幼・若・中・高でみる日本社会

【社会考察】 ことわざで有名なモノに「木を見て森を見ず」がある。小さいモノ(コト)を見て、大きいモノ(コト)を見ずに失敗する、という意味だ。日本の社会を大きく見るコトで、何の小さな選択をすれば良いかが見える。今日、明日を見ている者は、未来に失敗(後悔)し易い。さて、現在の日本社会はどんな社会であろうか。幼・若・中・高の四ブロックで社会をみる。



<高>

 一般とは逆からみていこう。現在の日本はシニア世代に貧困が増えている。身寄りがなくミイラ化してから発見されるニュース(東京)もある。原因は、三つある。一つに余命が長くなったコト、二つに医療費・介護費がどんどん上がっているコト、三つに息子・娘に経済力が乏しいコト。一言でいえば、退職金と年金で賄えない状態だ。現在の中年世代には、住宅ローンがシニア世代になった時に圧し掛かる。記事「これからの下流老人とは、定年後も延々住宅ローンが残る人/ダイヤモンド社」を参照されたい。


 | 繰り上げ返済をせずに「ぼちぼち」返していくと、年金収入のうち半分前後がローン返済に回ることになる。ローン返済後の残りだけでは生活できないので、退職金など老後資金を取り崩すこと


これからも体力のないシニア世代で、貧困に堕ちる国民は増えるであろう。簡単な仕事はITやロボットにとって代わられる。



<中>

 通常は、結婚という家庭をもつコトが大きなテーマの時期だ。現在の日本では住宅ローンと養育費が親権者に重く圧し掛かる。介護を含めると、収入を増やす他はない。では結婚の生産性は如何だろうか。記事「給料1000万ダウンも… 男の仕事をダメにする“しくじり婚”/ダイヤモンド社」では、結婚における仕事のパフォーマンスについて触れている。


 | 注目すべきは全体の6割以上が結婚したせいで「仕事が上手くいかなくなった」と感じていること


戦前(江戸時代よりも前も含む)は、夫婦で仕事を行ってきた。その結果、子どもの労働も含めシナジー効果(相乗効果)で生産性が上がっていた。現在は夫婦が別々の職で、シナジー効果が得られない。詰まり、統計的に結婚は、収入ダウンの可能性が過半を超えているコトになる。これでは住宅ローン・養育費・介護費を賄えきれない。



<若>

 社会の高度化により企業が求める人材への要求は、日増しに強くなっている。ブラック企業という言葉は近年の造語だ。それまでのバブル期や高度経済成長期でも長時間労働が存在したが、当時の社会問題は行き過ぎた倫理観や公害だった。現在は高度なスキルが求められ、低度な仕事は負担が大きく増している。記事「若者が職に就けない問題は世界中で発生しており10年以内に6億もの仕事が新たに必要/OSA」に因れば、若年層の仕事数の低迷は世界的な兆候である。


 | 若者には募集される仕事の内容に比べてスキルが低すぎる人が多いという問題点を指摘


こちらも<高>に同じで、ITとロボットにとって代わられている。



<幼>

 教育が仕事、この国を支えている。根幹となる義務教育はどうなっているだろうか。学校が形骸化している点は問題であろう。それまでは、教師が生徒に対し学問や社会での生き方を教えたりしていたが、PTA(保護者)の要求の強さやアレルギーの管理等で教師の事務処理が大幅に増えた。これにより教師がロボット化。現在では、ただ教科書を読み上げる程度の授業しかできなくなった。イジメを知っても我関せず。児童の問題に対処するより、対処するコトによるPTA(保護者)の反論を嫌い、知らぬ存ぜぬでイジメを放置する。毎月の収入があれば良い、という教員免許をもったヒトが増えた。


 | 私には、日本人のスケールが年年小さくなってきているのではと感じられてなりません・・・歴史や哲学あるいは「人間如何に生くべきか」といった基本をきちっと学び、人物を育てるような教育体制を早急に確立して行かねばなりません


さて、現在の義務教育下で育った子どもは社会でどんな活躍ができるだろうか。子どもも事なかれ主義か。記事「日本教育の在り方/北尾吉孝(SBIホールディングス 代取」で暗記教育の弊害と人間的魅力について訴えている。



<決してやってはならないコト>

 以上が、日本社会の大まかな現状である。問題ある事件も多々あるが、全ては社会背景に依存する。もがいても否定しても仕方がなく、現状で生きていく必要がある。社会の諸問題が分かれば、その後に対策を講じるコトができる。諸問題が分からなければ、対策を講じようがない。耳が痛い諸問題を受け容れるコトから始まる。


今回に取り上げた社会の実情に対策を講じるとなれば、それは人生を設計(ライフ プランニング)するコトだろう。目先(瞬間~三年)の感情を重視すれば、破たんする。何もしなければ(五年~十年)何も変わらない。具体的な計画を練り、専門家に相談し、実行しながら修正を加えていく(十年~)。最初の計画に固執し過ぎてもならない。社会はヒトが創りだす生き物だから、予定外がよく起きる。決してやってはならないコトは、厳しいコトから逃げ、イマを楽しむという自暴自棄だ。間違いなく良い未来を創り上げるコトができない。

(了)



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