【政治報道】 日本国憲法施行から七十年の節目の年、平成二十九年五月三日に八つの国政政党は談話を発表した。
与党
自民党(総裁:安倍晋三)は、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重の基本原理を普遍的価値と記し、「時代の変化に即し未来への責任を果たしていかねばなりません。」と環境適応に触れた。衆参両院の憲法審査会等の議論と各党との連携をもって、憲法論議を加速させる。同党は、憲法改正への理解促進と国民各層の合意形成に向けた活動に取り組んでいく。
公明党(代表:山口那津男)は、国民主権主義・基本的人権の尊重・恒久平和主義の三原理を「人類普遍の原理」とし、「三原理は将来とも変えるべきではありません。」と強調。同党は東北・熊本の震災から「人間の復興」へ取り組んでいく。また若者の声も政治に反映させる。「核のない世界」に向け努力をし、他国防衛の為の集団的自衛権の行使を許さないと記した。軍事大国化を牽制し、加憲を主張した。
日本のこころ(代表:中山恭子)は、党是の自主憲法制定から。中山代表が務めていた中央アジアの国の特命全権大使時の事件からの経験を連ね、同党の改憲草案をアピールした。「現行憲法の良い面は全て採用しつつ、憲法とは、国民自身がどのような国を創るのか」と部分改正を否定した。
野党
民進党(代表:蓮舫)は、現行憲法の柱が国民主権・平和主義・基本的人権の尊重の三基本原則とし、戦後の国民が育んできた点から記した。「いま日本国憲法は、大きな危機に瀕しています。」と、安倍総理の野心に警鐘を鳴らした。安倍総理が立憲主義・平和主義の本質を理解しようともせず、と評す。併せて「共謀罪」の法案への警戒を促している。次期総選挙では、安倍政権の暴走を止める機会にする積りだ。同党は三基本原則を深化させ、未来志向の憲法を国民と構想する事を約束した。
共産党(委員長:志位和夫)は、現行憲法の九条と三十条に亘る人権条項を挙げ、「憲法を生かす政治を実現する決意を新たにする。」と始めた。安倍政権の改憲策動について危険と判断し、改憲阻止の決意も表明。北朝鮮の問題について「解決の方法は外交的手段しかない。」とし、米トランプ政権を一定評価。外交を強く推す。「共謀罪」の法案は廃案を目指す。自民党の憲法草案より、安倍政権の戦前回帰の姿勢を異常と見做し、次期総選挙で「改憲勢力三分の二体制」を打破する。
日本維新の会(代表:松井一郎)は、現行憲法の役割として国際社会での日本の地位の向上を挙げ、三原則及び「良い部分」を守る対象とした。改憲に関しては、進めるべきと。同党の改正原案より教育無償化・国と地方の統治機構改革・憲法裁判所の設置の三点改憲を推し、各党と真摯に協議し、国民と共に努力する。
自由党(代表:小沢一郎、山本太郎)は、国民の憲法への意識を突いた。日々の生活の自由は「すべて憲法の保障によるものであり」と、自動で与えられたもので無い事を諭しつつ、教示的だ。「憲法と立憲主義は現在、これまでにない最大の危機を迎えている。」と警告。安倍政権は憲法をないがしろにしていると断定。安倍総理の答弁「憲法で国家権力を縛るというのは絶対王政時の旧い考え方」を挙げ、現行憲法と立憲主義を理解してないと厳しい。同党は四原則とした。国民主権・基本的人権の尊重・平和主義・国際協調主義である。「国家権力の暴走を食い止めることこそ憲法の本質」と、議会制民主主義の終焉を虞れ、安倍政権と対峙する。
社民党(党首:吉田忠智)は、現行憲法は「人類の叡智を結晶させた人類共有の財産」と。憲法は国際的な公約で、アジア諸国から信頼を得る為の支柱とした。憲法の掲げた目標を具体化する。自民党の改憲草案に対し「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則を踏みにじる」と問題点を追及する。憲法審査会の務めを記して、同党は「活憲」運動を展開する旨を伝えた。「共謀罪」の法案は廃案を狙う。末尾で次期総選挙を「ポイント・オブ・ノーリターン」と称した。
撮影:金剛正臣
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