【社会・政治報道】 参議院(議長:山東昭子)は、令和四年五月十八日に二〇八「常会」にて閣法・改正『民訴法等』を採決。可決、成立した。衆院審議時の反対会派は立憲党(代表:泉健太)、共産党(委員長:志位和夫)と新選組(代表:山本太郎)。
裁判所のIT化法案。オンライン手続きが可能(訴状提出、リモート参加等)となる。
民訴法としては、新たに第八章「当事者に対する住所、氏名等の秘匿(百三十三条~百三十三条の四)」を追加する。以下は、主要な改正条文。
第四十五条の見出しを「(補助参加人の訴訟行為等)」に改め、同条に次の一項を加える。
5 次に掲げる請求に関する規定の適用については、補助参加人(当事者が前条第一項の異議を述べた場合において補助参加を許す裁判が確定したもの及び当事者が同条第二項の規定により異議を述べる事ができなくなったものに限る。)を当事者と見做す。
- 非電磁的訴訟記録(第九十一条第一項に規定する非電磁的訴訟記録をいう)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製(第九十二条第一項において「非電磁的訴訟記録の閲覧等」という)の請求
- 電磁的訴訟記録(第九十一条の二第一項に規定する電磁的訴訟記録をいう)の閲覧若しくは複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供(第九十二条第一項において「電磁的訴訟記録の閲覧等」という)の請求
- 第九十一条の三に規定する訴訟に関する事項を証明した書面の交付又は当該事項を証明した電磁的記録の提供の請求
(訴訟費用額の確定手続)第七十一条
2 前項の申立ては、訴訟費用の負担の裁判が確定した日から十年以内にしなければならない。
(訴訟が裁判及び和解によらないで完結した場合等の取扱い)第七十三条第二項に後段として次を加える。
この場合において、同条第二項中「訴訟費用の負担の裁判が確定した」とあるのは、「訴訟が完結した」と読み替えるものとする。
(映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論等)
第八十七条の二 裁判所は、相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定める所により、裁判所及び当事者双方が映像と音声の送受信により、相手の状態を相互に認識しながら通話をする事ができる方法によって、口頭弁論の期日における手続を行う事ができる。
2 裁判所は、相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定める所により、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により、同時に通話をする事ができる方法によって、審尋の期日における手続を行う事ができる。
3 前二項の期日に出頭しないで、その手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものと見做す。
第八十九条の見出しを「(和解の試み等)」に改め、同条に次の四項を加える。
2 裁判所は、相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定める所により、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により、同時に通話をする事ができる方法によって、和解の期日における手続を行う事ができる。
3 前項の期日に出頭しないで同項の手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものと見做す。
4 第百四十八条、第百五十条、第百五十四条及び第百五十五条の規定は、和解の手続について準用する。
5 受命裁判官又は受託裁判官が和解の試みを行う場合には、第二項の規定並びに前項において準用する第百四十八条、第百五十四条及び第百五十五条の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
(訴訟記録の閲覧等) 第九十一条第二項に後段として次を加える。
非電磁的訴訟記録中、第二百六十四条の和解条項案に係る部分、第二百六十五条第一項の規定による和解条項の定めに係る部分及び第二百六十七条第一項に規定する和解(口頭弁論の期日において成立したものを除く)に係る部分についても、同様とする。
同じく第九十一条の次に次の二条を加える。
(電磁的訴訟記録の閲覧等)
第九十一条の二 何人も、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定める所により、電磁的訴訟記録{訴訟記録中この法律その他の法令の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ)に備えられたファイル(次項及び第三項、次条並びに第百九条の三第一項第二号を除き、以下単に「ファイル」という)に記録された事項(第百三十二条の七及び第百三十三条の二第五項において「ファイル記録事項」という)に係る部分をいう。以下同じ}の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求する事ができる。
2 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、電磁的訴訟記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定める所により、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ)を使用して、その者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法、その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求する事ができる。
3 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定める所により、電磁的訴訟記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により、当該書面の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と同一である事を証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により、当該電磁的記録の内容が電磁的訴訟記録に記録されている事項と同一である事を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して、その者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法、その他の最高裁判所規則で定める方法により、提供する事を請求する事ができる。
4 前条第二項及び第五項の規定は、第一項及び第二項の規定による電磁的訴訟記録に係る閲覧及び複写の請求について準用する。
(訴訟に関する事項の証明)
