日本の教育界を変える|財政健全化に向けた建議

【教育・財政報道】 令和三年五月二十一日に財審(会長:榊原定征)は、『財政健全化(政府黒字化)に向けた建議』を取り纏めた。本建議ではシニア世代の財政支出を抑える一方、子育て世代(少子化対策)への安定財源を求めた。


「医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も検討する余地があるのではないか。」「少子化対策の安定財源確保のあり方については、税財源の検討のみならず、こうした事も含め幅広く検討を行っていくべき。」


本建議では教育に力を割いた。日本の「一人当たりの教育支出」はOECD諸国と遜色ない水準で、「国民負担率」はOECD諸国の中で低い水準。しかし、少子化は止まってない。財審はA「量から質へ」、B「エビデンス重視」とC「人材の流動化」の三点を挙げた。


Aでは、予算のより効率的で効果的な使い方を議論する事の重要性を説く。教員数や公的支出額等の“量”は、教育政策や科学技術政策の目的を達成する為の手段。“質”は、教育や研究が目指す成果。


Bでは、学術的な知見も踏まえてデータを整備し、研究者が活用可能な形でデータ提供を進める事も必要と説く(例;少数学級制等)。


Cでは、教育・研究の質を向上させる観点より、義務教育段階から高等教育段階に至るまで、同質性が高く閉鎖的な教育・研究組織を開放。ダイバシティを意識し、人材の流動性・多様性を高めるべきとした。


<学校運営に問題アリ>

  令和三年度から五年掛け、小学校の「三十五人学級」を導入する(『義務標準法』)。同時に、学力影響(いじめ等も含む)の研究や質の高い教員確保(教員免許制度等)の検討を行う。


日本の教員の負担状況を分析すると、「年間授業時間数」は主要先進国の中で低水準であるが、保護者等への対応や政府・教育委からの各種の調査への対応、部活動の指導等に負担を感じており、事務の効率化と外部人材の活用を含む働き方改革を進める必要があると指摘。


中学校における休日の部活動を段階的に「地域移行」するとの文科省の方針を早期で実施し、平日の地域移行も推進したい。


教員の質を確保する為、新卒採用のみならず「中途採用」の重要性が益々高まっていると訴える。教育委による「特別免許状」の授与件数も極めて少ないので、一定の基準を満たす民間企業等勤務経験者に対し、国が免許を授与する等と抜本的な方策検討を求めた。


教育のIT化における次の段階は、ティーチングからコーチング。一斉授業から個別的授業へと舵を切りたい。IT系民間企業との連携で教員の能力を向上させる。同時に各学校が自らの業務実態を把握し、ITの利活用等による校務の効率化を含む「学校BPR」を進めていく必要性を訴えた。学校長等のIT力向上である。



大学を成果主義に

 大学の内、国立大学の教育・研究の質の向上に繋がる大学間、大学内の「配分(使い方)」こそ重要な論点とする。各大学の無個性の問題だ。大学内配分では「共通の成果指標による相対評価」の活用・浸透・改革を期待する。成果主義化(卒業生の進路・所得等)。


日本の研究力については時限「大学ファンド」により、国の資金で抜本的な研究素地を改革する。世界に伍する大学が日本に欲しい。現状は「THE世界大学ランキング」の通り、日本の大学レベルは相当に低い。一重に、大学マネジメントが悪いだろう。



現在の教育界(地方議員も含む)は男性でも女性でも、異質を排他し過ぎる傾向がある。決して歓迎してない。結果、現場の教員は疲弊し、本当に大切なものを教えず、学校も各不祥事の通り、責任を押し付け合い、真に子どもの為になってない。大学も保身・無難・閉鎖性を重んじ、真に学生の為になってない。学問は挑戦そのものである。


原因は、教育関係者達が異質の価値観を受容しない聴く耳をもたない点だろう。異質のみが改善・改革できる。同質では改善・改革はできないもの。


画像:参考資料2/財務省、参考資料3/同

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