【経済・財政報道】 岸田総理(丁酉)は、令和五年一月十六日に総理大臣官邸にて本年第一回『経済財政諮問会議』を開いた。実質、日本国の最高会議。
新年一回目では、経済学者等の八名を揃え、本会議内で新設した「有識者による特別セッション」を行った。中長期の経済財政運営について議論した。メンバには、若手の経済学者を二名入れた。
先月の本会議にて岸田総理は、本年の『骨太方針』の策定の為に向け、特別セッションを開く旨を伝えていた。今後、経済学者等を交えた特別セッションを数回程度開く予定。
<特別セッションのメンバ(五十音順)>
- シニア・清滝信宏(乙未):米「プリンストン大」教授
- 中堅・佐藤主光(己酉):「一橋大」経済学研究科教授
- 若手・滝澤美帆(己未):「学習院大」経済学部教授
- 若手・仲田泰祐(庚申):「東大」大学院経済学研究科・公共政策大学院准教授
- 中堅・永濱利廣(辛亥):「第一生命経済研究所」経済調査部首席エコノミスト
- 中堅・福田慎一(庚子):「東大」大学院経済学研究科教授
- 中堅・マルティン・シュルツ(不明):「富士通」チーフエコノミスト
- 中堅・渡辺努(己亥):「東大」大学院経済学研究科教授
国際的な政策の潮流をリード
会議後に岸田総理は、「経済あっての財政の考えの下、成長と分配の好循環を実現していく中で、中長期的な経済財政運営の全体像を明らかにしていく必要があります。
また、米国に於ける供給サイド強化の取組みについて紹介がありましたが、イノベと人への投資等を通じた成長と分配の好循環の実現は、先進国での共通課題となりつつあります。新しい資本主義を強化し、国際的な政策の潮流をリードしていきます。」と述べた。
日銀(総裁:黒田東彦)は、本年中に「需給ギャップ」がマイナスからプラスに転じるとの見通しを示している。
中長期の三論点
令和三年より本会議の有識者議員を務める「東大」大学院経済学研究科・柳川範之(癸卯)教授は、「中長期を見据えた経済財政政策の論点」を提出。以下が三つの論点。
- 持続的安定的成⻑に向けたマクロ経済運営の在り⽅
- 成⻑と分配の好循環の実現とサプライサイド強化に向けた考え⽅
- ⽬指すべき経済社会構造の在り⽅
一では、「物価上昇に負けない持続的な賃⾦上昇を可能とする環境の構築」や「経済を安定的な成⻑軌道に乗せていく為のポリシミックス」「世界経済のインフレ・経済減速の深刻化、エネルギ・⾷糧価格の⾼⽌まりや供給途絶、地政学リスクと重要品⽬のサプライチェーン破綻等のグローバルリスクへの積極的な対処」「中⻑期的な投資資⾦の確保と財政規律」等を挙げた。
二では、「分厚い中間層の構築、格差是正、質の⾼い雇⽤の創出の為の環境整備」「社会課題解決に向けた投資促進の為の中⻑期的な枠組み整備」「予⾒性を⾼める官⺠の連携の在り⽅」を挙げた。
三では、「コロナ禍を契機に婚姻率・出⽣率が急低下する中、少⼦⾼齢化・⼈⼝減少等に伴う国⼒の縮⼩傾向や地域経済の衰退を反転させるシナリオ(⼈的投資、 ⼦育て⽀援の強化等)」「⼈⼝減少下での社会保障制度の持続可能性強化、地方⾏財政制度の在り⽅」を挙げた。
写真:総理大臣官邸
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