横浜市長選で実現した「対話型」、来る総選挙の鍵は有権者の演説参加

【政治考察】 平成二十九年七月三十日に市民・三百七十万人を要する巨大都市・横浜市の市長選挙が実施され、自公推薦の林文子(丙戌、写真上)市長が六十万票を得て三選した。投票率は四割に迫った。今回の選挙では次世代型の選挙戦が展開された。それは街頭演説の対話型だ。街宣車に昇り、一方的に候補者が自身の政策等を訴えるものではなく、対話により候補者の魅力を引き出していくもの。


七十代の文子は公明の議員等と座りながら対談形式を選んだ。質問文は予め定められた様な内容で、文子の回答も形式的。ややショウを見せられている感は否めなかった。同じく対談形式を選んだ二位の二十七万票を得た五十代の長島一由(丁未、写真上)元衆議は逆だった。長島が世界のカジノを取材してきたノンフィクション ライタの若宮健に質問を投げ掛け、カジノの危険性を伝えていた。文子よりは自由度の高い対談となった。


一方、三位の二十六万票を得た三十代の伊藤大貴(丁巳、写真上)元横浜市議は、「対話型タウンミーティング」を街頭に持ち込み、意見や質問を募り回答した。自由度は立候補していた三者の中で最も高い。反カジノで中学生の給食復活を訴えていた。落選した両名は実質的に民進系で文子に対抗する票が割れてしまった。実際に両名の得票数を単純に足すと、五十三万票に上る。前回の市長選より八ポイントも投票率が上がった事を勘案し、野党系候補の一本化が実現していたならば、更に投票率が上がり野党系候補が当選していた可能性がある。



<野党は有権者との対話型を採用できるか>

 今回の「横浜市長選」では民進・牧山弘恵(甲辰、写真上)参議と山尾志桜里(甲寅)衆議が文子を応援していた。野党の候補一本化は共産・穀田恵二(丁亥)や自由・小沢一郎(壬午)が推し進めている。民進は蓮舫(丁未)代表が忌避し、候補一本化が極一部でしか達成しなかった。新代表により候補一本化は実現する可能性がある。ただ、国政における小池新党で安倍政権の反対票は割れる見込みもある。


ともすれば、候補一本化以外の対策は、伊藤の対話型であろう。結果として伊藤は三位であったが、出馬表明が遅かった点も含めるべきだ。自公にとっては、権力者サイドなので対話型は文子の様に形式的がやっと。自由形式になってしまったら、反安倍勢力が集まり、集中砲火を受けてしまうだろう。ならば野党にとっては機となる。自由・山本太郎(甲寅)も対話型を組み込み、当選難易度の高い東京選挙区で四位となった。


野党は来る総選挙で、この有権者との対話型を採用できるか、否か。それが選挙結果を分けるものと視た。


撮影記事:金剛正臣

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