【社会考察】 内閣府(総理:安倍晋三)は、平成三十年四月六日に『社会意識に関する世論調査』の結果を公表した。調査対象は全国十八歳以上の日本国籍を有する者で、標本数は一万人。抽出方法は層化二段無作為抽出法。有効回答率は五十七.四㌫だった。
大別して「国と社会との関わり」「社会の現状に対する認識」「国の対策に対する評価」の三種を聞いた。国を愛する気持ちを育てる必要性では、七割が「そう思う」と回答。社会志向か個人志向か、との問いは略、拮抗。今後は国民全体の利益か個人の利益か、との問いには前者が五割弱、後者が過去最高の四割弱となった。
<一見、個人利益の重視は悪い様だが>
年代でみると、六十歳から六十九歳が最も全体利益を重視しているが、彼らより上の世代及び下の世代は下るにつれて、どんどん個人利益の重視が増える。十八歳から二十九歳に至っては世代別で最高の四割強を記録した。「一概に言えない」の率も年功序列だ。
比較する。今から五十年前の昭和四十四年には近しい問いとして「今の世の中では,社会のことなど考えてもしかたがないから,せめて自分の生活だけでも大事にしたい」がある。「同感できない」は三割で「同感できる」は六割強と当時の国民は答えた。全く同じ問いではないので、単純比較はできないが、昭和四十年台の方が平成二十年台よりも個人主義的な可能性がある。
その頃の日本経済は「いざなぎ景気/高度経済成長時代」であった。一方の現在は景気拡大中。平成三十年一月まで続けば、戦後最長記録を更新する。第二次安倍政権からだ。直近の日本経済の底であるリーマンショックの二十年の調査には本年と同じ問いがある。回答は全体利益の重視が五割強で、個人利益の重視が三割強であった。
若手は較差(努力が報われる)社会を支持しているか
推論の域を出ないが、個人利益を国民が追い求めた方が、結果、国家としての経済は成長するのではないだろうか。これは社会主義対資本主義の対立に似ている気がする。社会主義下よりも資本主義下の方が個人資産・所得は増大し易い。中国は資本主義的社会主義なので、参考にはしない方が良いだろう。日本は社会主義的資本主義であった。だが較差社会、階級社会と呼ばれる様に、社会主義的ではなくなった。だが経済は良くなっている。
較差が発生・拡張するのは資本主義下では当たり前の事である。較差がないのに、努力するのだろうか。努力し、報われるからこそ資本主義の本領を発揮できる。較差是正を訴える有識者は資産家なのだろうか。ベーシックインカム等は低スキルの国民をより怠惰にするだけだ。高所得者や富裕層はビジネスで果実を得る為に低所得者よりも不断の努力を続けている。
努力し、社会に評価された者が上位となる。年齢が若いにつれて、これを求めているのではないだろうか。さすれば若き世代が安倍政権を支持する理由、野党を支持しない理由が明確となる。野党の戦略では努力した者が大して報われないと若き世代は判断している。
働き手が個人利益をより大胆に重視すれば、弊害が伴うものの、結果的に経済は豊かになるかもしれない。ならば過去最高の本年の調査は歓迎すべきだろう。努力して評価されない者、努力さえ高所得者・富裕層の様にしない者が下位にならなければ、資本主義が壊れてしまう。怠惰を招く平等の正義か、較差を招く報恩の正義か。
画像引用:社会意識に関する世論調査(平成30年2月調査)/内閣府
記事:羽田野正法
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