第九十一条の三 当事者及び利害関係を疎明した第三者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定める所により、訴訟に関する事項を記載した書面であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により、当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により、当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して、その者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法、その他の最高裁判所規則で定める方法により、提供する事を請求する事ができる。
(専門委員の関与) 第九十二条
新2 専門委員は、前項の規定による書面による説明に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により、説明を行う事ができる。
(秘密保護の為の閲覧等の制限) 九十二条
6 第一項の申立て(同項第一号に掲げる事由がある事を理由とするものに限る。次項及び第八項において同じ)があった場合において、当該申立て後に第三者がその訴訟への参加をした時は、裁判所書記官は、当該申立てをした当事者に対し、その参加後直ちに、その参加があった旨を通知しなければならない。
但し、当該申立てを却下する裁判が確定した時は、この限りでない。
7 前項本文の場合において、裁判所書記官は、同項の規定による通知があった日から二週間を経過する日までの間、その参加をした者に第一項の申立てに係る秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
但し、第百三十三条の二第二項の申立てがされた時は、この限りでない。
8 前二項の規定は、第六項の参加をした者に第一項の申立てに係る秘密記載部分の閲覧等をさせる事について同項の申立てをした当事者の全ての同意がある時は、適用しない。
9 裁判所は、第一項の申立て(同項第二号に掲げる事由がある事を理由とするものに限る。次項において同じ)があった場合において、当該申立てに係る営業秘密が、その訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示される事により、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずる恐れがあり、これを防止する為、特に必要があると認める時は、電磁的訴訟記録中、当該営業秘密が記録された部分につき、その内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録すると共に、当該部分を電磁的訴訟記録から消去する措置、その他の当該営業秘密の安全管理の為に必要且つ適切なものとして最高裁判所規則で定める措置を講ずる事ができる。
10 前項の規定による電磁的訴訟記録から消去する措置が講じられた場合において、その後に第一項の申立てを却下する裁判が確定した時、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時は、裁判所書記官は、当該営業秘密が記載され、又は記録された部分をファイルに記録しなければならない。
(専門委員の関与) 第九十二条の二
新2 専門委員は、前項の規定による書面による説明に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により、説明を行う事ができる。
(期日の呼出し) 第九十四条第一項
- ファイルに記録された電子呼出状(裁判所書記官が、最高裁判所規則で定める所により、裁判長が指定した期日に出頭すべき旨を告知する為に、出頭すべき者において出頭すべき日時及び場所を記録して作成した電磁的記録をいう。次項及び第二百五十六条第三項において同じ)を出頭すべき者に対して送達する方法
- 当該事件について出頭した者に対して期日の告知をする方法
新2 裁判所書記官は、電子呼出状を作成した時は、最高裁判所規則で定める所により、これをファイルに記録しなければならない。
(訴訟無能力者等に対する送達)
第九十九条 訴訟無能力者に対する送達は、その法定代理人にする。
2 数人が共同して代理権を行うべき場合には、送達は、その一人にすれば足りる。
3 刑事施設に収容されている者に対する送達は、刑事施設の長にする。
(送達報告書)
第百条 送達をした者は、書面を作成し、送達に関する事項を記載して、これを裁判所に提出しなければならない。
2 前項の場合において、送達をした者は、同項の規定による書面の提出に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録し、又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する事ができる。
この場合において、当該送達をした者は、同項の書面を提出したものと見做す。
(送達実施機関)
第百一条 書類の送達は、特別の定めがある場合を除き、郵便又は執行官によってする。
2 郵便による送達にあっては、郵便の業務に従事する者を送達をする者とする。
(裁判所書記官による送達)
第百二条 裁判所書記官は、その所属する裁判所の事件について出頭した者に対しては、自ら書類の送達をする事ができる。
(交付送達の原則)
第百二条の二 書類の送達は、特別の定めがある場合を除き、送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。
(電磁的記録に記録された事項を出力した書面による送達)
第百九条 電磁的記録の送達は、特別の定めがある場合を除き、前款の定める所により、この法律その他の法令の規定により、ファイルに記録された送達すべき電磁的記録(以下この節において単に「送達すべき電磁的記録」という)に記録されている事項を出力する事により、作成した書面によってする。
(電子情報処理組織による送達)
第百九条の二 電磁的記録の送達は、前条の規定に関わらず、最高裁判所規則で定める所により、送達すべき電磁的記録に記録されている事項につき、次条第一項第一号の閲覧又は同項第二号の記録をする事ができる措置を執ると共に、送達を受けるべき者に対し、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用して当該措置が執られた旨の通知を発する方法により、する事ができる。
但し、当該送達を受けるべき者が当該方法により、送達を受ける旨の最高裁判所規則で定める方式による届出をしている場合に限る。
2 前項但し書の届出をする場合には、最高裁判所規則で定める所により、同項本文の通知を受ける連絡先を受訴裁判所に届け出なければならない。この場合においては、送達受取人をも届け出る事ができる。
3 第一項本文の通知は、前項の規定により届け出られた連絡先に宛てて発するものとする。
(電子情報処理組織による送達の効力発生の時期)
第百九条の三 前条第一項の規定による送達は、次に掲げる時の何れか早い時に、その効力を生ずる。
- 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項を最高裁判所規則で定める方法により表示をしたものの閲覧をした時
