二年半振りの日中韓首脳会談、三ヶ国FTAとRCEPで変わるアジア・オセアニア経済

【政治考察】 日本・安倍晋三(甲午)首相、中国・李克強(乙未)首相と韓国・文在寅(癸巳)統領の東アジア三ヶ国は、平成三十年五月九日に東京・元赤坂にて二年半振りに首脳会談を行った。李首相と文統領は初来日。共同宣言では日本人拉致問題の解決の文言が初めて記された。


北朝鮮(最高指導者:金正恩)に関しては三ヶ国とも「完全な非核化」で一致。日米が求めていた「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄(CVID)」の内、「検証可能」「不可逆的」は据え置かれた。また日中及び日韓首脳会談も行った。安倍首相は年内に訪中し、習近平(癸巳)国家主席が来日する事も合意した。


一方、金指導者は七日と八日に中国・大連にて習国家主席と再会談。三月下旬以来の二度目となった。そして十一日に史上初の米朝首脳会談が六月十二日にシンガポールにて開催する事を米国・ドナルド トランプ(丙戌)統領が発表した。


翻って日中韓首脳会談は定期開催で一致。経済も進展がある。東アジアにおけるインフラ強化の為に日中韓協議の検討、自由貿易と投資の重要性の認識、引続きのビジネス環境改善に関与、そして日中韓自由貿易協定(FTA)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉加速への努力。RCEPは印・豪を含む東南アジア諸国連合(ASEAN)との計十六ヶ国のFTA。中国よりの連携だ。


米国は日米FTAを望んでおり、タイが参加を表明した環太平洋パートナーシップ(TPP)への参加は懐疑的。五月八日には衆院本会議で米国を除く十一ヶ国によるTPPの関連法案が審議入りした。中国は一帯一路構想で欧州の反発により、アジア連携へ舵を切っている。南北朝鮮統一の実現性は極めて低いものの、「高麗民主連邦共和国」の一国二制度を金指導者は捨ててない。連邦化により朝鮮の経済は飛躍する可能性が残っている。


東アジアの軍事的情勢に警戒は残っているものの、東アジアを筆頭にアジア・オセアニア経済は激変へ向っている。皮肉にも米国の孤立化が進む中、どの選択肢を日本は選ぶか。


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