狙うは三十代以下の高成長型|小規模企業白書2017

【ビジネス考察】 中小企業庁/経産省は平成二十九年四月二十一日に、「平成二十九年度 小規模企業施策(小規模企業白書)」を取り纏めて公表した。既報「稼げる中小企業が明確に|中小企業白書2017」と比較し、小規模企業(零細)の動向等を視る。


同庁は零細の内、廃業を選ぶ者が多く、事業・資産の売却等も検討している為、次世代への承継の重要さを突く。顧客ニーズ・自社の強みを把握し、PR活動を行いながら、新市場開拓や新商品開発に取組み、売上拡大に繋げている者もいる。零細ならではの柔軟性を活かし、女性やシニア等の多様な人材の活用も推す。アウトソースの活用で持続可能な発展を遂げ、成長に繋げる重要性を指摘した。




<起業に無関心が七割>

 本白書では、零細の経常利益は過去最高水準で景況感も改善傾向とする。然し売上高や生産性は伸び悩んでおり、中小に同じ。国の発展の為には、中小規模の法人設立だけでなく零細の起業が重要だ。現状は全開業率が五㌫近辺で推移し、起業に無関心な人の割合が七割を超えている。米英独仏と大きな開きがあり、米国に対してはトリプルスコアだ。起業への関心をもってもらう事が行政の大きな役割となる。


起業後の成長タイプを三類に分けた。高成長型ではサービス業・製造業が多く、経営者も若く起業家教育の影響が見られる。高成長型を三十代以下・四十代・五十代・六十代・七十代以上に分けると、三十代以下は十五.五㌫。全体平均のダブルスコアとなる。行政の力点は、三十代以下のサービス業の起業となる。また高成長型は「簿記や金融に関する知識の習得」「起業家に関する本を読む」「企業・商店における職場体験」が十㌫を超えて、在学中に受講している。


「売上拡大に向けた取組」と売上動向との関係で増加の割合が大きかったのは、事業転換の取組(四十四.二㌫)、新市場開拓の取組(三十七.四㌫)と多角化の取組(同)。



零細は慢性的に人材不足だが、アウトソースの有効性を示している。だが中小企業白書と異なり、零細のIT投資に関するデータが無い点は不備だ。人材不足を補う、業務のIT化は零細こそ必要であろう。SNSの活用状況も記すべきだ。バックオフィスや営業部門のIT化を推し進め、プロモーションのSNS活用により、零細が中小企業化する事が可能である。


画像引用:2017年版「小規模企業白書」概要/中小企業庁

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