【軍事・経済考察】 令和三年九月下旬に報道各社が米英豪による『AUKUS』創設につき、配信した。AUKUSは九月十五日に発表。豪・ウィルナンカビスASEAN大使は「軍事同盟ではない。」と主張したが、十六日に豪州(首相:スコットモリソン)が原潜の配備計画を公表した。
※上図は中国問題グローバル研究所・遠藤誉(辛巳)所長による「一帯一路」勢力図。
世界で原潜を運用している国家は米・中・露・英・仏・印の六ヵ国だけだった。ここに豪州が加わり、米国が豪州へ原潜の技術供与を行う。他国へは初。中露を意識するものとして日米豪印の「クアッド」があるが、軍事同盟ではない。これを補完・強化するかの如くAUKUSを創設するとの見方が大勢。米国は豪州と英国(NATO)共に軍事同盟を締結している。
豪州が原潜を有せば、西太平洋の穴は原潜を有さない日本となる。
<揺れるTPP>
経済の方では中国(主席:習近平)が同日に米国不在のTPP参加を表明。このTPPの議長国は日本だ。日本が世界情勢のカギを握っている。中国主導のRCEPにも日本は参加しているものの、インド(首相:ナレンドラモディ)は離脱。
※上図は遠藤所長によるTPP加盟国の図。
先の自民「総裁選」でも一部調査では、コロナ対策や経済対策よりも国防・軍事に国民の関心があった。但し、自衛隊の予算不足に分かる通り、軍事よりも経済を優先させなければ中露へは対抗できない。そういった点より新総裁には「令和版 所得倍増」を掲げた岸田文雄(丁酉)衆議が選ばれた。
米国と同盟関係にある台湾(総統:蔡英文)もTPPへの参加を表明している。これは国としてではない点がポイント。現在のTPPは英国(首相:ボリスジョンソン)参加の手続き中。
上海協力機構
二十一日にはイラン・イスラム共和国(統領:エブラーヒームライースィー)が『上海協力機構』へ正式に加盟した。これは中露を筆頭に中央アジア等のカザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタン・イランの九ヵ国による国家連合。事実上の日米欧の対抗組織。こちらも名目は軍事同盟ではない。インドが入っている点がポイント。
国際政治学者・六辻彰二(壬子)は、 二十四日の記事「アジアの重石になった日本/ヤフー」にて「日本が中国包囲網に全面的に参加すれば、中国を更に追い詰める事は可能かもしれない。しかし、それは同時に、アジアの緊張をこれまでになくエスカレートさせる事も間違いない。」と現在の日本の状態をバランサと位置付ける。
二十七日に米ウォールストリートジャーナルは社説にて「バイデン政権はTPPへの再加盟に動く事で、AUKUSでの成功を生かせる可能性がある。TPPへの再加盟は、太平洋地域における米国の利益を拡大する上で、どんな武器売却よりも大きな効果を齎す。」と米国のTPP再加盟を期待。
徹底的な専守防衛の構築を
上二図で分かる通り、中国は既に世界の三分の二まで影響力を拡大している。インドはクアッドの軍事同盟化を嫌がっており、中国との距離感を保とうとしている。それは西太平洋の重大軍事国家・フィリピン(統領:ロドリゴドゥテルテ)も同じ。一応、同国は米国との同盟関係にある。
アジアでは日本・インド・フィリピンが世界情勢を左右する。中でも日本がカギとなっている点は伝えた。平和憲法を保持する日本国民の若者・若手も、現況の世界情勢を把握しておくべきであろう。戦争を仕掛けられれば、前線に赴くのは若者・若手。この様に軍事と経済は一体である。我々にできる事は経済力(経営力)の強化。
不安定である理由は日本の「軍事力」という交渉力が弱いからに他ならない。相手が中露であろうと徹底的な専守防衛が全うできる軍備であれば、恐れる事はなくなる。何故ならば交渉力が強くなるからだ。平成バブル後に失ったものは、「徹底的な専守防衛」という安心・安全でもある。自衛隊が中露軍に堂々と専守防衛ができる様に今一度、経済力を高める必要がある。
そして自国を守る事に関し、中韓に内政干渉をさせてはならない。
記事:秦正法
画像:中台TPP加盟申請は世界情勢の分岐点/Newsweek
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