【政治報道】　自由民主党（総裁：岸田文雄）は、令和三年十月十二日に第四十九回『総選挙』の公約『新しい時代を皆さんとともに。』を発表した。「政治は国民のもの」と謳う。総選挙は十九日公示、三十一日投開票。

会見にて高市早苗（辛丑）政務調査会長は、「新型コロナが発生して初めての全国的な国政選挙であり、岸田新総裁の下で行う政権選択の選挙である。」と強調。岸田総理（丁酉）か立憲・枝野幸男（甲辰）代表のどちらを国民は総理にしたいか。

公約の柱は以下の八本。内、二項の政策数が圧倒的に多い。

1. 感染症から命と暮らしを守る
2. 「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する。「全世代の安心感」が日本の活力に
   
3. 国の基「農林水産業」を守り、成長産業に；農業・農村の所得増大、輸出目標は令和七年に二兆円・同十二年に五兆円
4. 日本列島の隅々まで、活発な経済活動が行き渡る国へ；「デジタル田園都市国家構想」
   
5. 経済安全保障を強化する；『経済安全保障推進法（仮）』
   
6. 「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で、日本を守る；日本の対外的なイメージの向上と国際的地位の向上、令和四年度から防衛力の大幅強化、新「国家安全保障戦略・防衛計画の大 綱・中期防衛力整備計画」の策定
   
7. 「教育」は国家の基本。人材力の強化、安全で安心な国、健康で豊かな地域社会を目指す；地域ぐるみの「消費者（法）教育」「投資教育」「情報セキュリティ教育」「スポーツ」「文化芸術活動」等を応援、子どもと接する職業に就く人の性犯罪等に関する無犯罪歴を証明する「日本版 ＤＢＳ」、「青少年健全育成　基本法（仮）」
8. 日本国憲法の改正を目指す；「自衛隊の明記」「緊急事態対応」「合区解消・地方公共団体」「教育充実」
   

＜岸田×早苗の新しい資本主義＞

　二項では「危機管理投資」「成長投資」「中小・零細」「分配」「全世代の安心感」「女性活躍」の六つに分けた。早苗政調会長の執行部入りにより、現実的で経済成長率が見込める詳細な経済政策は大幅増。岸田総理の政策と相俟り、他党と比べて倍以上の具体的な政策数となった。

河野太郎（癸卯）現・広報本部長の「労働分配率」も採用。聴く力を見せつける。但し、中小・零細向け政策は少なかったので、以後に期待したい。以下はあくまでも一部。

危機管理投資

　「創薬力の強化」へ支援や「防災・減災、国土強靱化の為の五ヶ年加速化対策」、「土木・建築技術」や「農林水産技術」の研究開発と「グリーンインフラ技術」へ投資、「省電力化に向けた研究開発の促進」と「安定的な電力供給体制の構築」、初期型太陽光パネルの安全な処分ルール策定とリサイクル技術の開発、防衛・インテリジェンス・海上保安・警察・消防・入国管理・検疫・医療・保健を担う各機関の体制強化、基幹インフラ産業（情報通信、エネルギ、医療、金融、交通・運輸等）の自律性を高めて強靱化等。

成長投資

　宇宙産業市場の倍増（衛星・ロケット新技術の開発や政府調達を通じたベンチャ支援等）、新たな産業フロンティア（宇宙・海洋資源やＧ空間、バイオ、コンテンツ等）の切り拓き、日本に強みがある分野（ロボットやマテリアル、半導体、量子、電磁波、電子顕微鏡、核磁気共鳴装置、アニメ・ゲーム等）で人材育成や国際競争力強化に向けた戦略的支援等、産学官におけるＡＩ活用による生産性の向上や高付加価値な財・サービスの創出、

国産量子コンピュータの開発と技術領域（量子暗号通信や量子計測・センシング、量子マテリアル、量子シミュレーション等）の支援、クリーンエネルギへの投資（自動車の電動化の推進や蓄電池、水素、小型モジュール炉の地下立地、合成燃料等のカーボンリサイクル技術等）を積極的に後押し、核融合開発を国を挙げて推進、

国家戦略特化（スーパーシティ）、スタートアップへの徹底的な支援（オープンイノベーションへの税制優遇や研究開発への投資、政府調達等）、「日露経済」分野の協力プランの更なる具体化等、「国土幹線道路ネットワーク」の構築、日本に世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市を確立（資本市場の魅力向上）、「中央銀行デジタル通貨（ＣＢＣＤ）」の実証実験、金融インフラのデジタル化、

財政投融資の積極活用、財政の単年度主義の弊害是正、安全通貨と評価される“円”が引き続き相対的に信認を維持し続けられる様に信認の基盤である経済成長力の維持等。

中小・零細

　事業存続・雇用維持に大胆・総合的な支援、「事業再構築　補助金」の拡充・運用改善、事業承継税制や中小企業Ｍ＆Ａ税制等による支援推進、新商品・サービスの開発と販路開拓の支援、ＤＸ税制、約束手形の支払い期間を六十日以内へ短縮化（五年後に利用廃止）・小切手の全面的な電子化、フリーランス法制の整備、生産性向上・事業再編やスタートアップの成長を徹底的に支援、「個人保証ゼロ」に向けた施策等。

分配

　「株主」のみならず「従業員」「消費者」「取引先」「社会」にも配慮した経営ができる様に環境整備、コーポレート・ガバナンスや企業開示制度のあり方を検討、「労働分配率の向上」賃上げに積極的な企業への税制支援、「四半期開示」見直し、長期的な研究開発や人材投資の促進、下請取引に対する監督体制の強化、「勤労者皆保険」の実現等。

全世代の安心感

　年金は将来に亘って国民の皆様が安心できる水準を確保、「待機児童の減少」「病児保育の拡充」「児童手当の強化」、保育強化、放課後児童クラブ（学童保育）の受け皿の拡充と質の確保と家計負担配慮、子育て世帯へ対して「妊娠・出産から子育て支援する拠点」を全市区町村に創設、子どもの貧困・虐待対策を強力推進、介護の受け皿五十万人分を整備、「介護離職ゼロ」、公的価格のあり方を抜本的に見直し等。

女性活躍

　女性の就業と生活の問題に対応、女性の経済的自立を強力支援、「性犯罪対策」推進と新法制定、「女性総合診療科」の普及、「マイクロ波マンモグラフィ」を早期普及等。

画像：自由民主党