満島ひかりの新たな一面を魅せた映画『愚行録』|TIFF2017

【芸能報道】 平成二十九年十月二十七日に東京・六本木にて、映画『愚行録(二〇一七)/ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野』のQAがTIFF二〇一七内で行われた。本作はJapan Now「銀幕のミューズたち」として上映された。満島ひかり(乙丑)と石川慶(丁巳)監督がスクリーン前に座った。


当日は二回の上映であったが共に満席。ひかりはQAも二回行い、人気振りを魅せつけた。ミステリ作品の本作では、育児放棄の疑いで逮捕されたひかりと記者の妻夫木聡(庚申)が対峙。ひかりは「綱渡りです。本当に。」と中身が何も無い様な質感の演技を振り返った。ひかりは役柄上、鏡の様な“反射”の演技を心掛けていた。


「私の身体を色んな男の人の手が張って覆っていく時、触り方が硬かった。」と衝撃的な描写を挙げた。見かねた監督が自ら指導し、ひかりは「この人の手は愛を知っている。」と監督を称えた。


ポーランドで学んだ監督(写真上)はカメラを外国人に託した。「満島をどう撮ってくれるか。」と期待していた点を述べると、ひかりは「凄いエチュード(即興)が多くて。脚本に無い場面も一杯あった。」とカメラマンについて返した。ひかりに因れば、そのカメラマンは「美しいか。美しくないか。」を基準に撮影を進めていたという。ひかり自身、本作が女優ひかりとして新たな映画となった自覚があった。



<潜伏する真のひかり>

 観客からの質問では米ハリウッドのセクハラ問題について、国内の事情を聞かれた。ひかりは露骨ではなく、「もうちょっと強かに(セクハラを)やっていると思う。」と回答。パワハラの方にも話しが移り、ひかりは「頑張ってなんぼ。」のスタンス。「皆の前で大きな声を出させた、走ってこい。」等を挙げ、“不思議な事”と評してパワハラの自覚は全く無かった点を笑顔で話した。


また自身の女優人生を変えた一人は安藤サクラ(丙寅)。映画「愛のむきだし(二〇〇九)/ファントム・フィルム」で共演した際の印象を「圧倒的演技力。」と言葉を強め、「青いジャージに長い髪。怨念みたいなものを感じた。」と、サクラはひかりの背筋を凍らせた。


ひかりは自身の弱さを、よく知っている様に見えた。それは翻って強さになり、瞳の奥に何がしかの重しが置いてある様な安定感ある光りを放つ。監督の愛の話しでは掌や動作から男性を見抜く力、パワハラの話しでは自身が目指すべく先への糧とする力、優れた同期の女優を排除せず自身なりに取り入れようとする力等が伝わったQAだった。


撮影記事:金剛正臣

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