【政治考察】 安倍政権は、平成三十年二月二十八日に一九六常会で成立を狙っていた『働き方改革関連法案』から裁量労働制の拡大(非正規まで)部分を全面削除する事を決めた。本関連法案は『労働基準法』や『労働者派遣法』等の八本の改正案で構成している。九月の自民・総裁選への世論影響を意識した可能性がある。
今回の働き方改革は最終地点ではない。安倍政権が見据えるゴールは二十八年に公表した「働き方の未来二〇三五/厚労省」にある。日本の働き方は大いに変わる。一言で「全国民の個人事業主化」だ。これは時代に則している。裁量労働制の適用拡大も正規と非正規の線引きを無くすもの。
<ビジネス法務の重要性>
今から約二十年後には高齢者は三人に一人を超える。現在のAI・ロボットの第四革命は推し進められ、正規及び非正規は減少していく。二年後の5Gの十㌐bpsからモバイルは百㌐bpsの光回線並みの通信速度を得る。厚労省はノドマ ワークの増加や物理作業の大半がロボット化等を予見。企業組織は「プロジェクト型ワークスタイル」に変容し、正規及び非正規の概念が逓減すると見る。
個人事業主と従業員との境がますます曖昧になっていく。組織に所属することの意味が今とは変わり、複数の組織に多層的に所属することも出てくる。また、プロジェクトの中には、非営利なものも、社会貢献を目指すものや自己実現を中心としたものもある
そして政府は先取りして新たな労働政策を構築する。特にB2C、C2Cの契約締結に関する基本概念の理解を提言している。個人事業主が増える以上、法的基礎知識の醸成が政府と各国民に問われる。
個人信用が命の時代へ
これは安倍政権が仕掛けている事ではなく、世界の潮流だ。抗う事は無駄である。経営者の様に臨機応変で柔軟な姿勢で臨む必要があるだろう。後二十年後には正規及び非正規は意味を為さない。企業という箱はキュレータ的な位置付けとなり、国民は一人ひとりがプロデューサとなる。企業も国民もブランディングが欠かせない。それは司法・立法・行政の公務員も同じだ。
今、正規雇用である者は二十年後には個人事業主となる。非正規雇用の者は正規よりも早く個人事業主として仕事をするだろうが、学習機会も少ない為、自助努力しなければならない。詰まり、これからの二十年はエリート チェンジの期間とみる。
政権交代は数年単位では起こらない。前回の衆院選が最後のチャンスであった。だが一人の女性が潰した。ならば与党内の政局が変わっても各種法案は二十年後に向けて、一つずつ法律を改正ないし起草していくだろう。未来は定まっている。エリートは動かれたい。
画像引用:働き方の未来 2035 - 厚生労働省
記事:金剛正臣
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