イノベータを軽視する「バブル世代」「しらけ世代」


【ビジネス・経済・社会考察】 日本経済(GDP)が米中と比べて三十年間も成長しないのは、端的にイノベータを軽視しているからに他なりません。


イノベータを重視すれば、日本経済は間違いなく米中の様に上向きます


つまり、イノベータ以外は極端な成長要素が無いとも言えます。先ず、予備知識として『PLC(プロダクトライフサイクル)/経営学』があります。全ての商品・サービスは「導入期⇒成長期⇒成熟期⇒飽和期⇒衰退期」の流れに従います。

ポイントは「導入期」です。




<大物重視の二世代>

 次の予備知識として上図の「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)/経営学」を確認します。全ての商品・サービスではありませんが、「問題児⇒花形⇒金の成る木⇒負け犬」が勝ちパターンです。ポイントは、市場占有率の低い「問題児」です。


PLCの「導入期」とPPMの「問題児」。この商品・サービスを創る事が、事実上のイノベーションと言えるでしょう。


報道現在で日本のビジネス・経済・社会・政治を担当しているのは、「バブル世代」と「しらけ世代」です。この二世代が経営学を学んでいない為、PLCの「成熟期」とPPMの「金の成る木」=大物ばかりを重視します。



イノベータ理論

 古い商品・サービスを延命さえ、米中に対抗できる新たな商品・サービスが沸き起こってこないのは、この二世代の為です。分かり易く言えば、大企業重視・知名度重視の「マジョリティ(アーリー及びレイト)」ないし「ラガード」が、各組織のトップと中間管理職に居座って判断をしています。「アーリーアダプタ」以上が居れば、「イノベータ」を採用・起用できるからです。


上図が「イノベータ理論/経営学」です。本稿で重視すべきはイノベータです。


マジョリティ以降では、イノベータを決して評価できません。価値観が異なり過ぎて、理解できないからです。次の「金の成る木」をつくる為に、取締役会(内閣)には少なくとも一人は、イノベータが必要です。イノベータは、マジョリティを理解できますが、決してマジョリティに迎合しないでしょう。




<XX染色体=安定志向>

 特に現在の日本社会では、女性の発言が優位(男性への差別)となっています。女性は男性よりも安定志向であり、イノベータ数が極端に少ない事が証明されています。世界や日本の上場数・起業家数の男女比を長年視ても理解できるでしょう。


制度や社会環境との相関は薄いです。何故ならば、XX染色体が革新(イノベーション)よりも安定を好んでいるからです。


よって、女性の発言が優位な現在の日本においては、イノベーションが起き難いのです。明治時代と昭和時代は男性の発言が優位であった為、行動するイノベータの確立が高まり、「創業期」が発生しました。結果、女性の生活が長く守られてきたのも事実です。



日本政府のイノベータ推し

 岸田内閣は令和時代に「第二創業期」を起こしたいそうです。ならば、日本政府がイノベータを推す必要があります。


ここで足枷になるのが、民主主義です。例えば、取締役会にイノベータが居ても、過半数を超える事はありません。従って、民主主義に則れば多数決でイノベータの提案は却下されます。


経営学ではPLCの「成熟期」とPPL「金の成る木」までは、ワンマン制がベターとされます。ワンマンであれば、イノベータの提案を採用・起用できます。日本の多くの合議制だと、ワンマンの競合他社に負けます、勝てません。国家の例では、米統領と中主席の権限は、日本の総理と比べてワンマン的でが、安倍内閣はワンマン的だったので、金融経済で成果を上げました。




<イノベータの生態系>

 それでも日本が米中に勝ちたければ、イノベータの生態系(エコシステム)を構築、米中よりも強化する事です。手始めにイノベータを重んじる事。イノベータを軽んじるトップと中間管理職を至急、排除する事。性差ではない多様性の許容です。多様性こそが商品・サービスの差別化に繋がります。


具体的には、財務状況が酷く、とても民間銀行から借りられないイノベータの商品・サービスへ政府の子会社である「日本公庫」が出資する事です(百万円~一千万円/回)。イノベータは商品・サービスの開発やバージョンアップに注力しており、大方が投資過剰な状態です。ですので、日本公庫の出番となります。


現在の日本公庫は民間銀行に準じており、まるでイノベータ企業(ユニコーン企業)を輩出してません。日本公庫としての独自性(日本のGDPを牽引する様な商品・サービスの発掘)が若者・若手へ伝わってません。これを改善すべきでしょう。



若者・若手への周知徹底

 次に、イノベータ企業へ出資ないし取引したい中堅・大手企業を、日本政府がまとめてプラットフォーム化する事です。若者・若手が知らなければ意味がありません。


今時、資金調達や取引等はネットのみで可能です。イノベータ向けのB2B及びB2Gの国家サイトを構築する事により、若者・若手のイノベータが集まってくるでしょう。併せて、マジョリティに繋ぐアーリーアダプタも近寄ってきます。


現在の国家サイトは、若者・若手のイノベータの琴線に触れません。魅力が分かり難く、使い勝手が悪い為です。何よりもスピード感が遅すぎます。広報・広告も無いに等しいので、話しになりません。あってもイノベータ向けではなく、マジョリティ向けに官僚達が作っています。




<イノベータ敵視の雰囲気>

 最後に、社会全体のイノベータ重視の雰囲気となります。現在の日本社会は、イノベータを排除どころか敵視している感さえあります。こういった事に現在の若者・若手は敏感です。


そしてアーリーアダプタが欠かせません。マジョリティ以降からしたら、意味不明な言語を使うイノベータを翻訳・プレゼンできるのがアーリーアダプタです。


アーリーマジョリティまで連結できれば、AKB48等の様に成長できます。その後は、海外戦略が肝です。初手からの海外戦略も一つですが、確実性が高いのは、国内市場を有している財務安定の状態で、海外戦略を組む事です。ここも先のフィリピン政府の様に、日本政府が関与できます。



最悪のパターン

 日本人は本来、米国人や中国人よりも発明意欲が高く、高品質な商品・サービスを輩出できます(零戦や空母、白物家電等)。それらを防いでいるのが、大物しか狙わない「バブル世代」と「しらけ世代」です。この二世代がダメであれば、報道府を筆頭に「ゆとり世代」「プレッシャ世代」「氷河期世代」が五十代・六十代になるまで待たなければなりません。


「氷河期世代」も前期はイノベータを軽んじ、大物狙いに陥っている可能性があるので、後期しか望みは無いかもしれません。次の「プレッシャ世代」と「ゆとり世代」には、そもそも米中と闘う意思が弱い様に見受けられます。


ともすれば最悪のパターンは、行動するイノベータ群を擁する世代が「氷河期世代」後期しか残ってない事です。「ゆとり世代」には若者が未だ多くいるので、やる気を潰してはならないでしょう。先ずは日本政府や大企業群が、イノベータを重視する姿勢を、前面に出す事から始めなければなりません。


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