【社会報道】 平成二十九年七月二十一日に東京・内幸町にて、日・言論NPO(代表:工藤泰志)と韓・東アジア研究院(EAI、院長:李淑鍾)の二つのシンクタンクは『日韓共同世論調査発表記者会見』を開催した。二十五年から五年連続の世論調査の発表となった。二十九日には「第五回 日韓未来対話」も開催される。
日本側の調査は十八歳以上の男女を対象に訪問留置回収法により実施。有効回収標本数は一千。最終学歴は小・中卒が一割未満、高卒が五割に迫り、短大・高専卒と大卒が二割。院卒は二厘。韓国側は十九歳以上の男女を対象に対面式聴取法により実施。有効回収標本数は一千三。両国とも統計的に全国民へ調査結果を行ったものと見做せる標本数だ。
<日本へは未だ悪印象>
調査内容によれば、日本人の韓国への印象は前年に比べて悪化。逆に韓国人の日本への印象は僅かに改善した。直近五年で日本人は韓国へ悪化傾向、韓国人は日本へ改善傾向だ。韓国世論は未だに六割弱が悪印象、日本世論は韓国に対し五割弱が悪印象。この傾向につき、工藤代表(写真上)は日本人が韓国の度重なる日本への批判に疲れている点と韓流ドラマの影響が少なくなった点を挙げた。韓流のアーティストの影響力も含まれるだろう。また訪韓が減っており、日本人の韓国における「直接の再発見が無い。」と理由を述べた。
互いの国の交流は直接と間接に分けられる。その国へ行き、その国の民や文化との接触が直接交流。その国のドラマ・音楽のエンタメ等での接触が間接交流。逆に韓国人は、中国とのTHAADミサイル配備の問題や文化的報復により、訪中が激減。その分、訪日が増えて直接交流が増えた。
「相手国の社会・政治体制のあり方に関して」の問いで韓国人は日本を軍国主義と答えた割合が半数に上った。この点につき、韓「延世大」の孫洌(ソンユル)教授は大東亜戦争時の日本と安倍政権は異なり、「軍国主義が近しい表現。」と説明した。だが、より戦争をできる国への懸念は残っていると安倍政権を牽制した。世代別では韓国人の四十代以下の過半数が日本を准・軍国主義と見做している。
問題は解決するのか
両国の大きな問題である慰安婦問題では、両国の世論が二十七年の日韓合意を良影響を与えていないと判断。詰まり未解決と見做している。日本世論は韓国の不履行を責め、韓国世論は合意内容そのものを責めている。韓国世論としては、日本政府が一方的であったとの印象をもち、国内交渉(慰安婦当人との交渉)が無かった点と金銭による解決が問題と指摘している。
孫教授(写真上)は「答えの無い問題。」と表現。例え再交渉しても結果は同じと予測した。韓国世論は不満を表出しているが、「何が良いのかが明確に言えない。」と打開策は提示されない。中国を長くホストとしてきた歴史がある韓国(朝鮮)は、強き国が打開策・解決策を提示するもの、との前提がある点は否めない。
北朝鮮に関しては、日本世論が軍事行動を起すの割合が四割。韓国世論は四割未満だが、起こらないの割合も四割を超えた。両国とも関係が重要な国が首位の米国につき、両国の七割がドナルド・トランプ米統領の言動を支持していないとなった。
今回の世論調査における日韓の大きな違いは、「分からない」。日本世論は常に「分からない」が韓国世論を上回っている。韓国世論に対し日本世論の方が「分からない」が多いという事は、「分からない」の次の「分かる様にする」「調べ様とする」に至った割合が韓国人の方が日本人より多い事を意味する。詰まるところ、思考停止の割合は韓国人よりも日本人が多いと類推できる。これも一つの危機だ。
撮影記事:金剛正臣
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