総務省基準『候補者の選挙運動と自身の子ども』

【政治報道】 総務省(大臣:松本剛明)は、令和五年三月一日に『候補者が自身の子どもを伴って行う活動について (年齢満十八年未満の者の選挙運動の禁止)』を各都道府県の選管へ送付した。


全文を掲載する。


一、選挙運動

 一般的に選挙運動とは、特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させる為に直接、又は間接に必要且つ有利な行為と解されている。


具体的にある行為が選挙運動に当たるか否かについては、その行為の態様、即ち、その行為の為される時期・場所・方法・対象等を総合的に勘案し、それが特定の候補者の当選を図る目的によるものかどうか、


また、それが特定の候補者の為の投票獲得に直接、又は間接に必要且つ有利な行為に該当するかどうかについて、具体の事実に即して判断されるものである。


二、候補者が自身の子どもを伴って行う活動について(年齢満十八年未満の者の選挙運動の禁止)

 『公職選挙法』第百三十七条の二第一項において、年齢満十八年未満の者(以下「子ども」と言う。)は選挙運動をする事ができない事とされている。


また、同条第二項において、何人も子どもを使用して選挙運動をする事ができない事とされ、但し、選挙運動の為の労務に使用する場合は、 この限りでないとされている。


個別具体の行為が、法の規定に抵触するかどうかについては、具体の事実関係に即して判断されるべきものであるが、これまでの実例等をまとめると次の通りである。



問一;子どもが候補者やそのスタッフと、一緒に歩く事はできるか。

 答一;単に候補者やそのスタッフが場所を移動している際に、子どもが同行しているのみであれば差し支えない

但し、個別具体の状況により、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問二;子どもが選挙運動用葉書の宛名書きをする事や公営掲示板に選挙運動用ポスタを貼る事はできるか。

 答二;単純な機械的労務のみであれば、差し支えない



問三;街頭演説の際に子どもを抱く事ができるか。

 答三;個別具体の状況により、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問四;街頭演説で子どもが与えられた原稿を、機械的に読み上げる事はできるか。

 答四;法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問五;子どもが候補者の個人演説会の会場出入口で「立礼」する事はできるか。

 答五;個別具体の状況により、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問六;個人演説会の壇上で参集者に向かって、子どもに「ガンバローコール(参集者と共に大声で「ガンバロー」と声を掛け合う)」をさせる事はできるか。

 答六;法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問七;子どもが選挙運動用「自動車」に乗って、候補者名を連呼する事や手を振る事はできるか。

 答七;法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問八;選挙運動の合間に、選挙運動用「自動車」の中で、子どもに授乳する事はできるか。

 答八;差し支えない



問九;子どもは、次の行為をする事ができるか。

  1. 選挙運動に関する投稿について、FBの「シェア」やTwの「リ ツイート」をする事
  2. 選挙運動に関する投稿について、FBの「コメント」又はTwの 「返信」により、(ア)「いいね」というメッセージを発する事、(イ)「頑張ってください」等の候補者を単に応援するメッセージを発する事、(ウ)「賛成」「支持する」等の自身の意思表示に過ぎないメッセージを発する事
  3. 候補者が街頭演説している姿の写真を撮り、FB及びTwに当該画像をアップする事


 答九;

  1. 選挙運動に関する投稿をFBで「シェア」又はTwで「リツイー ト」をする事は、一般的には、選挙運動に当たる恐れがあり、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。
  2. 設問の様な共感や自身の意思表示に過ぎないメッセージを発する事は、直ちには選挙運動には当たらないものと考えられるが、個別具体の状況により、選挙運動と認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある
  3. 一般的には、選挙運動に当たる恐れがあり、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十;子どもが選挙運動を内容とするインターネット上の動画(YT等)に出演する事はできるか。

 答十;個別具体の状況により、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十一;選挙運動用ポスタに「子どもの写真」を掲載する事はできるか。

 答十一;子どもの写真を一切掲載できないという事ではないが、当該ポスタの記載内容等から見て、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十二;「政見放送(持ち込みビデオ)」に候補者と一緒に子どもが出演する事はできるか。

 答十二;子どもを一切画面に出せないという事ではないが、当該ビデオの内容等から見て、子どもが選挙人に働き掛ける等、選挙運動をし、又は選挙運動の為に使用されていると認められる場合には、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十三;確認団体の政治活動用ビラを、選挙運動の為にする街頭演説の場所において、子どもを使用して頒布させる事はできるか。

 答十三;法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十四;確認団体が開催する「政談演説会」で、子どもが弁士として演説を行う事はできるか。

 答十四;政談演説会が純然たる政治活動として行われるものであれば、子どもが弁士として政策の普及宣伝等、政治活動の為の演説をする事はできる

但し、政談演説会の内容が選挙運動に亘っているものであれば、法第百三十七条の二に抵触する恐れがある。



問十五;子どもと一緒に当選後の万歳をする事はできるか。

 答十五;差し支えない


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