無線LAN「フリーライド」でのパスワード取得が無罪、対策は

【社会考察】 平成二十九年四月二十八日に東京地裁(裁判長:島田一)は、ネット犯罪・無線LANに関する重要な司法判断を示した。他人の無線LANを無許可で使う、所謂「フリーライド」の初摘発の刑事裁判だ。三十代の被告人・藤田浩史は無許可の無線局を開設して、近所の個人宅の無線LANを利用。「フリーライド」により取得したID・パスワードを使用し、不正送金を行った(判決文)。


ポイントは被告人が「フリーライド」で取得したパスワードが、『電波法』が禁じる「無線通信の秘密(第百九条)」に抵触するか、否か。抵触は法に触れる事だ。島田裁判長はパスワードは、通信内容ではなく、「無線通信の秘密」に当たらず、無罪とした。公判の検察は、他人のパスワードを用いて無線LANを使う事が秘密の無断使用と主張していた。だが被告人は『不正アクセス禁止法』等に違反した為、実刑判決となった。




<学ばなければ、盗られる>

 東京新聞は二十八日付の記事で「今回の司法判断を受け、新たな法整備が課題となりそうだ。」と記した。現行法では、他人が個人宅等の無線LANを使用し、パスワードを取得しても罪にならない。となれば、他人が無線LANを使用できない様に設定を講ずるしかない。無線ネットワーク名(SSID)の隠蔽を設定し、ANY接続を拒否する。併せてMACアドレスのフィルタリングで、接続を許可する端末を一つひとつ設定する。但し、SSIDを隠蔽すると切断後の接続ができないので、煩雑ではある。


この作業が最低限で、東京地裁は無線LANを利用するユーザに、これを求めたに等しい。


スマホの普及に伴い、WiFiルーター(無線LAN)も設置数が増加している。然しながら、ユーザのITリテラシが追いついている、とは言い難い。先に挙げたSSID隠蔽の設定や自身の端末のMACアドレス確認は、覚束ないだろう。よって現実的に東京新聞の様に、国民のITリテラシ向上を待つより、立法化を推し進めた方が損害額が減る。


今回の刑事事件での損額額は五百万円であった。ネットバンキングを利用する際は、無線LANからのネット接続よりも、携帯キャリアの電波(4G等)からネット接続を使用した方が堅牢であろう。当然にユーザは知識を更新するのが一番である。初級の「ITパスポート試験」等で研鑽されたい。

(了)

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