麻生金融大臣も『世代会計』の較差是正へ

【金融報道】 金融庁(大臣:麻生太郎)は、令和三年七月三十日に麻生金融大臣(庚辰)の臨時・閣議後記者会見の概要を公表した。会見は七月七日分。同日に令和四年度『予算』の「概算要求基準」閣議了解。八月末までに各省大臣は要求・要望を行う。


麻生大臣は「令和四年度予算ではグリーン、デジタル、地方活性化、子ども・子育てという新たな成長の原動力となり得る分野に予算を大胆に重点化していく。」と本格的な歳出改革等を進め、経済再生と財政健全化の両立を図る。


財務省(大臣:同)と同庁の人事異動も発表。新たな「財務事務次官」は矢野康治(壬寅)前・主計局長、「財務官」は神田眞人(乙巳)国際局長が就任した。この二つの官職は、日本の財務と経済を大きく左右する。財務大臣や日銀総裁等と共に我が国にとって官職の中で最重要なポスト。

金融庁は新たに長官が中島淳一(壬寅)前・総合政策局長となった。



<シニアへの対応をきちんとやっていく>

 質疑応答では「社会保障関係費」が自然増で六千六百億円も増えると見込む点につき、抑制案を聴いた。麻生大臣は「今後、いわゆる団塊の世代と言われる世代が後期高齢者に入っていきますので、急激に増えます。そういった意味での対応はきちんとやっていくという事を考えます。概算要求は自然増以内に収めるという事を、どうしてもやっておかないとと思っています。」と答えた。


麻生大臣の考えは明白である。「負担を全然頂かないままで、給付だけが急速な高齢化を背景として増大をしてきたんだ、というのが数字上はっきりしております。」と現役世代の生活が厳しい理由の一つにシニアが応分負担せず、若い世代(将来世代)へ転嫁していた点を報道府は指摘していた。


「給付のかなりの部分については赤字公債の発行という形で、これは保険料だけじゃなくて公費による給付ですから、私共としては赤字公債の発行という形で将来世代の負担に依ってきたというのが現状です。」と現状を真に把握。


そして「私共としては、この国民皆保険制度をきちんと次世代に引渡していく為に、今回、後期高齢者の患者負担割合を二割にして頂くとか、また消費税の上げさせて頂いた部分をそちらに回すとか、色々させて頂いております。」と述べた。



世代会計の較差を知る

 一月に菅義偉(戊子)内閣総理大臣は、『施政方針演説』にて「世代会計」の較差是正に関して述べていた。上図の通り子ども・若者の負担増を以てシニアは受益超過となっている。その為にシニアは選挙へ行く。この状態は全く平等ではない。この較差是正を総理大臣として初めて国会で明言し、実行に移しているのが菅内閣。


上図は平成十七年時点。政府としての最終公表資料。以降は、恐らく公表できる様な状況ではないのであろう。何にせよ、麻生大臣も財政再建の為に世代会計の較差を是正したい。


尚、「子ども庁」等の行政組織の創設に関しては、概算要求基準にて「対応については、予算編成過程において検討する。」とした。新組織創設は子どもの貧困や児童虐待、障害、 重大ないじめ等の子どもに関する様々な課題に総合的に対応する(基本方針二〇二一)。


併せて、将来の子ども達に負担を先送りする事がの無い様に、「応能負担」や「歳入改革」を通じて十分に安定的な財源を確保し、有効性や優先順位を踏まえ、速やかに必要な支援策を講じていく方針も踏まえる。


撮影:岡本早百合

画像:年次経済財政報告/内閣府

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