- 送達を受けるべき者が送達すべき電磁的記録に記録されている事項についてその使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録をした時
- 前条第一項本文の通知が発せられた日から一週間を経過した時
2 送達を受けるべき者が、その責めに帰する事ができない事由によって前項第一号の閲覧又は同項第二号の記録をする事ができない期間は、同項第三号の期間に算入しない。
(電子情報処理組織による送達を受ける旨の届出をしなければならない者に関する特例)
第百九条の四 第百九条の二第一項但し書の規定に関わらず、第百三十二条の十一第一項各号に掲げる者に対する第百九条の二第一項の規定による送達は、その者が同項但し書の届出をしていない場合であってもする事ができる。この場合においては、同項本文の通知を発する事を要しない。
2 前項の規定により送達をする場合における前条の規定の適用については、同条第一項第三号中「通知が発せられた」とあるのは、「措置が執られた」とする。
(公示送達の方法)
第百十一条 公示送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項を最高裁判所規則で定める方法により、不特定多数の者が閲覧する事ができる状態に置く措置を執ると共に、当該事項が記載された書面を裁判所の掲示場に掲示し、又は当該事項を裁判所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をする事ができる状態に置く措置を執る事によってする。
一 書類の公示送達 裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき事
二 電磁的記録の公示送達 裁判所書記官が、送達すべき電磁的記録に記録された事項につき、いつでも送達を受けるべき者に第百九条の書面を交付し、又は第百九条の二第一項本文の規定による措置を執ると共に、同項本文の通知を発すべき事
(訴えの提起前における照会) 第百三十二条の二
新4 予告通知をする者は、第一項の規定による書面による予告通知に代えて、当該予告通知を受ける者の承諾を得て、電磁的方法により予告通知をする事ができる。この場合において、当該予告通知をする者は、同項の規定による書面による予告通知をしたものと見做す。
5 予告通知者は、第一項の規定による書面による照会に代えて、被予告通知者の承諾を得て、電磁的方法により照会をする事ができる。
6 被予告通知者(第一項の規定により書面又は電磁的方法の何れかにより回答するよう照会を受けたものを除く)は、同項の規定による書面による回答に代えて、予告通知者の承諾を得て、電磁的方法により回答をする事ができる。この場合において、被予告通知者は、同項の規定による書面による回答をしたものと見做す。
第百三十二条の三に次の一項を加える。
2 前条第一項但し書、第二項及び第四項から第六項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同条第四項中「書面による予告通知」とあるのは「書面による返答」と「電磁的方法により予告通知」とあるのは「電磁的方法により返答」と読み替えるものとする。
(訴えの提起前における証拠収集の処分) 第百三十二条の四第三項に後段として次を加える。
この場合において、送付に係る文書若しくは電磁的記録を記録した記録媒体又は調査結果の報告若しくは意見の陳述に係る書面若しくは電磁的記録を記録した記録媒体については、第百三十二条の十三の規定は、適用しない。
(証拠収集の処分の手続等) 第百三十二条の六
新3 第百三十二条の四第一項第二号若しくは第三号の嘱託を受けた者又は同項第四号の命令を受けた者(以下この項において「嘱託等を受けた者」という)は、前項の規定による書面による調査結果の報告又は意見の陳述に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法による調査結果の報告又は意見の陳述を行う事ができる。
この場合において、当該嘱託等を受けた者は、同項の規定による書面による調査結果の報告又は意見の陳述をしたものと見做す。
(事件の記録の閲覧等)
第百三十二条の七 第九十一条(第二項を除く)の規定は非電磁的証拠収集処分記録の閲覧等(第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録(ファイル記録事項に係る部分を除く)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製をいう。第百三十三条第三項において同じ)の請求について、第九十一条の二の規定は電磁的証拠収集処分記録の閲覧等(第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分の閲覧若しくは複写又はファイル記録事項の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはファイル記録事項の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供をいう。第百三十三条第三項において同じ)の請求について、
第九十一条の三の規定は、第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件に関する事項を証明した書面の交付又は当該事項を証明した電磁的記録の提供の請求について、それぞれ準用する。
この場合において、第九十一条第一項及び第九十一条の二第一項中「何人も」とあるのは「申立人及び相手方は」と、第九十一条第三項、第九十一条の二第二項及び第三項並びに第九十一条の三中「当事者及び利害関係を疎明した第三者」とあるのは「申立人及び相手方」と、第九十一条第四項中「当事者又は利害関係を疎明した第三者」とあるのは「申立人又は相手方」と読み替えるものとする。
第百三十二条の十に見出しとして「(電子情報処理組織による申立て等)」を付し、同条第五項及び第六項を次に改める。
5 電子情報処理組織を使用する申立て等がされた時は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送達は、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に係る法令の規定に関わらず、当該電子情報処理組織を使用する申立て等により、ファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達によってする。
6 前項の方法により行われた電子情報処理組織を使用する申立て等に係る送達については、当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規定に規定する送達の方法により行われたものと見做して、当該送達に関する法令、その他の当該電子情報処理組織を使用する申立て等に関する法令の規定を適用する。
(電子情報処理組織による申立て等の特例)
第百三十二条の十一 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事件の申立て等をする時は、前条第一項の方法により、これを行わなければならない。
