求められる『チャレンジャ立憲』、批判政党から経済議論政党に変われるか

【政治考察】 立憲民主党は、令和三年十一月十九日に「代表選」を告示した。投開票は三十日。氷河期世代・泉健太(甲寅)衆議、同・小川淳也(辛亥)衆議、バブル世代・西村智奈美(丁未)衆議としらけ世代・逢坂誠二(己亥)衆議の四名が立候補。


報道現在で、立憲は国会第二党(第一野党)。「コトラーの競争地位戦略/経営学」によれば、国会第一党の自民は「リーダー(王者)」、立憲は「チャレンジャ(挑戦者)」。この戦略の定義は以下の野村総研。

マーケットシェアの大小に着目し、競争地位に応じた企業の戦略目標を提示する理論

選挙は全国マップが投開票日に報道される通り、シェアの獲得に他ならない。現行の選挙制度はシェア戦なので、基本的に経営学が適用できる。報道各社も定期的に政党支持率や各党の得票率を報じるのは、その為である。




<国民の高き知性を知るべき>

 枝野立憲は、この競争地位戦略を重んじなかった。チャレンジャとして王者に挑戦するどころか、自身が王者の如く振る舞い、毛嫌われ、人心を掴めなかった。このチャレンジャ戦略を実行したのは、焼け跡世代・小沢一郎(壬午)元・自治大臣である。二度も政権交代を実現させた。


世論を引っ張る国民(輿論)の知能は向上している。輿論は財政を学び、経済学や統計学等の科学の知見を深めている。国会議員よりも賢き者を多く散見する。


その様な令和時代における政治は、経済論争と軍事論争である。枝野立憲は人権問題を多く提起してきたが、矢張り輿論も世論も経済と軍事の方を優先する。当然に、双方の論争では科学が根拠となる。枝野立憲は学びを怠ってしまったと言わざるを得ない先の選挙結果であった。



 よって、老いも若きも求めるものは、科学的な経済論争と軍事論争となる。岸田自民は、総裁選前より経済の勉強会を重ね、「新しい資本主義≒合本主義・社会民主主義」を提示。松井維新は財政緊縮派ながらも百合子都政の様なハイパフォーマンスで議席増。玉木国民は自民にも影響を与える程に、経済論争を仕掛け、議席増。


世論はまだまだ基礎編を学習中だが、イノベータ・アーリアダプタである輿論は応用編まで学習している。特に若い世代程、学習スピードが高い。


新たな代表における立憲の使命は、経済論争に強い岸田自民に対してチャレンジャとして当たれるか。以下はチャレンジャのすべき事。野村総研。

業界で二、三番手に位置づく大企業で、リーダーに挑戦しトップを狙う企業です。

市場戦略による利益への影響を分析するPIMS研究によると、一般にシェアが高まると収益性が高まることが分かっています。その為、攻撃対象を明確にし、競合他社の弱点を突く等してシェアを高める事を戦略目標とします



自民の弱点は、報道への積極性だ。報道現在で、党として記者クラブのみを重視しており、輿論を形成するネット勢へ消極的だ。チャレンジャ立憲ができる事は非・記者クラブへの徹底的なプレスリリースとなる。旧「生活の党と山本太郎となかまたち」は、プレスリリース及びプレス対応が上場企業級だった。広報が非常に優れていた。結果、勢いがあった。


経済界も同じだが、広報が記者クラブ一辺倒になると細る。強き企業の広報は、非・記者クラブへのプレスリリース及びプレス対応がズバ抜けている。これが企業でも、政党でもバズる、ないし支持される主因に他ならない。経済界の常識をチャレンジャ立憲がインストールできるか、否か。


四候補の政見

 十九日の記者会見にて四候補は政見を述べた。氷河期・泉候補は、政権交代を謳った。「(先の衆院選にて)現実は、議席を減らしました。立憲民主党は自らを反省し、そして再生をしていかなければいけない。」と述べ、“批判ばかりの政党”という汚名払拭・自党改革を掲げた。国民目線との合致だ。若者の協力も欲した。


氷河期・小川候補は、「野党第一党を政権の受け皿として(国民へ)認知して頂く。政権の受け皿足り得る政党へ何としても昇華させていきたい。」と終始、熱が籠っていた。社会保障や財政、気候変動等に関し、「どれ一つを取っても本来私達の世代で、充分な取組みを為し、次世代に子ども達やお孫さんの世代に恥じぬこの国と社会を受け継ぐ責任がある。」と訴えた。


バブル・智奈美候補は、重点政策に「命を守る、という事。そして一人ひとりの暮らしを社会で支える、という事。」と自己責任論からの脱却を謳った。具体的には「子どもや子育て、若者の未来を創る為に予算を倍増していきます。」と述べ、公共事業に重点を置き、新自由主義からの脱却を掲げた。


しらけ・逢坂候補は、「最も力を入れなければならないもの、それは教育で御座います。人への投資で御座います。」と芸術・文化も併せて未来構築を謳った。親の所得較差による教育格差が念頭。子どもの希望自体に格差がある点を訴え、是正したい。また党の役職に「若い方を登用する。こういった事も当然だと思います。」と若手へのアピールをしっかりと行った。


経済政策に触れたのは、智奈美候補のみであった。


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