女性のコンプレックスを昇華するイベント『フェチフェス11』

【社会考察】 現代はダイバシティ(多様性の許容)が求められている。代表的な要素はLGBT。同性愛は偏見により仕事により迫害を受けていた。「東京レインボープライド」等に名立たるグローバル企業が出展した事により、性的指向の多様性は日本社会にも認められ始めている。未だLGBTを受忍できない者は社会性が低く了見の狭い者と見做される。


ハイムは発刊当初よりBustyとBootyの女性を取材してきた。彼女達は、ファッションに拘束され、色眼鏡で見られる為にコンプレックスを抱く事を余儀なくされている。特に女性同士の日常でコンプレックスが形成され易い。理由は単純である。女性に影響力をもつファッション誌には、ある一定の体型のモデルしか出ていないからだ。報道でいえば偏向報道となろう。BustyやBootyは親から譲り受けた顔に同じ、生まれもった遺伝子だ。差別は許されない。



<自分が嫌いだった>

 胸の開いた服を非Bustyの女性が着てもファッショナブルで、Bustyの女性が着用すると“風俗嬢”や“売女”と揶揄される。そう揶揄するのは差別であり、ファッションは公序良俗違反でない限り、本人の自由だ。平成二十九年九月二十三日に東京・日本橋富沢町にて、『フェチフェス十一/フェチフェスフロンティア』が開催され、「洋画家 三嶋哲也 Presents くびれ巨尻コンテスト」が行われた。三嶋画家(写真上)は百貨店の富裕層向け冊子に特集が掲載される程の全うな洋画家。今回は胴囲と腰囲の差が三十㌢以上等の条件で八名の女性が参加した。


チケットは五分で完売し、会場の挙手の数の多さで優勝者は歯科助手になった。参加した女性達は「(臀部が大きくて)自分が嫌いだった。」「コンプレックス過ぎて、コスプレでお尻を出した事がなかったけど、勇気をもってデビューしてみた。」等と、劣等感を人生で背負っていた部分の荷が、同イベントにより少し降りた模様。彼女達は自信をもって、照れながらも精一杯のポージングをした。



画に描きたい美しさ

 特別賞を受賞した女性は、決まった瞬間に涙も零した。今回はBootyであるが、彼女達を勇気づけるイベントである事には間違いない。三嶋画家は特別賞を一人選んだ。秋葉原のメイドカフェで店長を務める有村詩音(写真上)だ。受賞後にインタビュすると「芸術家の方から頂いた賞は、とても嬉しいので、凄い自慢な(自分の)お尻だなと思います。」と満面の笑みを浮かべた。三嶋画家は受賞記念に詩音の画を描く予定。


またコンテストでMCを務めていた北見えり(写真上)も同じくBootyの女性だ。このコンテストは、えりがエッヂが効いたファッションで卒なくMCをこなし、コンテストに参加する女性の後押しへ貢献している。当日は自身もブースを出展して写真集等を販売。普段はフリーモデルでラバーを使用した芸術作品を創り出している。個展も本年に東京と大阪で開催できる実力を有しており、来年はラバーの本場のドイツでイベントに参加し、営業も兼ねて研鑽を積む。「ピッタリする感じとか質感とか臭いとか、全体的に好きです。」と、ラバーが好きな理由を淡々と答えた。



無駄なコンプレックスを抱かせない社会づくり

 最後に三嶋画家は、芸術家の観点より「今回は特殊な体型の方が多かった。骨格が才能があった。」と独特の表現を交えた。だが現代の女性の華奢性に追及し、参加者に対して「正直、かなり盛った方が良いなと思います。十㌔ぐらい増したら、(プロポーション的に)全然違うと思います。」と女性にとって安心できる言葉を述べた。また詩音の授賞理由について「前後の厚みと、お尻の深さがポイントだった。」と画家ならではの構造感を指摘した。


コンテスト自体は次回以降の開催が未定である。同イベントは兄弟イベントのデッサン等を行う「むちフェス」と並び、生まれもった女性のアイデンティティを肯定する重要なイベントである事には変わりない。ハイムも社会から偏見を無くし、ダイバシティを広げる為に、BustyとBootyの女性の社会的地位の向上に務める。それは鼻が大きい、アザがあるに同じく差別してはならないものである。


撮影記事:金剛正臣

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