「脱ゆとり世代」の次は『法学世代』へ、小学生から法教育/法務省

【教育報道】 法務省(大臣:上川陽子)は、令和三年八月十七日にオンラインにて小中高の教員向け法教育セミナ『来年四月に迫った成年年齢引下げに向けて』を開催。学校現場において、法教育をより手軽に且つ効果的に実践する方法等を紹介した。


ポイントは完全な「法律行為」ができる様になる十八歳。


未成年者は契約等の「法律行為」を取消す事ができる。成年となると原則、取消しができない。来年から十八歳・十九歳が未成年者ではなくなる。高校生の段階で成年・成人に達するという事は、法的な権利義務を理解していないと、ブラックリスト等の人生での取返しがつかない事が起こり得る。


この点を同省は危惧、消費者庁と協力して本セミナにて教員達へ消費者としての教育を訴えていた。以下が小学生から始めている法教育の主な内容。

  1. 法やルールの意義・役割、より良いルールの作り方
  2. 契約自由の原則等の私法の基本的な考え方
  3. 「個人の尊重・自由・平等」等といった法の基礎となっている基本的な価値
  4. 司法の役割や裁判の特質



<新科目「公共」から本格化>

 来年度から、高校生は必修の新科目『公共』が「現代社会」に置き換わる。新選択科目は「倫理」と「政治・経済」。以下は公共で育む資質・能力(文科省)。


  1. 現代社会の諸課題を捉え考察し、選択・判断する為の手掛かりとなる概念や理論の理解、及び諸資料から倫理的政治的経済的法的、様々な情報の発信・受信主体等となる為に必要な情報を効果的に収集する・読み取る・まとめる技能
  2. 選択・判断する為の手掛かりとなる考え方や公共的な空間における基本的原理を活用し、現代の社会的事象や現実社会の諸課題の解決に向け、事実を基に協働的に考察し、合意形成や社会参画を視野に入れながら構想した事を妥当性や効果、実現可能性等を指標にして論拠を基に議論する力
  3. 現代社会に生きる人間としての在り方生き方についての自覚、我が国及び国際社会において国家及び社会の形成に積極的な役割を果たそうとする自覚等


分科会では小中高に分けた。全て福岡の教員が講師となった。民主主義を学ぶ多数決から改憲まで話が及んだ。最後の全体会では本格的な法教育の実施へ教員からの不安が届けられた。法学士である福岡県立「福岡高」地歴公民科・横内正太郎 教諭は教科書に記載されている法律用語等を覚えておくだけで良い、とした。専門的な知識は大学に任せ、現場では専門的知識が無いからこその議論・思考を期待した。


成年年齢の引下げによって義務教育を始め、法教育が本格化する。法・法律は何も政治だけではない。生活していく人生そのものに関わってくるのが法・法律。こういった国を「法治国家」と呼ぶ。子ども達はプログラミング等の情報処理を勉強しているが、これからの世代は基礎的な法学も積んでいく。脱ゆとり教育を受けた「脱ゆとり世代」の次を本格的に法教育を受ける「法学世代」としておく。


既に成人の大人達は、下の世代から白い目をされない様に六法の内、憲法民法商法刑法を押さえておこう。とある知事の様に弁護士から「憲法を分かってない。」と揶揄されてしまう事件も起きた。公務員特別職である首長や議員等が憲法を分かってない事は、幼稚に他ならない。その者を選んだ者も同じく幼稚。法学世代は未来にジャッヂできるだろう。


そして学校へ通う子ども達へ教えれる様に、教科書に目を通して何を学んでいるのか、知っておこう。「ビジネス実務法務検定」や「法学検定」で習得度を確認できる。


記事:金剛正臣

画像:法務省、講演資料/消費者庁、講演資料2/横内正太郎

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