米国が更に三百兆円の「財政拡大」、「財政再建」へ本格的に動き出す

【経済考察】 令和三年十一月十五日に米国(統領:ジョセイフ・バイデン)にて『インフラ投資法』が成立した。百十兆円規模を五年掛けて米国内のインフラへ投資する。一方、二百兆円規模の法案成立も伺う。子育て支援や気候変動への対策分。成立すれば、通常の予算に加えて計三百兆円規模を米国は投じる事となる。


米国は、力強いコロナ不況からの脱却を図っている。実際には脱却どころか次の成長を目論んでおり、本年の実質GDPは六㌫の成長、来年は五㌫前半の成長が予測されている。中国(主席:習近平)の本年は八㌫、明年は五㌫後半の予測。


日本(総理:岸田文雄)の本年は二㌫前半、明年は三.二㌫と米中の半分程度と見劣りする(IMF、十月見通し)。


また、米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和を縮小させる「テーパリング」に舵を切った。長期金利は上昇し、早くも財政再建へ向けて動き出している。米国は百兆円単位で予算を素早く組み上げ、米国民の安定の目途が立ったら、世界に先駆けて財政再建。米富裕層は自身達への増税さえも求め、米ドル(国家信用)を安定させようとしている。それは、結果的に米富裕層の次の成長へ繋がる。



<財政拡大に怯えるシニアの罪>

 他方、日銀は金利を未だ上げれそうにない。米国と異なり、日本国民の安定は目途が立たない。日本国民が「財政拡大」よりも「財政再建」を気に掛けており、びくびくしている。その間に、米中は圧倒的な財政拡大を行う。圧倒的な財政拡大によって、早々と財政再建に着手する。


正に「分配なくして成長なし」を米中や世界が実行している。


上図は先月末の『総選挙』のデータ。二十代と三十代のみ「分配なくして成長なし」、「財政拡大なくして財政再建なし」を理解している。社会経験の乏しい十代でさえも、経済の仕組みを学習し、平均よりも経済対策への優先が多い。他の上の年代は学びもせずに、財政拡大を怯えている。


これでは、いつまで経っても財政再建(利上げ・増税)ができず、先の二回の消費増税の様に所得が碌に上がっていないのに、増税しなければならなくなる。損害を被るのは、消費性向及び絶対的消費額が高い若い人となってしまう。まるで、バブル世代以上は敗戦直前の日本陸軍(憲兵)の様だ。



「今だけ金だけ自分だけ」の中堅・シニアを変えなければディストピア

 何よりも学びもせずに、びくびく怯えている上の年代の被害は少なく、財政拡大を望んで阻まれる若い人が被害が大きくなる。第二次大戦では最も戦死した日本人は、二十代と三十代。その轍を踏まない為にも、若者・若手が得意とするネット上で「財政拡大なくして財政再建なし」「財政拡大なくば増税あり」の経済的事実を広く伝え、バブル世代以上へ教える必要がある。


幸い岸田総理(丁酉)は、財政拡大案をインフラ投資も含め、多数保持している。総裁選で自身の経済政策のラインナップを披露し、総理就任後には他の総裁選候補の経済政策も許容する。


財政再建(日本国の信用増)には財政拡大が必須。これに失敗すれば、所得が上がらないのに増税が始まる。日本国の信用、詰まり、日本円の信用を落とさない為に、先の消費増税の様に増税しなければならない。しかし今回は、米国が財政再建(利上げ)に踏み切った。このままでは日本人の購買力が相対的に低下する事を意味する。



スタグフレーション

 所得は変わらないのに、輸入品を中心に物価が上がり続けてしまう。「スタグフレーション」の慢性化を真に恐れなければならない。デフレ慢性化より悪い。その日本は真のディストピアと成り果てる。その前に、バブル世代以上の認識を「財政拡大なくして財政再建なし」「財政拡大なくば増税あり」に変えなければならない。


まともな経済的知識がある若者・若手が、自身達の未来の為にも頑張るしかない。まともな経済的知識がある中堅・シニアと組むしかない。


今回の米国の動きは、日本のディストピア化のカウントダウン開始となり得る。


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