子ども・若者・若手の犠牲如実に|令和四年第二回『経済財政諮問会議』

【政治・経済・社会報道】 内閣府(総理:岸田文雄)は、令和四年三月八日に第二回『経済財政諮問会議(議長:同)』の会議情報を公表した。各大臣と日銀総裁、民間からは「経団連」会長や「サントリーHD」代取、「東大」大学院経済学研究科教授等が出席した。


議題は以下の二点。

  1. マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)
  2. 所得向上と人的資本の強化


一につき、サントリーHD・新浪剛史(己亥)代取は、「企業物価が上がっているのは間違いない事だが、それが転嫁できておらず物価が上がっていないというのは、これもまた可笑しな事であり、実態としてそこに何が在るのかという事をしっかり見ていかなくてはいけない。中小企業はひょっとしたら、ここで大変な苦労をされているかもしれない。」と、企業を取り巻くメカニズムの問題について触れた。


民間からは以下を政府へ要請した。

  • 公需から「民需主導」の経済成長路線への移行を大胆に
  • 「企業の新陳代謝」によるダイナミズム回復
  • 「春闘」に向けて政府から明確なメッセージ
  • 中小企業の適切な「価格転嫁促進」を再度点検
  • 中小企業の賃上げ議論;人材流動化とリカレント教育
  • GX(グリーン関係)税制措置
  • 「雇調金」特例措置の早期見直し
  • 「賃上げ状況」「階層別の中途採用の実績」「社内の人材育成」を可視化
  • ビジョン提示;六月に岸田内閣初の『骨太方針』
  • 原発再稼働;令和十二年までに後二十基



二につき、政府は平成六(一九九四)年から同三十一(二〇一九)年の二十五年間で高齢者世帯や単身世帯の増加に伴い、「低所得階級」の割合が増加したと説明。三十五歳から四十四歳の世帯で所得が大幅に低下している。氷河期世代(後期)とプレッシャ世代が当てはまる。


民間からは以下を政府へ要請した。

  • 「正規・非正規の処遇格差」や「男女の賃金格差」を徹底的是正
  • 百六万円、百三十万円の壁を是正
  • 氷河期世代(後期)以降への「人的資本投資」の支援
  • 子育てをし易い環境整備の徹底
  • 「NISA」の普及、「ストック・オプション」の拡充等
  • 氷河期世代(前期)以前への兼業・副業等の促進



また、「こども家庭庁」についても議論された。二十歳未満の自殺者数は、令和二年に平成以降で最多となるデータ等を指し示した。


以下は、会議後の岸田総理(丁酉)のコメント。

ウクライナ情勢については、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して対応している所だが、穀物・エネルギ等の国際商品市況を含め、足下の経済動向を引き続き注視し、国民生活や日本経済への悪影響を最小限に抑えていく必要がある。

本日御議論頂いた様に、エネルギ価格の高騰に対しては、消費者の負担軽減と共に、下請企業への適切な価格転嫁と国民の購買力を確保する賃上げを合わせて実現して参る。

更に、この機会を捉え、カーボンニュートラルに向けた官民投資を抜本的に強化する事で、成長の源泉としていく。

コロナ対策については、感染状況に細心の注意を払いつつ、より的を絞った対策で一日も早い経済の正常化を目指して参る。


また、本日の所得格差に関する議論の中で、この二十五年間で働き盛りの世帯の所得が百万円以上減少している事、非正規雇用の若年単身世帯の割合が大きく上昇している事等のデータが示された。

こうした結果を踏まえ、所得向上と人的資本の強化に向けて、それぞれのライフステージに応じたきめ細かな「人への投資」に取組む。その際、官と民、更にはソーシャルセクタが連携する事も重要。

野田大臣においては、今回の民間議員の提案も踏まえ、女性活躍・子育て支援、ソーシャルセクタの育成や企業との連携といった分野で、包括的な施策を取り纏めて頂く様、お願いする。

これらの政策を本年の骨太方針にしっかりと位置付け、官民で積極的な投資を計画的に継続していける様、政府としても制度改革や規制改革を徹底して進めて参る

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