氷河期世代はクズなのか、「有効求人倍率」と各世代

【社会・政治考察】 ハイムは日本の世代別の統計を収集し、世代毎の傾向や対策(問題解決)を提示している。五年間の生まれの違いでコミュニケーションGAPが存在するという。十年以上も生まれの違いがあれば、相互理解に難が生じるのは当たり前の事だろう。世代間コミュニケーションの齟齬は“失われた三十年”の通り、国難。


世代間で敵対するのではなく、“多様性”を認める社会において互いを“認め合う”事が肝要だろう。


ネットでは「氷河期世代 クズ」という検索ワードで多数のページが表示される。皆、思う所がある模様。批判する者が、氷河期世代よりも上か下の世代かは不明だが(自世代の自虐かもしれない)、幾つか錯誤している論調もあったので、事実データを提示したい。


上図は「有効求人倍率」を世代毎に分けた。政府の基本的な仕事は「失業率」を下げる事。その中に「有効求人倍率」を上げる事が含まれる。「自殺者数」も失業率に連関する。


上図では、就職時が好景気だったのか、不景気だったのかが分かる。スタートから好景気だったのか、不景気だったのかで、その先の働く価値観が大きく変わるもの。何分、所得が大幅に変わる。これは、人生設計の仕方が大きく変わる事を意味する。図の下半分(倍率一倍未満)をグレーで網掛けた。

※上図は精緻さを求めるものではなく、イメージ。



すると、好景気に就職できた世代は七世代の内、以下の三.五世代。

  1. 団塊
  2. バブル
  3. プレシャ
  4. ゆとり(後期)



不景気だったのは、以下の三.五世代。

  1. 焼け跡
  2. しらけ
  3. 氷河期
  4. ゆとり(前期)



似通う世代

 就職時の景気・背景だけならば、好景気の三.五世代は似る。同じく不景気の三.五世代も似る。「団塊」や「バブル」が言われている事は、未来で「プレッシャ」と「ゆとり(後期)」が更に下の世代から言われる事になる。


「氷河期」は“暗い”や“陰気”と打ち込まれているが、「しらけ」も同じ様に言われていた。就職時の景気で性格・人生が左右されてしまう恐れがある。


打開策は、過去の経験に基づいて現在及び未来を見ない事。景気という事象は移ろう。臨機応変的に見方・考え方を変えるべきだろう。他の世代の指摘を有難く受け取り、反映させる。好景気でも不景気就職でも同じ。




<有効求人倍率と歴代内閣>

 次に「有効求人倍率」は政治の問題である為、政治を視る。上図では、この倍率と同時期の内閣(政府)を当てはめた。


当たり前の事だが、不景気の後に好景気があって、その後に不景気がある。景気は繋がっている。現在の求人景気が良い理由は、「ゆとり(前期)」達がいてくれたから。その前の「氷河期」達が十年ちかくも不遇を味わってくれたから。最長で二十二歳から三十四歳まで就職できない(安定収入を得れない)者が普通の時代を「氷河期」と言う。


就職口が世代間で最も少ないのだから、努力しようが無い。三十四歳まで職に不安定を経験してみたいだろうか。現に今でもアラフォ・アラフィフの「氷河期」には、不安定な生活を送っている者がいる。


景気を下げる内閣は上図の様にあった。反対に景気を上げるべく頑張った内閣もあった。それが黒字の内閣。昭和三十八年以降で、就職する若者為に頑張ってくれた内閣は、十内閣しかない。残る十六内閣は「有効求人倍率」の面で失敗してしまった。その内閣を選挙で選んだのは、国民である。特に既に社会人であった先輩の国民である。


単純化すると「氷河期」の三倍も「ゆとり(後期)」は就職できた。それは安定度が三倍という事だ。ハイムは轍を踏まない為に、若者を気に掛けていた安倍内閣を推した。結果は数字の通り。



現在は過去の積み重ね

 氷河期世代はクズなのか。これは「社会・人間のクズ」の定義がないと判断できない。対義の「社会・人間の」も定義する必要がある。少なくとも、好景気時に就職した世代にとっては、「氷河期」はマイナスの印象なのであろう。クズや宝の定義を議論する事は、とても善い事だ。人としての在り方を考える事ができる。


好景気時に就職した者は収入的に強者。不景気時に就職した者は弱者。弱者在りきの強者が、一方的に弱者を罵って良いのだろうか。そういった者はクズではないのだろうか。景気は上図の様に繋がっている。


「強きが弱きを挫(クジ)く」では今の中国・朝鮮と変わらない。大和民族は“和”を重んじる国。「弱きを助け強きを挫く」が本懐。故に他国とは異なり、世界最長の二千六百年以上も続いている。かといって、弱者は何時までも弱者ぶっていてはならない。強者の足を引っ張る事になる。これは迷惑だ。弱者は強者に迫り、先輩であるなれば、後輩の強者を追い抜くぐらいの気概は欲しい。


そして「有効求人倍率」という景気は、時の内閣が作っている事を知って欲しい。


内閣は、国民の世論(政治参加・政治活動)によって造られる。


現・岸田内閣の様に弱き労働者を代弁して、強き経団連等へ注文している。現在や未来の日本、内閣を良くするも悪くするも主権者・国民次第。


記事:羽田野正法

画像:労務ドットコム、FPhime(修飾)


 


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