但し、口頭でする事ができる申立て等について、口頭でする時は、この限りでない。
- 訴訟代理人の内、委任を受けたもの(第五十四条第一項但し書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く)。当該委任を受けた事件
- 国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第二条、第五条第一項、第六条第二項、第六条の二第四項若しくは第五項、第六条の三第四項若しくは第五項又は第七条第三項の規定による指定を受けた者。当該指定の対象となった事件
- 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十三条第一項の規定による委任を受けた職員。当該委任を受けた事件
2 前項各号に掲げる者は、第百九条の二第一項但し書の届出をしなければならない。
3 第一項の規定は、同項各号に掲げる者が裁判所の使用に係る電子計算機の故障、その他その責めに帰する事ができない事由により、電子情報処理組織を使用する方法により申立て等を行う事ができない場合には、適用しない。
(書面等による申立て等)
第百三十二条の十二 申立て等が書面等により行われた時(前条第一項の規定に違反して行われた時を除く)は、裁判所書記官は、当該書面等に記載された事項(次の各号に掲げる場合における当該各号に定める事項を除く)をファイルに記録しなければならない。
但し、当該事項をファイルに記録する事につき、困難な事情がある時は、この限りでない。
- 一 当該申立て等に係る書面等について、当該申立て等と共に第九十二条第一項の申立て(同項第二号に掲げる事由がある事を理由とするものに限る)がされた場合において、当該書面等に記載された営業秘密が、その訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示される事により、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずる恐れがあり、これを防止する為、裁判所が特に必要があると認める時(当該同項の申立てが却下された時、又は当該同項の申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時を除く)、当該書面等に記載された営業秘密
- 二 書面等により第百三十三条第二項の規定による届出があった場合、当該書面等に記載された事項
- 三 当該申立て等に係る書面等について、当該申立て等と共に第百三十三条の二第二項の申立てがされた場合において、裁判所が必要があると認める時(当該同項の申立てが却下された時、又は当該同項の申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時を除く)、当該書面等に記載された同項に規定する秘匿事項記載部分
2 前項の規定により、その記載された事項がファイルに記録された書面等による申立て等に係る送達は、当該申立て等に係る法令の規定に関わらず、同項の規定によりファイルに記録された事項に係る電磁的記録の送達をもって代える事ができる。
3 前項の方法により行われた申立て等に係る送達については、当該申立て等に関する法令の規定に規定する送達の方法により行われたものと見做して、当該送達に関する法令、その他の当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
(書面等に記録された事項のファイルへの記録等)
第百三十二条の十三 裁判所書記官は、前条第一項に規定する申立て等に係る書面等の他、民事訴訟に関する手続において、この法律その他の法令の規定に基づき、裁判所に提出された書面等又は電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録されている事項(次の各号に掲げる場合における当該各号に定める事項を除く)をファイルに記録しなければならない。
但し、当該事項をファイルに記録する事につき困難な事情がある時は、この限りでない。
- 一 当該書面等又は当該記録媒体について、これらの提出と共に第九十二条第一項の申立て(同項第二号に掲げる事由がある事を理由とするものに限る)がされた場合において、当該書面等若しくは当該記録媒体に記載され、若しくは記録された営業秘密がその訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示される事により、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずる恐れがあり、これを防止する為、裁判所が特に必要があると認める時(当該申立てが却下された時、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時を除く)。当該書面等又は当該記録媒体に記載され、又は記録された営業秘密
- 二 当該記録媒体を提出する方法により次条第二項の規定による届出があった場合。当該記録媒体に記録された事項
- 三 当該書面等又は当該記録媒体について、これらの提出と共に第百三十三条の二第二項の申立てがされた場合において、裁判所が必要があると認める時(当該申立てが却下された時、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時を除く)。当該書面等又は当該記録媒体に記載され、又は記録された同項に規定する秘匿事項記載部分
- 四 第百三十三条の三第一項の規定による決定があった場合において、裁判所が必要があると認める時(当該決定を取り消す裁判が確定した時を除く)。当該決定に係る書面等及び電磁的記録を記録した記録媒体に記載され、又は記録された事項
(申立人の住所、氏名等の秘匿)
第百三十三条 申立て等をする者又はその法定代理人の住所、居所その他その通常所在する場所(住所等)の全部又は一部が当事者に知られる事によって当該申立て等をする者又は当該法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずる恐れがある事につき、疎明があった場合には、裁判所は申立てにより、決定で、住所等の全部又は一部を秘匿する旨の裁判をする事ができる。
申立て等をする者又はその法定代理人の氏名その他当該者を特定するに足りる事項(氏名等)についても、同様とする。
2 前項の申立てをする時は、同項の申立て等をする者又はその法定代理人(「秘匿対象者」)の住所等又は氏名等(「秘匿事項」)、その他最高裁判所規則で定める事項を書面により届け出なければならない。
3 第一項の申立てがあった時は、その申立てについての裁判が確定するまで、当該申立てに係る秘匿対象者以外の者は、前項の規定による届出に係る書面(「秘匿事項届出書面」)の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求をする事ができない。
4 第一項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をする事ができる。
5 裁判所は、秘匿対象者の住所又は氏名について第一項の決定(「秘匿決定」)をする場合には、当該秘匿決定において、当該秘匿対象者の住所又は氏名に代わる事項を定めなければならない。
