平成29年度に中小零細が押さえるべき税制改正

【ビジネス報道】 中小企業庁/経産省は平成二十九年四月四日に、中小・零細企業者向けに『平成二十九年度 税制改正に関する中小企業向けパンフレット』を公表した。本年度の税制改正では、設備投資や研究開発、給料引上げ、事業承継等の中小零細の企業活動を支援する税制措置が広く拡充された。改正の概要や措置の内容、適用要件等について、同パンフは記している。


全八頁に纏めた同パンフは、「設備投資」「研究開発」「給与アップ」「事業承継」の四類に大別した。「設備投資」では、中小企業経営強化税制と固定資産税の特例がある。前者は『中小企業等経営強化法』の認定を受けた計画に基づき、一定の設備を新規取得した際に即時償却ないし税額控除を選択できるもの。後者は同上の計画に基づき、一定の設備を新規取得した際に三年間、固定資産税を二分の一に軽減するもの。


また地域未来投資促進税制が創設され、地域活性化に貢献する先進的な事業について、工場・店舗・機械等の導入時に特別償却ないし税額控除を選択できる。但し、改正『企業立地促進法』の施行後に承認・確認が必要となる。資本金が一億円超の企業も対象だ。報道現在で衆院で審議中(閣法第三十号)。



<法人税額の四割近くを控除>

 「研究開発」では、中小企業向けR&D税制の拡充を説明。試験研究費の内、最大で十七㌫を法人税から控除できる。試験研究費は原材料費、人件費、委託費、経費等。この試験研究費の増加率で工場の上限が変わる。増加率五㌫を境に超える場合は、法人税額の三十五㌫も控除できる。以下の場合は二十五㌫が控除の上限となる。


「給与アップ」では、所得拡大促進税制の拡充を説明。雇用者の給与を増やした場合に、最大で増加額の二割程度を法人税から控除できる。要件は一人当たりの平均給与が前年比でニ㌫以上の場合だ。他にも二十四年度から雇用者給与等支給額が三㌫以上増えている事、雇用者給与等支給額が前年以上、平均の給与支給額が前年以上の要件がある。



何千万円も減税

 最後の「事業承継」では、事業承継税制における要件の見直しを説明。事業承継税制自体は、贈与税と相続税に分かれる。前者は、現経営者から新経営者へ贈与した自社株式の贈与税が猶予・免除。後者は、現経営者から相続ないし遺贈で、新経営者が取得した自社株式の相続税(八割)が猶予・免除。共に制限があり、自社株式は発行済議決権の総数の内、三分の二まで。


本年度から同税制の雇用要件が緩くなった。原則、雇用者数を五年平均で八割以上、端数切り上げで維持しなければならなかった。だが端数を切り下げに緩和した。更に相続時精算課税制度との併用も可能になり、事例では七千万円もの納税額減を記している。


中小・零細企業者は同パンフを一読されたい。


平成29年度税制改正パンフレット(画像引用)/中小企業庁


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