【財政論説】 報道機関の役割の一つに、主権者・国民の意見を代弁する事がある。
二一一常会は六月まで行われる予定だが、今国会では国債『六十年償還ルール』や『予備費問題(政府基金)』等の財政の根幹に関わる部分に焦点が当たっている。
その中で、国民の意見を政府へ届ける報道機関の社説は、見出しの通り「財政緊縮論」が大勢だ。のせいで、日本は三十年ちかく財政緊縮(=国民所得の減)を続けている。一社ずつ確認していく。
<各社説>
読売新聞(主筆:渡辺恒雄)は、令和五年二月二日『政府の財政試算 黒字化への具体策を明示せよ』にて以下を論じた。歳出削減=GDP減。
- (PB黒字化の)達成が可能というなら、その条件となる歳出削減や経済再生の道筋を明確に提示せねばならない
- (子ども予算の倍増)これを国債で賄うとすれば、黒字化は更に難しくなる
産経新聞(主筆:不在、論説委員長:榊原智)は、一日『予算委と少子化 「児童手当」に終始するな』にて以下を論じた。
- 日本は子育て支援に対する公的支出が少ない
- 安定財源の確保策の検討が重要である
朝日新聞(主筆:不在、論説主幹:山中季広)は、二日『中期財政試算 疑わしい「黒字化実現」』にて以下を論じた。
- 与野党の財政規律が麻痺する中、抜本的に補正予算を縮小できるかは、疑わしい
- 緊急対応で増やした予算を平時に戻す事が必須なのは明らかだ
毎日新聞(主筆:前田浩智)は、一月二十九日『政府の財政試算 膨張を助長する甘い想定』にて以下を論じた。
- 健全化が遅れるほど将来世代へのツケが膨らむ(←ウソ)
- (PB黒字化)立て直しの道筋を早急に示すのは首相の責務だ
日本経済新聞(主筆:不在、論説主幹:原田亮介)は、二十七日『実効ある少子化対策へ全体像の議論を』にて以下を論じた。
- (児童手当の所得制限の撤廃)社会保険料からの拠出を財源に充てる案も浮上しているが、本来は消費税率の引き上げ等も含めて議論すべきだ
所得が増えないメカニズム
如何だろうか?三権(司法・立法・行政)に対抗できる報道機関が、軒並み財政緊縮論を展開している。産経を除く。報道府(主筆:金剛正臣)は、財政拡大を超える「財政拡張論」だ。令和の『高度経済成長(所得倍増)』の為に、一般会計では二百兆円の予算規模を提示している。
その結果、安倍内閣では「当初予算」と「補正予算」を合算し、百八十兆円まで迫った。現・岸田内閣も本年度の当初予算案で百十四兆円を積み増し、本年度の補正予算次第となる。
安倍内閣では百八十兆円まで積み増したものの、財務官僚が横槍を入れ、国民の所得増を阻害し続けた。故に、コロナ期もコロナ後も政府の国民手当てが弱い。その主たるものが『予備費問題』である。計上した予備費を「政府基金」へ移し、国民の為に使わせない。この政府基金を国会は実質、管理・監督できない。
必ず所得が減る未来
そして、各種予算を財務官僚が「不用額」等と認定し、国民への配分をブロック。当然、大手報道機関も財政緊縮へ世論誘導し、バックアップしている。但し、自民党(総裁:岸田文雄)と立憲党(代表:泉健太)の一部や国民党(代表:玉木雄一郎)は、財政拡大論である。敵は財務官僚。
財政を緊縮すれば、所得は減る。拡大すれば、所得は増える。現在は財政緊縮中なので、最も煽りを食うのは若者若手である。シニアは年金と医療費補助で安泰である。
若者若手を代弁する報道府への支持が強くならない限り、現在の若者若手は増税等で、必ず所得が減り続ける。
(了)
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