この場合において、その事項を当該事件並びにその事件についての反訴・参加・強制執行・仮差押え・仮処分に関する手続において記載した時は、この法律その他の法令の規定の適用については、当該秘匿対象者の住所又は氏名を記載したものと見做す。
(秘匿決定があった場合における閲覧等の制限の特則)
第百三十三条の二 秘匿決定があった場合には、秘匿事項届出書面の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求をする事ができる者を当該秘匿決定に係る秘匿対象者に限る。
2 前項の場合において裁判所は申立てにより、決定で、訴訟記録等(訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。第百三十三条の四第一項及び第二項において同じ)中秘匿事項届出書面以外のものであって、秘匿事項又は秘匿事項を推知する事ができる事項が記載され、又は記録された部分(「秘匿事項記載部分」)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をする事ができる者を当該秘匿決定に係る秘匿対象者に限る事ができる。
3 前項の申立てがあった時は、その申立てについての裁判が確定するまで、当該秘匿決定に係る秘匿対象者以外の者は、当該秘匿事項記載部分の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求をする事ができない。
4 第二項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をする事ができる。
5 裁判所は、第二項の申立てがあった場合において、必要があると認める時は、電磁的訴訟記録等(電磁的訴訟記録又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録中ファイル記録事項に係る部分をいう。以下この項及び次項において同じ)中、当該秘匿事項記載部分につき、その内容を書面に出力し、又はこれを他の記録媒体に記録すると共に、当該部分を電磁的訴訟記録等から消去する措置、その他の当該秘匿事項記載部分の安全管理の為に必要且つ適切なものとして最高裁判所規則で定める措置を講ずる事ができる。
6 前項の規定による電磁的訴訟記録等から消去する措置が講じられた場合において、その後に第二項の申立てを却下する裁判が確定した時、又は当該申立てに係る決定を取り消す裁判が確定した時は、裁判所書記官は、当該秘匿事項記載部分をファイルに記録しなければならない。
(送達をすべき場所等の調査嘱託があった場合における閲覧等の制限の特則)
第百三十三条の三 裁判所は、当事者又はその法定代理人に対して送達をする為、その者の住所、居所その他送達をすべき場所についての調査を嘱託した場合において、当該嘱託に係る調査結果の報告が記載された書面が閲覧される事により、当事者又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずる恐れがある事が明らかであると認める時は、決定で、当該書面及びこれに基づいてされた送達に関する第百九条の書面その他これに類する書面の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付の請求をする事ができる者を当該当事者又は当該法定代理人に限る事ができる。
当事者又はその法定代理人を特定する為、その者の氏名その他当該者を特定するに足りる事項についての調査を嘱託した場合についても、同様とする。
2 前条第五項及び第六項の規定は、前項の規定による決定があった場合について準用する。
(秘匿決定の取消し等)
第百三十三条の四 秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定又は前条の決定(「秘匿決定等」)に係る者以外の者は、訴訟記録等の存する裁判所に対し、その要件を欠く事、又はこれを欠くに至った事を理由として、その決定の取消しの申立てをする事ができる。
2 秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等がある場合であっても、自己の攻撃又は防御に実質的な不利益を生ずる恐れがある時は、訴訟記録等の存する裁判所の許可を得て、第百三十三条の二第一項若しくは第二項又は前条の規定により閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又はその複製の請求が制限される部分につき、その請求をする事ができる。
3 裁判所は、前項の規定による許可の申立てがあった場合において、その原因となる事実につき、疎明があった時は、これを許可しなければならない。
4 裁判所は、第一項の取消し又は第二項の許可の裁判をする時は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
- 秘匿決定又は第百三十三条の二第二項の決定に係る裁判をする時、当該決定に係る秘匿対象者
- 前条の決定に係る裁判をする時、当該決定に係る当事者又は法定代理人
5 第一項の取消しの申立てについての裁判及び第二項の許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をする事ができる。
6 第一項の取消し及び第二項の許可の裁判は、確定しなければその効力を生じない。
7 第二項の許可の裁判があった時は、その許可の申立てに係る当事者又はその法定代理人、訴訟代理人若しくは補佐人は正当な理由なく、その許可により得られた情報を当該手続の追行の目的以外の目的の為に利用し、又は秘匿決定等に係る者以外の者に開示してはならない。
(訴えの提起の手数料の納付がない場合の訴状却下)
第百三十七条の二 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い、訴えの提起の手数料を納付しない場合には、裁判所書記官は相当の期間を定め、その期間内に当該手数料を納付すべき事を命ずる処分をしなければならない。
2 前項の処分は、相当と認める方法で告知する事によって、その効力を生ずる。
3 第一項の処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5 裁判所は、第三項の異議の申立てがあった場合において、第一項の処分において納付を命じた額を超える額の訴えの提起の手数料を納付すべきと認める時は、相当の期間を定め、その期間内に当該額を納付すべき事を命じなければならない。
6 第一項又は前項の場合において、原告が納付を命じられた手数料を納付しない時は、裁判長は、命令で、訴状を却下しなければならない。
7 前項の命令に対しては、即時抗告をする事ができる。
但し、即時抗告をした者が、その者において相当と認める訴訟の目的の価額に応じて算出される民事訴訟費用等に関する法律の規定による訴えの提起の手数料を納付しない時は、この限りでない。
8 前項但し書の場合には、原裁判所は、その即時抗告を却下しなければならない。
9 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てる事ができない。
