【社会報道】 令和三年九月三日にオンラインにて東京都(知事:小池百合子)を提訴しているグローバルダイニング(7625.T2)の弁護団は、第三回期日を前に「慶大」大学院・横大道聡(己未)教授の意見書を先行公開した。横大道教授は法学博士。本件は憲法違反事件。
結論「本件命令は、特措法の授権を受けて東京都知事の職務として発出されたものである。本件命令が違法に出された事につき、被告には公務員の職務上の義務違反又は過失が認められるから、原告の被った損害に対して、これを賠償しなければならない。」とした。被告は都。
ポイントはa「比例原則」 、b「憲法適合的解釈」とc『特措法』四十五・三「特に必要があると認める時」。
<比例原則と憲法適合的な解釈>
aは大原則。人権を制約する法令の合憲性を考察する手法。教授は「感染症対策が、『比例原則の下では許されない自由の制限』である、と評される事の意味である。」と同じく憲法学者の「東大」宍戸常寿(甲寅)教授の「新型コロナウイルス感染症と立憲主義/法律時報一一六一号」を引用した。
aは以下の三点に分けられる。
- 手段の適合性;採られた手法が、立法目的の実現を促進する場合に肯定
- 手段の必要性;立法目的の実現に対して等しく効果的であるが、基本権を制限する程度が低い他の手段が存在する場合に否定
- 利益の均衡;手段は追及される目的との比例を失してはならない
bでは、「人権の制約の可否は、基本的に比例原則に基づいて判断されなければならない、という憲法及び行政法上の要請は、法律解釈の場面では憲法適合的解釈の要請として具体化されていると言って良い。」と断言。最高裁判例も挙げた。平成十年「酒類販売業 免許申請に対する拒否処分 取消請求訴訟」、同二十四年「堀越事件」と令和二年「タトゥー施術 医師法違反事件」。裁判所には、憲法適合的に解釈する事が憲法・行政法上で求められる旨の判例だ。
都知事の違法性
cでは、先ず『特措法』五「必要最小限ものでなければならない。」と解釈の方法を定めを確認。aに基づく。同法四十五・三にある命令は「『要請』に応じない事を以て、命令を発出できるとはしていない。」とし、命令発出の要件を“正当な理由が無く”、且つ、“特に必要があると認める時”の二つを指し示した。
教授は、同法四十五・三を以下の三点で解釈した。
- 「恐れ」の理由で命令発出を認めていない
- 「制裁」としての命令発出を認めていない
- 解釈はb及び同法五による
そして都の命令の違法性につき、当時が命令発出状態ではなかった点や都が当該店舗の感染対策を実際に確認しなかった点等に言及。併せて、命令理由に同社の「発信(HP上での都への対抗)」があった点を含め、同社への制裁を目的とした命令であったと結論付け、百合子都知事(壬辰)による命令を違法とした。
命令主体は都知事。
尚、横大道教授は裁判所に期待する事として、「緊急時においても『法の支配』を貫徹できるか、緊急時においても個人の自由を擁護するという役割を果たす事ができるかが、問われている。それが『できる』と示してくれる事を裁判所には強く期待する。」と締め括った。
前代未聞の現職・都知事による憲法違反事件はまだまだ続く。
法を軽んじた罪は大きい。
記事:金剛正臣
写真:まん延防止「違憲の疑い強い」 憲法学者が指摘する問題点は/神奈川新聞
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