岸田内閣の『分配戦略』具体が判明|所信表明演説

【政治報道】 岸田文雄(丁酉)新・内閣総理大臣は、令和三年十月八日に二〇五国会(臨時会)にて『所信表明演説』を行った。この所信表明演説は、年初の『施政方針演説』に匹敵する時の内閣にとり、日本国として公的に最重要なもの。


岸田総理は、心豊かな日本を次世代へ引継ぐ為に新しい資本主義を実現したい。


同日に新しい経済対策の策定を閣議で指示済み。「成長も分配も実現する。」と語気を高めた所信表明演説の内容は、基本的に四日の内閣発足における記者会見に同じ。既報「岸田総理の『成長戦略』と『分配戦略』、総選挙は三十一日|新時代共創内閣」。



<労働分配率と分配機能強化>

その中で、大枠だけ決まっていた分配戦略の具体が明らかになった。

  1. 働く人への分配機能強化;企業における「三方良し/近江商人」の重要性、非・財務情報の開示充実や四半期開示の見直し等の環境整備、下請け取引きへの監督体制の強化、「企業」の労働分配率の向上(賃上げ企業への税制優遇等)
  2.  中間層の所得拡大・少子化政策「政府」による分配機能の強化、教育費・住居費支援(大卒後の所得に応じた出世払い等)、保育の受け皿整備、学童保育の整備拡充、子ども目線の行政の在り方を検討
  3. 公的価格の在り方の抜本的改革;医師・看護師・幼稚園教諭等の所得増
  4. 財政「単年度主義」の弊害是正;科学技術・経済安保・重要インフラに関する国家課題は年を跨ぐ予算に、地方活性化の基盤づくり、農林水産業の高付加価値化・輸出力の強化、家族農業・中山間地農業へ多面的な費用計上、防災・減災・国土強靭化の強化、交通物流インフラの整備(高速道路・新幹線等)、観光業支援「観光立国」、地域の文化芸術への支援「文化立国」


以上から分かる通り、四項が分厚い。そのラインナップはまるで田中角栄(戊午)元・総理の「日本列島改造論」の片鱗がある。これは、昭和四十七年の総裁選に向けて発表した政策。当時は高度経済成長期の終盤。同改造論の後に平成バブル景気が訪れた。


岸田総理は分厚い中間層の復活を目論んでおり、公共投資(建設国債)による所得増を考えているのかも知れない。平成不況は公共投資を削減し続けた結果、労働所得が下がり、起こったもの。日本国内で最大の支出者は政府なので、政府が総支出を絞れば、国民の総所得(現預金)は減る。



また、所信表明演説において「労働分配率」に言及した事は画期的。企業がアベノミクスで儲けたにも関わらず、従業員への分配を渋り続けている。民間が決める労働分配率につき、政府が口を出す事が画期的。それ程に現状は悪い。


最後に岸田総理は、「私は日本人の底力を信じています。新型コロナの中にあっても尚、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、と新しい時代の種が芽吹き始めています。この萌芽を大きな樹に育て経済を成長させ、成長の果実を国民、全員で享受していく明るい未来を築こうではありませんか。」と熱を帯びた演説を締め括った。

衆院解散まで後二日。


記事:金剛正臣

写真:総理大臣官邸

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