『新しい資本主義』が明確に、「資産所得倍増」を英Cityにて約束

【政治・経済・ビジネス・金融報道】 岸田総理(丁酉)は、令和四年五月五日に英・ロンドン「ギルドホール」にて一時間に亘る基調講演を行った。日英首脳会談前。世界随一の金融街「ロンドンCity」にて『新しい資本主義』を説明。日本の若者・若手にとって非常に重要な講演となった。


始めに「特に、核兵器の使用についての脅威を現実のものとして考えないといけない状況となってしまった事に、私は特別な、そして強い感情を抱きます。


それは私が、被爆地広島出身の政治家だからです。親類縁者には、被爆者や被爆死した人間もおり、子どもの頃から何度も核兵器の話を聞いてきました。それが私の原体験になっています。こうした広島の記憶が、私を平和を取り戻す為の行動に駆り立てます。」と語気を強めた。



<岸田へ投資を>

 本年のG20(金融・世界経済に関する首脳会合)のテーマは「共に、より力強い回復」。こちらに関し、総理は四月からのアジア歴訪を伝え、「日本は、エネルギ調達の多角化、再エネの最大限導入や原子力の活用を通じたエネルギ源の多様化等、自らのエネルギの自給率の脆弱性を克服すると共に、世界の回復にも積極的に貢献していきます。」と述べた。


自身の経済政策である「新しい資本主義」については、「日本経済は、これからも力強く成長を続ける。安心して日本に投資して欲しい。Invest in Kishidaです。」と、日本の安定性から英国へ投資を促した。


戦後日本の総理の中で、金融業界出身が初な点に触れ、「民間のアニマルスピリッツに支えられた強い経済こそ、最も重要だと強く確信致しました。私は、最近の総理大臣の中では、最も経済や或いは金融の実態に精通した人間だと自負しており、これからもマーケットの声、現場の声をよく聞き、政策を進めて参ります。」と主張。



新しい資本主義

 「一言で言えば、資本主義のバージョンアップですより強く、持続的な資本主義です。」と強調。バージョンアップでは、「外部不経済の問題(格差の拡大等)」「権威主義的国家からの挑戦」の二つへ対応する。


世界で資本主義は二回の大転換をしたと。「自由放任主義から福祉国家」、「福祉国家から新自由主義」の二回。新しい資本主義の三回目では市場・国家・官・民を「and」で繋ぎたい。Linkさせたい。


以下が対象。

  1. 分配の目詰まりの解消
  2. 付加価値を生む分野への過少投資の克服
  3. 新分野への労働移動の後押し
  4. 多様性の取込み
  5. 健全な新陳代謝の実現 


以下が具体的な四投資策。

  1. 「人への投資」
  2. 「科学技術・イノベ投資」
  3. 「スタートアップ投資」
  4. 「グリーン、デジタル投資」




<日本には素晴らしい女性や若者が沢山>

 一では、有形資産より無形資産が重要になる点を踏まえ、「フロー(PL)とストック(BS)両面で人への投資を伸ばしていく必要があります。」と説明。


賃上げや職業訓練、学び直し、生涯教育等への投資を伝えた。特に兼業・副業・リスキリング(新スキルや新知識の習得)に力を入れる。City関係者へ「我が国には、素晴らしい女性若者が沢山居ます。」と鼻息を荒くした。


また、日本の個人の金融資産二千兆円に触れ、「私は貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、投資による資産所得倍増を実現致します。」とCityへ所得倍増を約束した



若者を核とする“第二創業期”

 二では「最終的な勝者を決めるのは、科学技術の力です。」と述べ、企業のR&D投資と設備投資を転換したい旨を伝えた。AI・量子・バイオ・デジタル・脱炭素の五領域が国家戦略の対象。R&D投資を増加する企業へ大胆なインセンテイブを付与していく。日本の大学も強化(経営と学問の分離等を)する。


三では、戦後のホンダやソニーを「当時の若者が起業したスタートアップでした。私は、戦後に次ぐ“第二の創業ブーム”を日本で起こしたい。」と意気込んだ。


経済成長と社会的起業の二兎を追う新しい資本主義の担い手として、若者への今後の活躍を大いに期待した。その為に、「若者が躊躇無く、スタートアップに飛び込んでいける環境を整備します。」と明言。以下が五年計画の具体策。


  • スタートアップキャンパスの創設
  • スタートアップへのSBIR制度(中小企業 技術革新制度)の抜本拡充
  • 海外のベンチャキャピタルの誘致と海外ベンチャキャピタルへの公的資本の参加
  • 個人金融資産・GPIF(年金積立金 管理運用独法)等の長期運用資金のベンチャ投資への循環
  • ストックオプション等の環境整備  



機動的な財政政策

 四では、「令和三十二年カーボンニュートラル」「同十二年温室効果ガス四十六㌫排出削減」の国際約束を守る。十二年に十七兆円、今後十年間で百五十兆円(官民)の新たな関連投資を実現させる。


併せて、「web3.0」推進の為の環境整備を含め、新たなサービスが生まれ易い社会(5Gや光ファイバ整備で、世界最高水準のデジタルインフラ等)を実現させたい。技術進展に合わない制度や規制は大胆に見直す。


上記、四投資策の為に「強いマクロ経済フレームワーク」と「金融市場改革」を必要とし、大胆な金融政策、機動的な財政政策と成長戦略を一体的に進める。


財政政策につき、「予算の単年度主義」の打破と「税制」へ動的思考の導入(減税等のインセンティブが将来増)」の二点を訴えた。


最後は金融市場改革。「資産所得倍増プラン」を以て「眠り続けてきた一千兆円単位の預貯金(主にシニア)を叩き起こし、市場を活性化する為の仕事をして貰います。」と宣言した。



世界の金融経済は、英「City」と米「Wall街」で回っている。今回、岸田総理は政府バックアップ(財政政策等)により、日本の若者(ゆとり世代以下)が世界で通用すると英「City」へ売り込んだ。英国と日本のシニアに日本の若者へ出資させる、という事に他ならない。依って「資産所得倍増」を約束するに至った。

岸田総理が、日本の若者へ大いに期待している証左。



記事:金剛正臣

写真:総理大臣官邸

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