消費税八㌫の布石か、財政審トップに榊原経団連会長と黒田日銀の「拡大」判断

【ビジネス報道】 平成二十九年四月七日に麻生太郎(庚辰)財務大臣の直の諮問機関「財政審(財政制度等審議会)」は、経団連・榊原定征(癸未)会長を審議会長へ互選した。財政審は来年度の予算編成に影響を与え、「金融政策」と並ぶ国の経済政策の柱である「財政政策」を象る。


現在の日本に必要な政策は、この財政政策だ。昨年に開催されたG7首脳会議(伊勢志摩サミット)では、安倍晋三(甲午)総理大臣が先進国首脳に対して財政出動を訴えていた。安倍総理の直の諮問機関は「経済財政諮問会議」で、こちらも財政政策を象る。財務大臣派と総理大臣派という訳だ。




<来るトランプ景気>

 財政審の人事には二つの見方がある。補正予算も含め、来年度の予算編成で積極的な財政政策を行うものと延期してきた消費税の増税(十月予定)を行うもの。前者は富裕層以外の大型減税を推し進める「米トランプ景気」の波に、日本の財界主力である経団連がまとまり同時に乗り、財務省が耐えて好景気を創り出す。増税を絶対必要と言った榊原会長は財政再建派であるが、様子見の安倍総理大臣の意向を無下にするだろうか。


後者は消費税の増税によって、反発が予想される経団連を減税と引き換えに取引きする。財務省的な思惑。こちらに関しては、「夕刊フジ/産経新聞社」が二十九日付けで伝えている。麻生財務大臣は十九日に米・ニューヨーク市内の講演で、「上げやすい景気状況」「三度目の正直」と話していた。当然に予定通りの十月で、消費税を現行の八㌫から十㌫へ引き上げたい。



総理官邸・財務省・日本銀行

 国の経済政策の柱「金融政策」の方でも動きがあった。二十七日の日銀(総裁:黒田東彦)・金融政策決定会合で四半期に一度、出される「経済・物価情勢の展望 (基本的見解)」の中に九年振りとなる「拡大」文言を用いた。「わが国の景気は、緩やかな拡大に転じつつある。」「先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。」「海外経済の成長を背景とした輸出の増加が景気を下支えすることなどから、成長ペースは鈍化するものの、景気拡大が続くと見込まれる。」等と、拡大が百一ページ中に三十四回も登場した。


消費税は一度、税率を上げたら下げない。麻生財務大臣にとっては、黒田日銀総裁の見解は願ってもない増税理由となるだろう。然しながら、三年前の五㌫から八㌫への増税で日本経済は鈍化。個人消費(実質ベース)が三百十兆円近くから二百九十兆円近くまで下がった。アベノミクスの中では大失策であった。そして、未だ前回の増税時の個人消費水準に戻っていない。



昨年の参院選後に行った財政出動二十八兆円では、実質的に小振りだ。潮流は金融政策から財政政策に傾いている。アベノミクス・第一の矢「金融緩和/日銀」は成功した。第二の矢「財政政策/政府」は財政再建の目途が立っていないので、失敗。その為に財務省が増税で回収を図りたい。第三の矢「成長戦略/民間」は、大企業が潤ったが内部留保は甚大で略、無効だった。だが第四革命と米トランプ景気を目前に、政府が先行投資を仕掛ける機会である点は間違いない。


但し、次は投資先を誤ってはならない。


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