競合の現状を知る;総論|平成二十八年度 東京の中小企業の現状(サービス産業編)

【ビジネス考察】 東京都(知事:小池百合子)は、都内の中小企業の現状に関する調査を毎年で実施している。報告書『平成二十八年度 東京の中小企業の現状(サービス産業編)』を五月に発行した。二十五年以来の三年振りで、他には「流通産業編」「製造業編」を順に発行している。報告書では現状と変化、一万社へのアンケートとITの利活用、海外関連取引等を分析。HPに全文を掲載している。


同報告者のデータは競争戦略の礎となる。あくまでも中小企業が対象なので、大企業は参考にならないが、中小・零細企業が勝ち抜く為のヒントが埋没している。例えば取引上の強みに「専門性が高い」を挙げた企業は五割、「長年の取引」が四割、強化対象は「人材の確保育成」が四割。この事実より企業は専門性を高める事に注力し、新規顧客開拓を推し進め、企業のブランド力の向上を図る事を導き出せる。




<足踏みしている企業が多数>

 特に生産性を高める要素である効率化には、まだまだ未着手の企業が多い。ITに関し「電子メール等の連絡ツール」は七割以上で二、三割は未導入という事実。「財務会計システム」は五割が未導入と、両方ともクラウド型を選択する事で他社に対し効率化を高められる。都内の中小・零細のIT化は尋常でなく遅い。SNS等の情報発信も圧倒的に未実施が多く、ブランド力向上の為に他社の突き放しが今からでも可能である事実がある。一度、抜き出れば「人材確保」に関しては安定飛行となるであろう。「人材育成」のプロモーションも機会である。


内需が収斂するビジネス環境下において、グローバル展開は重要である。海外関連取引につき、「取引がある」「取引はないが、検討している」が共に一割と、ビジネス機会は未だにある。しかも海外関連取引の発展可能性につき、「可能性がない」が五割で「可能性がある」は三割と及び腰だ。


この様に都内のサービス業の中小企業、詰まりは競合他社が時代の変化に対応してない。極一部の企業のみが対応していると見做せる。それは旧式の社内であったとしても今からでも対策を打ち、抜きん出る事ができる事を示唆する。また新たに同報告書の細部について考察する。


記事:羽田野正法

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