厚労省等が『男性育休推進企業 実態調査 二〇二二』

【社会報道】 令和五年三月十五日に厚労省にて同省(大臣:加藤勝信)、ワーク・ライフバランス(代取:小室淑恵)とNPOフローレンス(会長:駒崎弘樹)の三者は、国内の企業を対象とした『男性育休推進企業 実態調査 二〇二二』の結果を会見発表した。


調査期間=昨年十二月~本年一月。回答=百四十一社。調査内容=「男性育休取得状況(平均取得日数・取得者数・対象者数)」、「男性育休取得促進の取組み」、「制度と取得促進に関する方針の周知方法」等。


昨年より改正『育児・介護休業法』が、段階的に施行している(「産後パパ育休」等)。本年四月より「男性の育児休業の取得状況」公表を義務付ける(従業員≧一千人)。




<男性育休推進企業は八割弱の取得率>

 会見内のビデオにて加藤大臣(乙未)は、「男性の育児休業取得率を、令和七年までに三十㌫にするという政府目標の達成に向けて、引き続き、政府としても全力で取組んで参りますが、企業・働く方・社会全体が男女共に家事・育児を行う事や子育て期の働き方について、理解を深めて頂く事も重要です。」と述べた。


一昨年度の日本全国の男性育休平均取得率=十三.九七㌫(厚労省調べ)、一昨年の「男性育休推進企業」=五十九.七㌫


今回の調査の結果、「男性育休推進企業」=七十六.九㌫(十七.二㌽の増)、平均取得日数=四十.七日となった。日数はあまり変わらず。男性育休の取得率と平均取得日数には、相関が視られなかった。



取得日数に差

 働き方改革の実施と育休取得率・取得日数の関係性も調べた。働き方改革を職場全体で「実施」企業は、育休平均取得率=七十七.〇㌫、平均取得日数=三十三日


「一部の部署で実施」企業は、前者=七十六.〇㌫、後者=十七日。後者は、職場全体と一部で二倍の差となった。


三者は要因を分析した。仮に、社内で声掛けや促進し、「取得率」が高まったとしても、取得日数は職場全体で働き方改革をして「仕事の属人化」を解消していなければ、伸びないというとが考える。何故ならば、仕事が属人化したままの企業では、当事者が「周囲に迷惑を掛ける」という懸念より、希望日数を取得し難い環境になってしまうから、とした。




<企業の取組み内容>

 企業の取組みについて調べると、後者=十四日以上では、「当事者以外の従業員やパートナが男性育休の必要性について学べる仕組みがある」「社内外に向けて、取得者の事例を発信している」等、当事者以外への情報提供をしている割合が高い結果だった。


育児休業を当事者の問題とせず、職場全体への情報提供を通して男性育休取得への職場の理解や風土醸成をする事が取得日数向上に繋がっている、とした。



業界別

 本調査から、直近三年連続で育休取得率・取得日数を記録した企業について調べた。評価指標は以下の通り。


  1. 令和二年と同四年(見込み)の男性育休取得率の伸び率が上位の企業
  2. 同上の男性育休取得日数の差異が、三十日以上の企業
  3. 同四年(見込み)について、男性育休取得率=八十㌫以上、且つ取得日数=三十日以上の企業


取得日数の伸びが大きかった業界は、「建設」「不動産」「物流」の二.八倍(八日→二十三日)。取得日数が短かった業界は、「金融」「保険」の十一日。同業界の取得率は平均=九十八㌫と高いものの、日数が二週間に達していない。


取得率の伸びが大きかったのは、「IT」「メディア」の二.一倍(二十三㌫→五十㌫)。本調査で取得率と取得日数で群を抜いていた二社は中小企業だった。



提言

 本調査結果を受けた提言は以下。


  1. 取得日数を向上させるには、「職場全体での働き方改革」と「当事者以外への情報提供」を行う
  2. 産後うつ予防
  3. 仕事の属人化の改善
  4. 楽しみながら学べる場の提供
  5. 株主・投資家に対して、積極的な人的資本投資の姿勢と成果を見せていく事が経営戦略として待ったなし

画像:㈱ワーク・ライフバランス、男性育休推進企業実態調査2022/厚生労働省

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