国指定六十周年の福岡『竹原古墳』で講演とシンポジウム

【社会報道】 平成三十年一月二十四日に福岡・宮若(市長:有吉哲信)は、市内にある国指定史跡『竹原古墳』の指定六十周年を記念して二月二日にシンポジウムを開催する事を発表した。諏訪神社の境内にある円墳の同古墳は昭和三十一年に発見された日本を代表する装飾古墳。常時公開している為、いつでも見る事ができる非常に珍しい古墳だ。


シンポジウムでは、日本を代表する考古学者が同古墳の発見から現在に至る迄と今後の活用方法について語る。会場はマリーホール宮田。参加費は無料で事前の申し込みは不要。但し、定員は三百名。プログラムは以下の通り。


講演 

  1. 「装飾古墳の意味と保存活用の意義」兵庫県立考古博物館館長/竹原古墳整備計画策定委員会委員長;和田晴吾
  2. 「竹原古墳の発見から調査研究の現在」福岡大学名誉教授;小田富士雄
  3. 「竹原古墳壁画にみる〝古代の心”」元・同志社大学教授;辰巳和弘 


シンポジウム

コーディネータ;石山勲(宮若市文化財保護委員会委員長)

パネラ;和田晴吾・小田富士雄・辰巳和弘



 同古墳は発見後、緊急調査によって石室内の清掃と実測、壁画の模写を行った。副葬品や死体の歯が大小二種類に分かれている事より、男女二人の死者を安置したものと推定されている。壁画の内容は、中国の青龍・白虎・朱雀・玄武の四神信仰の影響や龍と馬から駿馬を生み出すという龍媒伝説を連想させる。墳丘は二段築成。直径十七.五㍍。石室は横穴式で全長六.七㍍。六世紀後半頃(古墳時代後期)の優れた壁画古墳として知られ、一対の「さしば」と呼ばれる団扇のような日よけや龍・馬を曳く人、朱雀等が黒や朱の古代顔料で描かれている。


この絵の解釈としては四神思想、龍媒信仰、葬送儀礼の表現、騎馬民族到来等の様々な説があるが、何れにしても中国や朝鮮半島の影響をかなり受けた事が分かる壁画だ。流暢な描き振りと特異な図柄、そして何とも言えない味わい深い配色と相俟って「我が国における、この種の古墳壁画の中においても極めて優秀なものであり、学術上の価値が高い」と言われている。


尚、諏訪神社の祭神は「建御名方神(タケミナカタ ノカミ、諏訪大明神)」。「古事記」等に伝わる日本神話の神だが、「日本書記」には登場しない。「古事記」では大国主神(オオクニヌシ)の子とされる。


画像提供:福岡県宮若市

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