入社拘束は御法度、就活生は記者と見做せ

【ビジネス考察】 三月の就活解禁から二ヶ月が過ぎた。採用担当者と取締役会は留意しなければならない点がある。対ゆとり世代後期(最終ゆとり)への入社拘束だ。


最大のリスクは企業信用の低下による入社希望者数の減少。風評も看過し難い。例えば内定を出す際や最終面接の条件として他社への就職活動を実質的に止める事。現状は売り手市場。就職活動は自由であり、内定辞退も原則自由である。企業としては採用コストを意識するあまり、入社拘束を選びがちだが、安直である。


彼らはネットに情報を共有する。入社拘束の事実をネットに記されれば、長年に亘って検索ができる状態になる。目先の採用コストを回収できるかもしれないが、中長期では優秀な人材を獲得できなくなってしまう。優秀な人材は企業情報をあらゆる角度から分析しているものだ。入社拘束をする様な企業は入社してからは拘束的行為が無いのか。否である、と判断される。


入社拘束という手段を採らずに、企業がやるべき事は一つ。多数の内定を勝ち得る優秀な人材に選ばれる事だ。これは広告の概念に近い。コンサルティング企業のトーマツイノベーションが平成三十年四月二十六日に発表した「二〇一八年度 新入社員意識調査」には、直近三年で「働き続けたい」と答えた人は六十三.四㌫から五十三.八㌫と十㌫近く減った。新たな働き手は人生における就職をアプリの様に扱う。インストールするか、アンインストールを何時するか。


因って、企業は競合他社との差別化を大いにアピールして入社後の展開を見せる。全ての就活生に合わせる事は不可能である。それよりも企業の独自性を如何に表に出せるか。企業が提示する展開(プラン)が魅力的、一時の人生を賭すに値する、と判断されるか。特に面接時が勝負だ。未だ過去の遺物の様に面接で就活生をジャッヂする者がいるが、実際は逆である。既に面接官はジャッヂされる側なのだ。彼らはまるで記者かの様に情報を収集し、ネットの公表する。


記事:羽田野正法

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