(釈明処分) 第百五十一条
新2 前項の規定による電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定める所により、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
3 第一項の規定により提出された文書及び前項の規定により提出された電磁的記録については、第百三十二条の十三の規定は、適用しない。
(通訳人の立会い等) 第百五十四条に次の一項を加える。
新2 裁判所は、相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定める所により、裁判所及び当事者双方が通訳人との間で映像と音声の送受信により、相手の状態を相互に認識しながら通話をする事ができる方法によって、通訳人に通訳をさせる事ができる。
この場合において、当該方法による事につき困難な事情がある時は、裁判所及び当事者双方が通訳人との間で音声の送受信により同時に通話をする事ができる方法によってする事ができる。
第百六十条の見出しを「(口頭弁論に係る電子調書の作成等)」に改め、同条に次の一項を加える。
新2 裁判所書記官は、前項の規定により電子調書を作成した時は、最高裁判所規則で定める所により、これをファイルに記録しなければならない。
(口頭弁論に係る電子調書の更正)
第百六十条の二 前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがある時は、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正する事ができる。
2 前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定める所により、その旨をファイルに記録してしなければならない。
3 第七十一条第四項、第五項及び第八項の規定は、第一項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分及びこれらに対する異議の申立てについて準用する。
(準備書面) 第百六十一条第三項に次の各号を加える。
- 相手方に送達された準備書面
- 相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出された場合における当該準備書面
- 相手方が第九十一条の二第一項の規定により準備書面の閲覧をし、又は同条第二項の規定により準備書面の複写をした場合における当該準備書面
(準備書面等の提出期間) 第百六十二条
2 前項の規定により定めた期間の経過後に準備書面の提出又は証拠の申出をする当事者は、裁判所に対し、その期間を遵守する事ができなかった理由を説明しなければならない。
(当事者照会) 第百六十三条
2 当事者は、前項の規定による書面による照会に代えて、相手方の承諾を得て、電磁的方法により照会をする事ができる。
3 相手方(第一項の規定により書面又は電磁的方法の何れかにより回答するよう照会を受けたものを除く)は、同項の規定による書面による回答に代えて、当事者の承諾を得て、電磁的方法により回答をする事ができる。
(受命裁判官による書面による準備手続)
第百七十六条の二 裁判所は、受命裁判官に書面による準備手続を行わせる事ができる。
2 書面による準備手続を受命裁判官が行う場合には、前条の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
但し、同条第三項において準用する第百五十条の規定による異議についての裁判は、受訴裁判所がする。
(裁判所外における証拠調べ) 第百八十五条
3 裁判所(第一項の規定により職務を行う受命裁判官及び前二項に規定する嘱託により職務を行う受託裁判官を含む)は、相当と認める時は、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定める所により、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする事ができる方法によって、第一項の規定による証拠調べの手続を行う事ができる。
(調査の嘱託) 第百八十六条
2 裁判所は、当事者に対し、前項の嘱託に係る調査の結果の提示をしなければならない。
(参考人等の審尋) 第百八十七条
3 裁判所は、相当と認める時は、最高裁判所規則で定める所により、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする事ができる方法によって、参考人を審尋する事ができる。
この場合において、当事者双方に異議がない時は、裁判所及び当事者双方と参考人とが音声の送受信により同時に通話をする事ができる方法によって、参考人を審尋する事ができる。
4 前項の規定は、当事者本人を審尋する場合について準用する。
(映像等の送受信による通話の方法による尋問) 第二百四条に次の一号を加える。
三 当事者に異議がない場合
(尋問に代わる書面の提出) 第二百五条
2 証人は、前項の規定による書面の提出に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録し、又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する事ができる。
この場合において、当該証人は、同項の書面を提出したものと見做す。
3 裁判所は、当事者に対し、第一項の書面に記載された事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項の提示をしなければならない。
(鑑定人の陳述の方式等) 第二百十五条
新2 前項の鑑定人は、同項の規定により書面で意見を述べる事に代えて、最高裁判所規則で定める所により、当該書面に記載すべき事項を最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法又は当該書面に記載すべき事項に係る電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法により意見を述べる事ができる。
この場合において、鑑定人は、同項の規定により書面で意見を述べたものと見做す。
4 裁判所は、当事者に対し、第一項の書面に記載された事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項の提示をしなければならない。
(鑑定の嘱託) 第二百十八条
3 第一項の場合において、裁判所は、当事者に対し、同項の嘱託に係る鑑定の結果の提示をしなければならない。
(文書の留置) 第二百二十七条
2 提出又は送付に係る文書については、第百三十二条の十三の規定は、適用しない。
(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出)
第二百三十一条の二 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べの申出は、当該電磁的記録を提出し、又は当該電磁的記録を利用する権限を有する者にその提出を命ずる事を申し立ててしなければならない。
