冤罪映画『獄友』の会見で証拠捏造の警察官に罪刑法定を求める

【社会報道】 平成三十年五月十四日に東京・渋谷にて、自由報道協会(会長: 苫米地英人)はドキュメンタリ映画『獄友/キムーンフィルム』の記者会見を行った。会見には金聖雄(癸卯)監督、昭和四十二年「布川事件」の桜井昌司(丁亥)元・被告人と「浜松・袴田巌さんを救う市民の会」の寺澤暢紘の三名が並んだ。


昭和四十一年「袴田事件」の袴田巌(丙子)死刑囚に対する再審開始の是非判断を東京高裁が六月十一日に示す。本作は既に公開しているが、高裁の判断の前に冤罪の事実を訴えるべく、今回の会見に踏み切った。作中では先の二名の加えて二年前に死去した「布川事件」の杉山卓男(丙戌)元・被告人、昭和三十八年「狭山事件」の石川一雄(己卯)無期懲役囚(仮釈放中)と平成二年「足利事件」の菅家利和(丙戌)元・被告人の計五名を追った。



<人生の殆どが塀の中>

 本作のコピーのインパクトは「やっていないのに殺人犯」と強い。人生の殆どを獄中で過ごした男達を「毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞/毎日新聞」等を受賞した金監督(写真上)が切り込む。彼らと逢った最初の感想は、拍子抜けだった。きっと不幸に違いないとの思い込みや偏見は崩れた。想像以上に前向きな彼らの生き方に感銘を受けて、映画制作のきっかけとなった。


金監督は「Loveストーリとして、冤罪シリーズは三作目。」と七年前から撮り始めた。彼らを「冤罪アベンジャーズ」と表現し、この国の捜査機関及び司法機関に疑義を呈す。冤罪となった桜井元・被告人も会見で「戦前も戦後も変わらない。」と捜査機関を指摘。



誰にでも冤罪は起こる

 静岡地裁で再審が決定して四十八年ぶりに釈放となった「袴田事件」では検察が即時抗告。四年が経過して六月十一日に再審の是非判断となる。再審の開始が決定しても、検察が特別抗告を最高裁にすれば審理は長期化してしまう。死刑囚側は特別抗告の断念を求めて、上川陽子(癸巳)法相の静岡事務所の近くに五月十八日に「袴田巌さんの壁」を設置し、アピールした。検察庁は法務省の特別機関に当たる。当該事件では検察の証拠捏造が疑われている。


桜井元・被告人(写真最上)は自白の強要を問題視。「警察、検察が冤罪をつくって良いのか。この日本は、これからも冤罪が続くと確信。」と誰にでも冤罪が起こり得る危険性を述べた。また一番の問題を警察とした。「(警察は)嘘を捏造する。これに罪を。」と捜査機関の虚偽を行った公務員に対して冤罪者と同様の罪刑法定を求めた。


更に裁判官の独立性にも言及。「検察庁の下に裁判官。」と厳しい口調で語った。特に逮捕勾留後の最大二十三日間に及ぶ身体拘束は先進国的観点より「クレイジ。」と断言。「立法府が警察、検察の下請け。」と国会議員の冤罪(自白強要)への問題意識の無さも問題視した。


撮影記事:金剛正臣

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