岸田元・外相が遂に令和版『所得倍増』を明言、目安箱も設置|自民「総裁選」

【政治報道】 令和三年八月二十六日に自民・岸田文雄(丁酉)元・外相は、『総裁選』立候補会見を行った。告示は九月十七日、二十九日投開票。事実上の総理選。


岸田元・外相は二度目の立候補。九期。第二次・第三次安倍内閣にて五年間も外相を務め、その後に防衛相も務めた。『早大』法学士。 前職は「日本長期信用銀行」の行員。昨年九月に政策集「岸田ビジョン/講談社」を出した。


会見は異例の二時間に及んだ。四十分で三公約・三政策を伝え、残りの八十分は質疑応答に費やした。以下が三公約。

  1. 国民の声を丁寧に、聴く
  2. 個性と多様性を尊重する
  3. 皆で助け合う社会を創る


以下が三政策。

  1. コロナ対策;固定費支援・非正規支援、法改正
  2. 新しい資本主義の構築(カネ<ヒト);スタートアップ等へ攻めの支援、四半期開示の見直し経済社会の基本的ルールの見直し、住居費・教育費の支援強化、デジタル田園都市(地方)
  3. 外交・安保;法の支配等の基本的な価値を守り抜く、領土領海を守り抜く、地球規模の課題にもリーダシップ) 


二について岸田元・外相は「中間層の引上げに関し、分配を見直し、所得を引上げる。令和版『所得倍増』を目指します。」と明言した。岸田元・外相が会長を務める「宏池会」を創った池田隼人(己亥)元・総理は昭和三十五年に『国民所得倍増計画』を打ち出し、国民の所得は倍でなく、数倍に膨らんだ。


岸田元・外相は数々の勉強会にて経済学等を学び、令和版『所得倍増計画』を以て中間層の復活を目論む。また、新たに「岸田文雄への意見ボックス(目安箱、岸田BOX)」にて意見を国民から募っていく事も伝えた。十年間、国民の声を手帳に書き留めてきた。事実上の国会議員による国民への直接取材である。岸田元・外相の習慣。溜まりに溜まった国民の声を記した手帳の数は三十冊に及んだ。




<新資本主義に中堅・若手を起用>

 岸田元・外相が総裁になったら、自民は若返る。ガバナンスを刷新し、新陳代謝を高めると言う。具体的には党三役の任期を明確にする。「中堅・若手。若い人材を登用しようとした場合に、(党役員の)任期を考えるのは大事ではないか。」と述べ、一期一年・連続三年までと権力の集中化を避け、新しい資本主義の構築の為に中堅・若手を抜擢していきたい旨を話した。


この新しい資本主義とは、小泉内閣以降で加速した「新自由主義」から方向転換するもの。新自由主義により、国民の較差は拡大。この較差を埋めるべく、低所得者への分配の仕方を変えていく。この点を勉強会にて直接に聴いた所、「合本(ガッポン)主義/渋沢栄一」と近似の考え方とした。



コロナ禍については、withコロナという前提で新たな専門家会議「社会と経済活動の在り方」を作りたい。欧米式のロックダウンはせず、「財政出動はしっかりとやっていかなければならない。」と財政は拡大の意向。しかし『緊急事態条項』の創設は頭にある模様。一方で「大きな方向性は示していく。」と日本国(円)が世界から信用される為に、未来でのPB黒字化は指し示す。


現行の無担保無利子の企業負債に関しては、対策を検討する模様。“ロングスパン”という言葉を用い、単発的な支援ではなく、中長期的にコロナ禍の企業を支援していく。併せて、個人支援については「個人への支援を考えた場合、当然考えなければならない。否定する事ではありません。」と、今までとは別の形で支援を行っていく算段。


更に夫婦別氏制につき、親からの視点だけでなく、子どもからの視点の議論を望んだ。改憲は自民が出している四提案の自衛隊明記・緊急事態条項・参院の合区解消・教育充実につき、「実現しなければならない。」と望んでいる。


令和の好景気に向けて

 現場にいた他の報道機関の記事群の見出しには、令和版「所得倍増」の名が無かった。総理就任後に所得倍増計画を打ち出すだろう。近年、総理候補が国民の所得を倍増させるという発言は聞いた事が無い。前・安倍内閣は主に国民の金融資産を増加させ、若者・若手の起業を促した。


現・菅内閣は企業と個人へできる限りの補償を貸付金メインで実施している(一部、徳政令)。民主党政権下でも国民の所得を倍増させる等と聞いた事が無い。なのに何故に、令和版『所得倍増』が見出しにならないのか。現場の新聞記者達やデスクは、歴史を知らないのだろうか。


慎重派な岸田元・外相は数々の勉強会を重ね、自信に至った。昭和と令和では経済・社会状況がまるで異なる。しかし、学びを深めた岸田元・外相は国民の所得(月給)倍増を目指す旨を明言した。具体は、三政策の二「四半期開示の見直し」と「経済社会の基本的ルールの見直し」を以て大企業群の貯蓄性向を低くしたい。それは「労働分配率」を高める事にある。労働者への分配だ。


個人所得が増えれば、一定の貯蓄額に達した時、消費に回り始める。給与が増加し続ける事が分かれば、消費性向も上がる。資産運用で株式投資も増える。企業にとっては、増収・増資となる。消費税を筆頭に納税額が増大し、PB黒字化の算段もつく。インフレ率(給与増加率)だけ注意。この好景気スパイラルを平成バブル崩壊以降で創っていきたい。



不景気の次は必ず好景気となる。その好景気を意図的に起こせるか。



与党での総裁選は総理選。投票は国会議員と党員ができる。前回はできなかった街頭演説ができれば、党員及び国民に令和版『所得倍増/改・岸田ビジョン』を伝える事ができるだろう。「正姿勢」のPRだ。Webでは限界がある。それを知らなくば、そもそも国民は岸田元・外相へ賭ける事ができない。正姿勢を国民へ伝えられるか。


二時間、立ったままだった岸田元・外相は、記者からの質問の回答後に必ず「以上です。」と言った。その際に微笑む紳士さを有す。それが八十分間も続いた。そして時間の都合上、進行から回答の長さへ指摘があった際には、「あ、はい。すみません。」と微笑みを浮かべながら言える強さがあった。


尚、前回の総裁選と比べ、岸田元・外相の記者会見のYT全体における数字は伸びている(報道現在)。告示まで後、十八日。


記事:金剛正臣

写真:岸田文雄/Facebook

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