2 前項の規定による電磁的記録の提出は、最高裁判所規則で定める所により、電磁的記録を記録した記録媒体を提出する方法、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
(書証の規定の準用等)
第二百三十一条の三 第二百二十条から第二百二十八条まで(同条第四項を除く)及び第二百三十条の規定は、前条第一項の証拠調べについて準用する。
この場合において、第二百二十条、第二百二十一条第一項第三号、第二百二十二条、第二百二十三条第一項及び第四項から第六項まで並びに第二百二十六条中「文書の所持者」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を有する者」と、第二百二十条第一号中「文書を自ら所持する」とあるのは「電磁的記録を利用する権限を自ら有する」と、同条第二号中「引渡し」とあるのは「提供」と、同条第四号ニ中「所持する文書」とあるのは「利用する権限を有する電磁的記録」と、同号ホ中「書類」とあるのは「電磁的記録」と、「文書」とあるのは「記録媒体に記録された電磁的記録」と、第二百二十一条(見出しを含む)、第二百二十二条、第二百二十三条の見出し、同条第一項、第三項、第六項及び第七項、第二百二十四条の見出し及び同条第一項並びに第二百二十五条の見出し及び同条第一項中「文書提出命令」とあるのは「電磁的記録提出命令」と、第二百二十四条第一項及び第三項中「文書の記載」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容」と、第二百二十六条中「第二百十九条」とあるのは「第二百三十一条の二第一項」と、同条ただし書中「文書の正本又は謄本の交付」とあるのは「電磁的記録に記録された情報の内容の全部を証明した書面の交付又は当該情報の内容の全部を証明した電磁的記録の提供」と、第二百二十七条中「文書」とあるのは「電磁的記録を記録した記録媒体」と、第二百二十八条第二項中「公文書」とあるのは「もの」と、同条第三項中「公文書」とあるのは「公務所又は公務員が作成すべき電磁的記録」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第二百二十三条第一項の命令に係る電磁的記録の提出及び前項において準用する第二百二十六条の嘱託に係る電磁的記録の送付は、最高裁判所規則で定める所により、当該電磁的記録を記録した記録媒体を提出し、若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法により行う。
(映像等の送受信による方法による検証)
第二百三十二条の二 裁判所は、当事者に異議がない場合であって、相当と認める時は、最高裁判所規則で定める所により、映像と音声の送受信により検証の目的の状態を認識する事ができる方法によって、検証をする事ができる。
(電子判決書)
第二百五十二条 裁判所は、判決の言渡しをする時は、最高裁判所規則で定める所により、次に掲げる事項を記録した電磁的記録(「電子判決書」)を作成しなければならない。
- 主文
- 事実
- 理由
- 口頭弁論の終結の日
- 当事者及び法定代理人
- 裁判所
2 前項の規定による事実の記録においては、請求を明らかにし、且つ、主文が正当である事を示すのに必要な主張を摘示しなければならない。
(言渡しの方式)
第二百五十三条 判決の言渡しは、前条第一項の規定により作成された電子判決書に基づいてする。
2 裁判所は、前項の規定により判決の言渡しをした場合には、最高裁判所規則で定める所により、言渡しに係る電子判決書をファイルに記録しなければならない。
(電子判決書等の送達)
第二百五十五条 電子判決書(第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百八十五条、第三百五十五条第二項、第三百五十七条、第三百七十八条第一項及び第三百八十一条の七第一項において同じ)又は前条第二項の規定により当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨が記録された電子調書(第百六十条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る。次項、第二百六十一条第五項、第二百八十五条、第三百五十七条及び第三百七十八条第一項において同じ。)は、当事者に送達しなければならない。
2 前項に規定する送達は、次に掲げる方法の何れかによってする。
- 電子判決書又は電子調書に記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が当該電子判決書又は当該電子調書に記録されている事項と同一である事を証明したものの送達
- 第百九条の二の規定による送達
新3 電子呼出状(第九十四条第二項の規定によりファイルに記録されたものに限る)により前項の判決の言渡期日の呼出しを行う場合においては、次の各号に掲げる送達の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める時に、その送達があったものと見做す。
- 第百九条の規定による送達。同条の規定により作成した書面を送達すべき場所に宛てて発した時
- 第百九条の二の規定による送達。同条第一項本文の通知が発せられた時
第二百五十七条の見出しを「(判決の更正決定)」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をする事ができる。
但し、判決に対し適法な控訴があった時は、この限りでない。
(訴えの取下げ) 第二百六十一条
新4 前項の規定に関わらず、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という)において訴えの取下げをする時は、口頭でする事を妨げない。
この場合において、裁判所書記官は、その期日の電子調書に訴えの取下げがされた旨を記録しなければならない。
(和解条項案の書面による受諾) 第二百六十四条
2 当事者双方が出頭する事が困難であると認められる場合において、当事者双方が予め裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官から和解が成立すべき日時を定めて提示された和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、その日時が経過した時は、その日時に、当事者間に和解が調ったものと見做す。
第二百六十七条の見出しを「(和解等に係る電子調書の効力)」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送達しなければならない。
この場合においては、第二百五十五条第二項の規定を準用する。
(和解等に係る電子調書の更正決定)
第二百六十七条の二 前条第一項の規定によりファイルに記録された電子調書につき、その内容に計算違い、誤記、その他これらに類する明白な誤りがある時は、裁判所は、申立てにより又は職権で、いつでも更正決定をする事ができる。
2 前項の更正決定に対しては、即時抗告をする事ができる。
3 第一項の申立てを不適法として却下した決定に対しては、即時抗告をする事ができる。
