【社会報道】 平成二十九年十一月二十一日に東京・紀尾井町にて、言論NPO(代表:工藤泰志)は『設立十六周年記念フォーラム』を開催した。「民主主義の試練にどう立ち向かうのか」をテーマに「米ハーバード大」カー人権センターシニア・フェローや元・米ナショナルプレスクラブ会長、元・インドネシア外務大臣、ニューヨークタイムズ・特派員等が論じた。
オープニング フォーラムで工藤代表(戊戌、画像上)は「民主主義は崩壊し掛けている。」と警鐘を鳴らした。「知識層の決意を固める時が来た。」と国内の知識階級が纏まり、動く必要性を説いた。国内の現状を“誰も怒らない社会”と表現し、責任は記者(ジャーナリスト)と知識人にあるとした。「民主主義を守る為の努力が足りない。」と、国民の危機意識が低い点を指摘。民主主義は自然と得れるものでなく、先人が勝ち得たもの(例;選挙権)だ。放置すれば自ずと独裁に向う。
<民主主義で経済成長するのか>
公開フォーラムではハッサン・ウィラユダ元・尼外務相は「アジア太平洋地域に民主主義を議論する場がない。」と指摘。「民主主義指数/英エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」によれば世界の内で完全な民主主義は一割強、欠陥のある民主主義は四割弱、混合政治体制は一割強、そして独裁政治体制が四割弱。ハッサン元・尼外務相は経済成長も挙げた。経済大国第二位になった中国を「民主主義に変わる体制。」とした。資本主義的共産主義の中国の台頭は大きい。民主主義よりも経済成長を望むなら、発展途上の国々は中国の様な一党独裁体制を選ぶかもしれない。
民主主義側の大国はインド、米国、インドネシアの順。イスラム教の国としてはインドネシアが最大だ。そしてファームPwCのデータを引用した。二〇三五年にインドネシアは経済大国第四位となる。二〇五〇年には第一位が中国、第二位はインド、第三位は米国、第四位にインドネシアと算段。今後、アジアと世界で影響力をもつインドネシアの懸念を「議員と議会への不信。」とした。国内の民主主義に関しては七、八割以上が支持して満足している。だが民主主義は「費用が高い。」とも述べた。
またニューヨーク・タイムズのジョナサン・ソーブル東京特派員は「(安倍政権及び自民党の)強行採決等はデモクラシ(民主主義)の自殺。」と断じた。続けて「メディアは番犬の様なものです。自由と権利は絶対ではありません。」と、米国の高級日刊新聞紙の一記者として危惧した。
最後に工藤代表は「先ず、知識層が連携して動くしかない。」とオープニング フォーラムに重ねて参加者へ投げ掛けた。言論NPOは今後、フォーラム形式から協議会形式に変える模様。次世代のプラットフォームとして継承したい考えを工藤代表は示した。尚、「世界の政治民主化度 国別ランキング・推移/グローバルノート」によれば、二百四ヶ国・地域中で日本は四十六位。G7中で最下位の政治レベルだ。最下位は北朝鮮。
撮影記事:金剛正臣
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