【ビジネス報道】 経産省(大臣:西村康稔)は、令和四年九月十六日に『「スピンオフ」の活用に関する手引』を改訂した。目的は、事業再編の手法としてスピンオフを活用し易くする事。
スピンオフとは、⾃社内の特定の事業部⾨・⼦会社を切り出し、独⽴させる事。独⽴した会社の株式は元の会社の株主に交付。⾃社内の特定の事業部⾨を切り出す場合は「新設分割」、⼦会社を切り出す場合は「現物配当」により⾏う。
以下が今回の追加内容。
- QAの追加・修正による関係法令の解釈の明確化等
- 『産業競争力強化法』に基づく特例措置の解説の追加;スピンオフ時に取締役等が負う「欠損填補責任」の立証責任の転換等
- 国内で実際に行われたスピンオフ事例の追加
一は、「スピンオフ時の『会社法』に基づく事業譲渡に係る総会決議の必要性」や「スピンオフされる会社の上場審査で必要となる財務書類の遡及監査の取扱い」、「スピンオフ実施と同時に新株を発行する際の、『金融商品取引法』に基づく届出前勧誘規制の取扱い」、「スピンオフを行う会社が、スピンオフ実施後に他法人に買収され子会社になる事が見込まれている場合の税務上の取扱い」、「スピンオフを行う際の実務上の工夫(スピンオフの検討において、第三者がスピンオフされる会社の株式を保有している場合の取扱い」。
スピンオフに関する税制措置
「スピンオフ」の内、⼀定のものを「適格組織再編(分割型分配・株式分配)」と位置付け、スピンオフ時に「譲渡損益」や「配当」についての課税を繰延べる。
以下が、分割型分配の要件。
- ⾮⽀配;分割法⼈が、分割直前に他者による⽀配関係が無い法⼈、且つ、「分割承継法⼈」が分割後に他者による⽀配関係が⾒込まれていない
- 株式のみ按分交付;分割により分割法⼈が、交付を受ける「分割承継法⼈」の全株式を分割法⼈の株主に交付されるもので、分割法⼈の株主の持株数に応じ、分割承継法⼈の株式のみが交付
- 主要資産等 移転;分割事業に係る主要な資産・負債が「分割承継法⼈」へ移転
- 従業者引継;分割事業に係る八十㌫以上の従業者が、分割後に「分割承継法⼈」の業務に従事する事が⾒込まれる
- 事業継続;分割事業が、「分割承継法⼈」において分割後も引続き⾏われる事が⾒込まれる
- 役員引継;分割法⼈の「役員」⼜は分割事業に従事してい る重要な「使⽤⼈」の何れかが「分割承継法⼈」の特定役員となる事が⾒込まれる
以下が、株式分配の要件。
- ⾮⽀配;現物分配法⼈が、分配直前に他者による⽀配関係が無い法⼈、且つ「完全⼦法⼈」が株式分配後に他者による⽀配関係が⾒込まれていない
- 株式のみ按分交付;完全⼦法⼈株式の全てが移転するもので、分配法⼈の株主の持株数に応じて完全⼦法⼈の株式のみが交付
- 従業者継続;八十㌫以上の従業者が、完全⼦法⼈の業務に引続き従事する事が⾒込まれる
- 事業継続;完全⼦法⼈の主要な事業が完全⼦法⼈において、株式分配後も引続き⾏われる事が⾒込まれる
- 役員継続;完全⼦法⼈の全特定役員が株式分配に伴い、退任するものでない
また以下の二点を平成三十年度に税制改正した。
- スピンオフ準備の為の完全⽀配関係内の組織再編の適格要件の緩和
- スピンオフ元の会社による証券会社への分割割合等の通知義務
前者は、完全⽀配関係がある法⼈間で⾏われる当初の組織再編(分社型分割等)の後に、適格株式分配を⾏う事が⾒込まれている場合、当初の組織再編の適格要件の内、完全⽀配関係の継続要件につき、その適格株式分配の直前時までの関係により判定。
後者は、特定⼝座で管理されている上場株式等を発⾏した法⼈が、分割型分割等を⾏った場合、その特定⼝座が開設されている⾦融商品取引業者等に対し、その上場株式等の取得価額及びその特定⼝座を開設する者が、その分割型分割等により取得した上場株式等の取得価額の計算に必要な情報(分割割合等)を通知しなければならない。
スライド:「スピンオフ」の活用に関する手引/経済産業省
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