【政治考察】 平成二十九年十二月六日にドナルド・トランプ(丙戌)米統領がアラブ人系「パレスチナ自治政府(P)」領内のエルサレムをユダヤ人国家「イスラエル」の首都と正式に宣言、認定した。昭和四十二年に以は第三次中東戦争において、パレスチナを支配下に置いて併合した。平成七年に米は米・大使館を移転する法律を可決。だが各代の米統領はアラブ諸国等に配慮し、移転法律を先送りしていた。今回のトランプ米統領の宣言により米・大使館のエルサレム移転に向けて手続きを始める。
エルサレムは三教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)の聖地。三千年前のユダ王国時代にエルサレム宮殿が建てられ、一千七百年前のローマ帝国(軍人皇帝、日;仁徳天皇)時代にキリスト教が聖地化、一千四百年前のササン朝ペルシア(日;舒明天皇)時代にイスラム教が聖地化。
トランプ米統領の宣言を当然にイスラム教のアラブ諸国以外にも、中東情勢を懸念するインドやキリスト教の欧州各国が反発・非難した。先進国で支持したのは日本のみ。第五次中東戦争が勃発しかねない事態である。神道・仏教の日本はイスラム教に敵視され、国内でテロが起こる可能性がある。それは安倍政権の軍拡からも分かるだろう。
<軍事力から視る>
ここで米・軍事力評価機関の「ミリタリ ストレングス ランキング/グローバル ファイアパワー」で世界の軍事力ランキングをみる。
- 米国
- ロシア(露)
- 中国
- インド(印)
- フランス(仏)
- 英国
- 日本
- トルコ
- ドイツ(独)
- エジプト
イスラエルは十五位だ。一位・米が意識するのは二十一位・アーリア人系「イラン・イスラム共和国」だ。イランは未だに「ペルシア」と代替可能で、ペルシア帝国の再建という大きな野心を潜ませている。トランプ米統領は今回の宣言により、国そのものの大使館を要所・エルサレムに据えてイランを牽制したい。イランは「イラン・イスラーム革命」で宗教上の最高指導者が国の最高権力者となり、イラン統領は最高指導者の下だ。アケメネス朝ペルシア帝国時代には現在のイランを中央に西はトルコやエジプト、東はアフガニスタンやパキスタン等の一部を支配していた。
走るロシアと進める北朝鮮
報道現在の中東の構図はA.「日米イスラエル」とB.「イランと支援国」とC.「パレスチナとアラブ諸国」の三つ巴。次に関与する重大な国は二位・露と二十三位・北朝鮮だ。十一日にウラジミール・プーチン(壬辰)露統領は八位・トルコ共和国と十位・エジプト・アラブ共和国を訪問。軍事的関係を強めている。事実上のアラブの盟主であるエジプトに至っては領空を露に開放した。
露が国家設立を手掛けた北は、周知の通り核開発を進めている。北は米を射程範囲にしただけでなく、中国全土も既に射程範囲にしている。北が核を開発成功させると中国とA及びCに脅威だ。何故ならばイランは北の核を待っている。核開発に成功すれば、北製の核がイランへと持ち込まれてBの交渉力を上げる。核保有国は五大国(米・英・仏・露・中)、インドとパキスタン。イスラエルも米により核保有国に未来、なる。
終わらない戦争、始まりかねない戦争
昭和二十三年から始まった中東戦争は平成六年に平和条約が結ばれたものの、イスラエルによるガザ侵攻等で未だにくすぶっている。当時、イスラエルを支援したのは米。対するアラブ諸国を支援したのはソヴィエト社会主義共和国連邦。A及びCの支援国は未だに変わらないが、Aを途中まで支援していた英仏に変わり、日が『新・日米安保法制(二十八年)』によって組み込まれた。
宗教で切ればAはユダヤ教が筆頭、BとCはイスラム教。人種で切ればAはユダヤ人、Bはアーリア人、Cがアラブ人。この様な状況下でトランプ米統領は国連を無視し、冒頭の宣言を行い、大使館を移す積りだ。移ってしまえば他社の報道の通り、日米は国際社会で孤立化する恐れがある。北が核を開発成功すれば、中国も加わる事になって更に複雑な事情に発展してしまう。中露は海軍をもって軍事連携を幾度もアピールしている。
今までと異なり、日本は中東戦争の当事者となりかねないので、国民は米中露及び中東を注視されたい。
画像引用:トランプ米大統領、エルサレムをイスラエル首都と正式認定/ロイター、紀元前500年 アケメネス朝ペルシア最大版図と現在の国名 地図/世界の歴史まっぷ、プーチン大統領が習主席にプレゼントした2画面スマホの中身/人民網
記事:金剛正臣
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