現代・昭和・江戸の三時代を一度にトリップ、映画『大河巡る』

【芸能報道】 平成二十九年四月十六日に東京・豊洲にて、映画『大河巡る/カートエンターテイメント』の舞台挨拶が行われた。短編映画シリーズで、世界の映画祭にて計十六の賞を受賞した作品だ。西・マドリード国際映画祭の最優秀作品賞を三年連続で受賞した柿崎ゆうじ(戊申)監督による短編映画三作品「夢幻」「さつまおごじょ」「陽は落ちる」を、長編オムニバス映画『大河巡る~生まれ変わっても忘れない~』として劇場公開した。


本作のチケットは完売。舞台挨拶には、監督・脚本・Eプロデューサを務めた柿崎代取(写真上)、二作目で主演を務めた狂言師・和泉元彌(甲寅)、一・三作目で主演を務めた出合正幸(辛酉)、三作全てでヒロインを演じた竹島由夏(丁卯)、伊藤つかさ(丁未、写真最下)と伊吹剛(己丑)の六名が登壇した。



<共通テーマは「死生観」>

 柿崎代取は上映できた喜びを顕わにした。「元々、オムニバスにする予定でした。共通のテーマは日本人の死生観。こうやって、また人は生まれ変わって人は再会するんじゃないか、という希望と想いを込めました。」と、本作を通してのテーマを観客に伝えた。


三作目、和泉(写真上)が詩を詠むシーンでは、監督から詩を渡され和泉にしかできない表現をした。「狂言師としての一面が見られたのは、門前で歌を詠むシーンかと。監督の言う死生観中にあって限られた時間、限られた文字数の中で、ああいった所で表現できたら嬉しい。」とコメント。


二作目の主演・和泉は現在も新宿に店舗を構える「さつまおごじょ」の店主・赤羽潤に取材を行い、初となる実在人物への役作りに励んだ。ヒロイン・竹島(写真上)は「(さつまおごじょの最後のシーンは)私の人生の一部を切り取った作品でもあったので、迚も記憶に残りました。」と述べた。



追体験のリアリティ

 本作は普通に生きていたら、決して見る事のない世界を描いている。記者は観賞後、そのリアリティに感動した。この映画の世界は迚も近く、まるで自身がその場で追体験している様な錯覚に陥る。社会で後悔しない、真実が見る事が出来る映画だ。


さつまおごじょは戦後を描いているが、戦中の模様を掘り下げた舞台版「帰ってきた蛍」が十月十七日から六本木・俳優座にて公演予定。


=あらすじ=

ヤクザの世界に魅入られた元キックボクシング世界チャンピオンの男とその妻のすれ違いを切なく描き出す「夢幻」。

太平洋戦争中、帰ることのない特攻隊員たちに無償の愛をかたむけた“特攻の母”鳥濱トメとその娘・礼子、そして彼女らの遺志を継いだ孫・潤の三世代にわたる実話を描いた「さつまおごじょ」。

時は遡り江戸時代、切腹を申し付けられた武士とその家族の最期の一夜を描いた「陽は落ちる」。


全3話、時代を巡り生と死が交錯するオムニバス長編映画。  


映画『大河巡る~生まれ変わっても忘れない~/カートエンターテイメント』初日舞台挨拶

撮影記事:岡本早百合

0コメント

  • 1000 / 1000