寿司を宅配するロボット『CarriRoⓇ Delivery』の課題は法規制と世論

【ビジネス報道】 上場企業としては唯一、宅配サービスを専業としているライドオン・エクスプレス(6082.T1)は、平成二十九年七月十三日に東京・飯田橋にて『宅配ロボット「キャリロⓇ デリバリ」プロトタイプ発表会』を開催した。同社は宅配寿司「銀のさら」を国内に三百六十二店舗を有し、宅配シェアでは首位である。


今回に発表した宅配ロボは、ロボット技術を得意とするZMP(代取:谷口恒)との協業。ZMPは十一日に日の丸交通と自動走行タクシの実現に向けた「レベル4推進研究会」を立上げたばかり。宅配ロボは全長千三百三十㍉、幅七百五十㍉、高さ千九十㍉。重量は九十㌔で積載重量は百㌔。最大時速六㌔、稼働時間は八時間、登坂力は八度。営業圏は一㌔から二㌔。


発表会では多くの報道陣が詰め掛ける中、宅配ロボはスマホからの注文をデモンストレーションし、注文者に寿司十人前を安全に届けた。扉の解錠にはスマホを翳した。




<鍵は国会議員>

 ライドオン・エクスプレスの江見朗(庚子)代取は、寿司の市場規模である一.七兆円の内、宅配は二㌫未満である点を指摘し、「ITで一番大事なのは物流。」と強調した。同社に追随する企業がいない点に「もっともっとライバル、ブランドが多い方が良い。」と述べた。五輪に向けて各国の選手に国柄に合った寿司を届ける“御持て成し”を目論む。


ZMPの谷口代取(甲辰、写真上)は報道現在、「東京芸大」大学院美術研究科で博士課程に在籍している。宅配ロボと運送業者のトラックとの連携でビルに配達をしたり、AI(ディープラーニング)による注文者との会話、三百六十度カメラを活用したシニア等への見守りサービスのアイデアを話した。



 実用化に向けた最大の課題は法規制。宅配ロボは現行法では「小型特殊自動車」に分類される恐れがある。もしこの分類だと実用化の目途が立たない。シニアカーや歩行者の分類を望む。谷口代取は「世論の力で規制は変わります。」と、自動走行タクシと併せて報道陣に嘆願した。またドローンとの大きな差異は、積載重量の百㌔と語気を強めた。


宅配ロボの実用化に向けて、今後はドローンの改正『航空法』や『電波法』の様に『道交法』等の法改正自体が必要になる可能性が高い。両社が理解ある国会議員を味方にできるか否か、に成否が懸かっているかも知れない。


撮影:金剛正臣

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