さらら(乙卯)、S女優で歌手・白石茉莉奈(丙寅)、真心ブラザースの桜井秀俊(戊戌)、芸人・ウクレレえいじ(丁未)が登壇した。本作では宮藤官九郎(庚戌)も出演している。
小泉今日子のツアーパンフ等を手掛けてきた安齋が、監督を本作で初めて務めた。安齋監督はソラミミストとしても有名だ。みうらは自身による造語「マイブーム(一九九七)」を流行させた。そんな両名による青春ロックポルノ映画が、本作。非常にテンションの高い舞台挨拶となった。開始時刻になっても姿を現さない安齋監督に代わり、みうらが熱弁。「(安齋監督とは)三十何年付き合ってるんですけれども、大概、飲み屋で決めた打ち合せを守るか守らないかで喧嘩してたんですけども、今回はちゃんと守って撮って頂いた。」と映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」「レヴェナント: 蘇えりし者」を意識しながら制作経緯を述べ、本作での安齋監督のセンスを褒め称えた。
<問題作に臨んだ演者の気持ち>
登壇者が一通り挨拶を終えた頃に安齋監督が鞄を持ったまま、スクリーン前に走り込んで来た。本作のモノトーンのOPについて「あれはですね、通称“ちんかめ”って言いまして。主人公を前にして観る人が思ってくれたら良いな。」と最前列の人(撮影している報道陣)が拍手をしてくれないとボケながらも、自身の芸術感を伝えた。
主演の前野「その男」役は独特だった。芝居の様なコメントは「(監督からの)オーダーは特に無かった。緊縛の先生がいらして。織田信縄 先生って。『変態だ』って魔法の言葉なんですよね。ロックと一緒なんです。危ない局面で『変態だ』と唱えると勇気が沸くんです。」と先生に素質を褒められた点を主張しながら、ある種の人生観を述べた。
元宝塚(月組)の月船は愛人役を演じた。「お二人(安齋とみうら)じゃないと、とても受けれないなって思う位、不安が一杯でした。私、綺麗な所からやって来ているんで。クリーンなイメージで十年間、頑張ってきたんですけど、引き戻された。」とオファー時の葛藤、覚悟と喜びを伝えた。月組では王子様役を月船は演じていた。
妻役を演じた白石は「苦労するなと思っていたんです。けど前野さんとキスが合って、何の不安もなく挑めたので感謝してます。」と本業とは異なる銀幕演技を意識し、乗り越えた旨を伝えた。音声はアフレコ。桜井は飲み屋で出演が決定し、数日後に撮影した。演奏にも参加している。
描写の幅広さにも注目
本作は画的にも、音的にも力が入っている文芸的な作品だ。撮影監督には、ロック カメラマンの三浦憲治。エリック・クラプトンや矢沢永吉、井上陽水、松任谷由美等のアーティストを撮ってきた。音楽監督には、ドラマーの古田たかし。吉川晃司や奥田民生、スキマスイッチ等のレコーディング、サポートメンバとして活動する。前野はシンガソングライタ。ドキュメンタリ映画「ライブテープ(二〇〇九)/SPOTTED PRDUCTIONS」で主演し、「第二十二回TIFF」のある視点部門でグランプリを受賞。近年はフジロック等の大型フェスへ出演している。
最後に「飲み屋で決まった事が、実際にピカデリで上映できる事に、凄い喜びが溢れています。皆さんどうぞ、プラスな方向で拡散して頂きたい。」とお願いした。
初日の同日公開数は六館となった。
=物語=
一浪の末、都内の二流大学に進学した男(前野健太)。
特別な才能があるわけでもない普通の男は、偶然入ることになったロック研究会でのバンド活動を契機に、ミュージシャンとしての道を歩みだす。
やがて結婚し、妻(白石茉莉奈)と生まれたばかりの息子とのごくごく普通家族生活を送っているが、実は学生時代から続く妻以外の女・薫子(月船さらら)との愛人関係を断てずにいた。
そんなある日 、地方の雪山でのライブ公演の仕事が入り、愛人を連れて旅行気分で出かける男。そしてステージに立ったその時、彼の目に飛び込んだのは、妻の姿!?
極寒の雪山を舞台に物語は衝撃のラストに向けて走り出す。
=クレジット=
©松竹ブロードキャスティング
十二月十日(土)より新宿ピカデリー他、全国順次公開
映画『変態だ/松竹ブロードキャスティング㈱、㈱アーク・フィルムズ』初日舞台挨拶
記者:荒田雅×撮影:金剛正臣
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