(準備書面の省略等) 第二百七十六条第三項に次の各号を加える。
- 相手方に送達された準備書面
- 相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出された場合における当該準備書面
- 相手方が第九十一条の二第一項の規定により準備書面の閲覧をし、又は同条第二項の規定により準備書面の複写をした場合における当該準備書面
(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
第二百七十七条の二 裁判所は、相当と認める時は、最高裁判所規則で定める所により、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする事ができる方法によって、証人又は当事者本人の尋問をする事ができる。
(尋問等に代わる書面の提出) 第二百七十八条
2 第二百五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による証人又は当事者本人の尋問に代わる書面の提出について、第二百十五条第二項及び第四項の規定は前項の規定による鑑定人の意見の陳述に代わる書面の提出について、それぞれ準用する。
第二百八十条の見出しを「(電子判決書の記録事項)」に改める。
第二百八十八条の見出しを「(裁判長の控訴状審査権等)」に改める。
第三百八十七条の見出しを「(電子支払督促の記録事項)」に改め、同条に次の一項を加える。
2 裁判所書記官は、前項の規定により電子支払督促を作成した時は、最高裁判所規則で定める所により、これをファイルに記録しなければならない。
第三百八十八条の見出しを「(電子支払督促の送達)」に改める。
(電子情報処理組織による送達の効力発生の時期)
第三百九十九条 第百九条の三の規定に関わらず、送達を受けるべき債権者の同意がある時は、指定簡易裁判所の裁判所書記官に対してされた支払督促の申立てに係る督促手続に関する第百九条の二第一項の規定による送達は、同項の通知が当該債権者に対して発せられた時に、その効力を生ずる。
(法定審理期間訴訟手続の要件)
第三百八十一条の二 当事者は、裁判所に対し、法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判を求める旨の申出をする事ができる。
但し、次に掲げる訴えに関しては、この限りでない。
- 消費者契約に関する訴え
- 個別労働関係民事紛争に関する訴え
2 当事者の双方が前項の申出をした場合には、裁判所は、事案の性質、訴訟追行による当事者の負担の程度、その他の事情に鑑み、法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする事が当事者間の衡平を害し、又は適正な審理の実現を妨げると認める時を除き、訴訟を法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
当事者の一方が同項の申出をした場合において、相手方がその法定審理期間訴訟手続による審理及び裁判をする事に同意した時も、同様とする。
3 第一項の申出及び前項後段の同意は、書面でしなければならない。
但し、口頭弁論又は弁論準備手続の期日においては、口頭でする事を妨げない。
4 訴訟が法定審理期間訴訟手続に移行した時は、通常の手続の為に既に指定した期日は、法定審理期間訴訟手続の為に指定したものと見做す。
(法定審理期間訴訟手続の審理)
第三百八十一条の三 前条第二項の決定があった時は、裁判長は、当該決定の日から二週間以内の間において口頭弁論又は弁論準備手続の期日を指定しなければならない。
2 裁判長は、前項の期日において、当該期日から六月以内の間において当該事件に係る口頭弁論を終結する期日を指定すると共に、口頭弁論を終結する日から一月以内の間において判決言渡しをする期日を指定しなければならない。
3 前条第二項の決定があった時は、当事者は、第一項の期日から五ヶ月(裁判所が当事者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内に、攻撃又は防御の方法を提出しなければならない。
4 裁判所は、前項の期間が満了する迄に当事者双方との間で、争点及び証拠の整理の結果に基づいて、法定審理期間訴訟手続の判決において判断すべき事項を確認するものとする。
5 法定審理期間訴訟手続における証拠調べは、第一項の期日から六ヶ月(裁判所が当事者双方の意見を聴いて、これより短い期間を定めた場合には、その期間)以内にしなければならない。
6 法定審理期間訴訟手続における期日の変更は、第九十三条第三項の規定に関わらず、已むを得ない事由がある場合でなければ、許す事ができない。
(通常の手続への移行)
第三百八十一条の四 次に掲げる場合には、裁判所は、訴訟を通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をしなければならない。
- 当事者の双方又は一方が訴訟を通常の手続に移行させる旨の申出をした時
- 提出された攻撃又は防御の方法及び審理の現状に照らして、法定審理期間訴訟手続により審理及び裁判をするのが困難であると認める時
2 前項の決定に対しては、不服を申し立てる事ができない。
3 訴訟が通常の手続に移行した時は、法定審理期間訴訟手続の為、既に指定した期日は通常の手続の為に指定したものと見做す。
(法定審理期間訴訟手続の電子判決書)
第三百八十一条の五 法定審理期間訴訟手続の電子判決書には、事実として、請求の趣旨及び原因並びにその他の攻撃又は防御の方法の要旨を記録するものとし、理由として、第三百八十一条の三第四項の規定により当事者双方との間で確認した事項に係る判断の内容を記録するものとする。
(控訴の禁止)
第三百八十一条の六 法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、控訴をする事ができない。
但し、訴えを却下した判決に対しては、この限りでない。
(異議)
第三百八十一条の七 法定審理期間訴訟手続の終局判決に対しては、訴えを却下した判決を除き、電子判決書の送達を受けた日から二週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てる事ができる。
但し、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。
2 第三百五十八条から第三百六十条まで及び第三百六十四条の規定は、前項の異議について準用する。
(異議後の審理及び裁判)
第三百八十一条の八 適法な異議があった時は、訴訟は、口頭弁論の終結前の程度に復する。この場合においては、通常の手続によりその審理及び裁判をする。
2 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
3 裁判所は、異議後の判決がある迄、法定審理期間訴訟手続の終局判決の執行の停止その他必要な処分を命ずる事ができる。
4 第三百六十二条及び第三百六十三条の規定は、第一項の審理及び裁判について準用する。
第四百条から第四百二条まで削除
(了)
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