喫煙者の逆襲となる『肥満税』導入へ、医療費四十一兆円を抑えろ

【社会コラム】 第一九三常会で、じきに『健康増進法 改正案』が閣法として安倍政権が上程する。喫煙者の割合は昭和四十年時点で男性が八割を超え、女性は一.五割だった。平成二十八年時点では男性が三割で女性は一割(日本専売公社、日本たばこ産業株式会社による調査)。彼らをターゲットにするのが、『健康増進法 改正案』。公共の場での喫煙をほぼ全面的に規制する。


目的は健康の増進。副流煙などの受動喫煙から及ぼされる健康被害を抑止するものだ。例えば、夫が喫煙者で妻が非喫煙者の場合に妻の肺がんの罹患比は、非喫煙同士の夫婦と比べて一.三倍程度が上がるとされ、妻の肺がんの罹患の原因で三.七割が夫の喫煙とされる(国立がん研究センター調べ)。一.三倍の方は統計的に有意ではないそうだ。




<肥満税の種類>

 平成二十九年二月二十五日に逆襲ともとれる記事「肥満税を考えてみる/Yahoo!ニュース」が出た。NPO法人「オール・アバウト・サイエンス ジャパン」の代表理事を務める西川伸一が書いた。 この記事で西川は年々、国の予算で積算される「医療費」の抑制として、『肥満税』の導入を提起した。二十六年度の「国民医療費」は四十一兆円(厚労省調べ)。同年の国の一般会計は九十六兆円。「国民医療費」は国の予算に対し、四.三割も占める。


喫煙対策よりも遥かに甚大な「国民医療費」を抑制する方法は、西川の記事の通りに

各個人にとって運動を心がけ、低カロリー、低脂肪、高繊維食へと食習慣を変えること

となる。


西川は実際に欧州などで導入されている『肥満税』を例に挙げている。「脂肪税」と「砂糖税」だ。煙草は四種類の税金がかかり、売っている額の六割以上も占める。肥満を嗜好とみなして、公共の場で多く脂肪を摂取する者、多く砂糖を摂取する者にも高額な税をかけるべきだろう。何故なら、不必要に多く摂取しているからだ。その結果、「国民医療費」の高騰に拍車をかける原因をつくっている。



肥満も悪に

 その人が多く食べたいだけで、摂生に努めている健康な者の税金が多額に投入されるのは、おかしい。平等でない。よって『肥満税』の導入により、目的税として医療費に税金をつぎ込める。外で煙草を吸う者は、『健康増進法 改正案』で法的に悪となる。それは違反時に過料(金銭罰)が発生するからだ。なので、外で多く脂肪と砂糖を摂取する者も法的に悪にするべきでだろう。


米国も肥満対策を進めている。これは世界的な潮流だ。煙草も害である。ただし、肥満は健康だけでなく国家予算に対しても害である。肥満の方が問題なのである。喫煙者が公共の場で我慢する。肥満者は我慢せずに税金を払うだけで食せる。優しいのではないだろうか。二十六年度の肥満率は男性が三割、女性が二割(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」)。


健康の増進と医療費の抑制を目的に『肥満税』の立法を五輪開催までに進めよう。五輪開催時に世界から一千万単位で外国人が訪れる。その時に外国人からの目で見て、肥満が少ない日本であれば、健康先進国と大いに胸を張れる。

名誉のチャンスだ。


記事:羽田野正法

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