荒れた「都議選」は『中選挙区制』、「総選挙」は『小選挙区制』|選挙技術

【政治考察】 令和三年の都議選は荒れた。当初の自民圧勝、都F惨敗の予想から一転して自公・立産・都Fの三勢力が新都議会に誕生。若者・若手の議員も首都で三割を占める。


報道各社は“勝利者なき選挙”と銘打った。ワクチンの供給停止や都知事の入院等、様々な分析が為されている。本稿では、そもそも都議選と総選挙(衆院選)の選挙制度が異なる点を報じたい。制度が異なるので、結果も異なり易い。


メインとなる選挙制度には以下の三つがある。中選挙区は、大選挙区制の一種。

  1. 小選挙区制;一選挙区で、一名のみが当選(死票最大)
  2. 中選挙区制;一選挙区で、複数名が当選(死票中程度)
  3. 大選挙区制;中選挙区制よりもエリアが広く、当選者も多い(死票最小、但しコスト最大)



<民意が殺される小選挙区制>

 都議選では「一人区」が小区に当たり、殆どが複数名が当選する中区。よって、同じ選挙区に同じ政党の候補者が複数いた。これが中区の醍醐味。


総選挙は小区なので一名しか当選しない。一名が総取りする感じだ。だから民意が衆院に反映され難い。平成六年の改正『公職選挙法』から。平成時代は小区、昭和時代は中区。昭和時代の選挙・政治が面白かったのはこの為。ゆとり世代以降は、その熱狂を知らないかもしれない。現在はサブに「比例代表制」がある。こちらは南関東等にブロック分けした大区。


他方、参院のメインは中区。一選挙区から複数人が当選する。サブは全国を対象とした「比例代表制」の大区。


以上より、同じ党から一選挙区に複数人が立候補する中区と大区が面白い。死票が少ないからだ。特に中区が面白い。小区の様に死票だらけだと、応援したりするやる気も失せる。民意が碌に反映されないから。衆院が小区のせいで、政治・政治家が劣化している主因と言える。


最上図は、平成五年の総選挙における中区。上図は報道現在の総選挙の小区。



政治家個人の実力重視の中選挙区制へ

 同じ党から複数人が立候補していれば、今回の都議選の様に、どちらかしか当選しない状態も発生する。誠実さは素より、政策立案力や実現力がモノを言う。実力主義。小区は一政党から一人なので緩み易い。平成時代の政治が成果を挙げられない理由は、衆院の小区にある。通常、衆院から総理大臣が出、解散権を有すので参院よりも衆院が大切なのだ。


ならば、衆院を中区に戻す。


中区に戻す為に、若き政治家達で議会の三分の一を占める。中区によって民意を少しでも多く政治へ反映させ、国会でちゃんと議論し、国民が再び政治へ期待できる状態にする。


都議会は中選挙区制なので荒れた。結果、若者・若手の議員で三割を占める事ができた。有権者が若者・若手を当選させてくれた。この民主主義の成功体験を忘れてはならない。先ずは衆院で若者・若手が三割を目指す。


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