三権の長が憲法七十周年の初めに記したこと

【政治ニュース】 司法・立法・行政の三権の長は、憲法施行七十周年となる平成二十九年の元旦に年頭の言葉を公表した。



司法府

 長である最高裁判所長官の寺田逸郎(戊子)は、「新年のことば」として、東日本大震災等の自然災害からの復興より始めた。経済成長への期待が薄まっているとし、社会の落ち着きが失われ、共有できる理念が痩せ細っていくと懸念を隠さない。司法にとっては、新たな環境変化が迫りつつあると警戒。「裁判所の底力が問われている」と裁判官を含む裁判所の職員に向けたと思われる檄を飛ばす。


昨年の刑事訴訟法等の一部改正や施行九年目を迎えた裁判員制度に触れ、準備と配慮、工夫を求めた。裁判官に対しては、部や庁を跨ぎ、協議の場等で率直な意見交換をする文化を根付かせる必要性を説いた。これには相互批判も含まれている。裁判所の組織としては、女性を活かす方策を進め、情報セキュリティ確保の強化等に取り組んでいく。




立法府

 長の一人である参議院議長の伊達忠一(乙卯)も、「年頭所感」として自然災害から始めた。現行憲法と同時に創設された参議院も七十周年となり、その間、衆議院の補完・抑制・均衡の役割を担ったきたとした。諸外国の選挙や国内の課題山積の今の時代を“うねりの中”と表現。世界平和の実現に向け、「良識の府」として尽力していく。

※参議院の創設前には、大日本帝国憲法下において、皇族・華族・勅任議員によって構成される「貴族院」があった。解散は無く、議員の任期は終身か七年であった。


 もう一人の長である衆議院議長の大島理森(丙戌)は、「年頭の辞」として国民への祈りと皇室弥栄から始めた。先の臨会では注目法案が審議に付された点に触れ、充実の審議と与野党合意への真摯さを挙げ、議会制民主主義の基本を説いた。本年から新選挙区割りとなり、今後も人口変動に即して見直していくとした。併せて、立法府の在り方についても議論を深める。

昨年八月の天皇陛下の「おことば」を受け、努力をする。




行政府

 長である内閣総理大臣の安倍晋三(甲午)は、「年頭所感」として、昭和天皇の御製から始めた。

わが国の たちなほり来し 年々に  あけぼのすぎの 木はのびにけり


戦後復興を遂げ、昭和天皇がお詠みになられた和歌だ。当時の社会を振り返りながら、現状の課題に安倍内閣が取り組んできた事を主張。決して諦めず、未来への挑戦を続けていく。憲法七十年の節目の件では、第四十七代・芦田均(丁亥)元総理の言葉を挙げ、先人達が戦後から経済大国にのし上がった事実を記し、未来への責任を果たすべく「希望の光」を子孫に与えなければならないとした。


私たちの未来は、他人から与えられるものではありません。私たち日本人が、自らの手で、自らの未来を切り拓いていく。その気概が、今こそ、求められています


一億総活躍社会と積極的平和主義を掲げ、子ども達が未来に希望をもてる日本を創ると意気込む。本年から新たな国造りを本格的に始動する。


撮影:岡本早百合

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