岸田内閣へ。「若者・若手の所得増」「出生数増」を実現できる、たった一つの方法

【社会・ビジネス・財政論説】 岸田総理(丁酉)は、令和五年四月二十七日に総理大臣官邸にて第二回『子ども未来戦略会議』を開催した。会議では、子ども・子育て政策の強化について議論を行った。


二十九日には、東京「代々木公園」にて第九十四回『メーデー中央大会/連合』に出席。二つの現場で岸田総理は、「若い世代の所得を上げる事」を強調した。


本会議では構成員や大臣が議論を展開しているが、枝葉の議論が多く、根本的な問題が欠落している。それは「若者・若手による開業率」だ。




<出会い・結婚・出産>

 出生数が上がる為には、子育て費用を勘定しなければならない。結婚も仕事の安定等が求められる。そして出会いでさえも、所得と労働時間が関係する。


共通する解決策は岸田総理が主張する通りに「賃上げ」だが、出会い・結婚・出産を包含できる程の賃上げを実現できるのは、一部の大企業だけだ。霞が関では出生数が上がっているのか?


そこで岸田総理は、「中小企業の賃上げ」をメーデー中央大会にて論じた。確かにその通りなのだが、中小企業に勤める中堅・シニアが、若者・若手の賃上げを阻害するだろう。この点を国会議員と大手企業の役員は理解していない。



四十四歳以下の女性も支援対象に

 故に、打開策は一つである。若者・若手の開業率を上げ、中堅・シニアに左右され難い環境の創造だ。これで賃上げ・所得増を実現できる。若者だけでなく若手を入れている理由は、若手の女性にも出産意欲があるからだ。先日に都F・荒木千陽(壬戌)特別顧問が四十代で妊娠した。とても目出度い事だ。


政府は若者に絞るだけでなく、四十四歳以下の若手にも対象を広げるべきだろう。女性達の希望を政府が削ってはならない。出産意欲がある「氷河期世代・後期」「プレッシャ世代」の女性は未だ居る。


「氷河期世代・後期」「プレッシャ世代」「ゆとり世代」の三世代は、兼業副業をちゃんと念頭に置いている。その際のベターな選択肢は独立(個人事業主)。この個人事業主へ政府系金融機関『日本公庫』が出資すべきだ。



資本性ローン

 報道現在の日本公庫は、まるで他の銀行と審査が変わらず、勇気あるイノベータやアーリーアダプタをバックアップできない。若者・若手にとって審査が厳し過ぎる。


しかも新規でないと審査が緩くならないなら、これ程に勿体無い事は無い。「就職氷河期~リーマンショック~コロナ禍」を貧しきながらも乗り越えた知見(データ)を生かせない。


中途採用を強化する様に、事業継続年数が長い個人事業主と零細企業にも「資本性ローン」を政府が投資すべきだろう。




<デフレ期の原則>

 冒頭の本会議にて、構成員による財源論があったが、殆どが「消費税の増税論」で「国債」の文言は無かった。財政音痴が過ぎる。江戸時代や明治時代の財政を学んだ者を、専門家として構成員にすべきだろう。構成員と大臣が、日本の過去の財政を学び直しされたい。


詰まり、出産に至らないのはデフレだから。デフレ期に増税するなぞ、愚の骨頂である。デフレ期には、財政を拡大させインフレを誘発させる。結果、若者・若手の所得が上がり、出生数の増に傾く。


その際に、中堅・シニアが取締役会の企業へ投資しても無駄である。散々に貯め込んだ大企業群の内部留保の金額(五百二十兆円)を見れば、簿記の分からない財務官僚でも「投資対効果が低い」と理解できるだろう。


それでも「サプライサイドの供給強化(上図)」と銘打ち、まだ大企業群へ金を渡すのか?



中小企業対策費

 中堅・シニアの取締役会は、生産性が低い事が証明されているのだから、いい加減、政府は若者・若手の個人事業主や取締役会へ投資を切り替えるべきだろう。これを平成時代から行わないから、出生数が下がり続けている。


上図の通り国家予算(一般会計)の「中小企業対策費」は、一㌫にも満たない。それで日本の労働者の七割を占める中小・零細の賃金が上がる訳が無い。


何も国債を何十兆円も増発しろ、とは言ってない。若者・若手に対する『日本公庫』の審査基準を徹底的に緩め、自己資本=十万円ぐらいから、「一千万円を上限に投資」と言っている。



日本公庫だけで十分

 近年、若者・若手の「限界消費性向」が逓減しているが、政府出資で逓増に変える。事業が失敗しても取引量は増え(GDP増)、少なくとも消費税で徴税できる。


十社で一億円、百社で十億円、一千社で百億円、一万社で一千億円。


一千億円の予算があれば、最大一万社が起業・事業強化できる。一兆円の予算ならば、最大十万社の起業・事業強化。これでも国家予算(一般会計)の一㌫未満だ。日本公庫だけで「若者・若手の所得増」「出生数増」が実現できる


その後の子育て政策は、本会議で進めている事で補えるだろう(大学無償化まで)。



尚、日本公庫はコロナ禍で「ゼロゼロ融資(資本性ローン)」をしたが、年齢別を公表しない。


単純に、日本の若者・若手は「消費税」や「給料減(社会保険料の増等)」でお金を盗られ続け、中堅・シニアの一部が吸い取り続けているから(例;金融資産の年齢別割合等)、出生数が上がらないだけだ。


第一回『子ども未来戦略会議』での主な意見

四.子ども・子育て政策の強化に関する財源の在り方について


  • 子育ち・子育てに必要な費用は、社会全体で拠出すべきであり、その為には、子育ちと子育てを社会全体で支える意義を分かり易く国民に伝え、理解を得ていく事によって、納得感を誰もが得ていく様な形で進めて いく必要
  • 再分配は、薄く広く集めて、必要な人に集中的に分配する政策。受給者も負担するが、子育て世帯のネットの受益はプラスとなる(※「世代会計」上、間違い)。再分配政策の制度設計では、費用負担者の意向を汲み取り、受益者に加え、協力者として支える人達の満足感も高める様工夫する余地がある
  • 国民の納得感の観点から、必要な方へ重点化する事が望ましい。また、既存の社会保障予算の適正化・効率化を徹底し、負担増を抑制する事が必要
  • 財源として社会保険料等が報道されているが、折角の賃上げの契機に水を差す。むしろ全世代が応能負担で支える観点も含め、中長期の視点から、様々な税財源を組合わせる事が望ましい
  • 中小企業は、家族も含めれば約六~七千万人の国民の生活基盤。そういう人達の子育てや働き方の環境向上が拡充される様な、多方面からの検討が必要。また、持続的な賃上げのモメンタムに水を差さない様な議論をお願いしたい
  • 財源を考える際、少子化対策は、社会的には社会保障制度の持続性に深く関わり、経済的には人的資本投資の最上流の源に位置する。前者からは高齢者を含めた全世代負担に、後者からは幅広い企業負担に長期的に合理性がある
  • 児童手当には既に年間二兆円掛かっているが、所得制限を撤廃する効果は如何程なのか。限りある財源(※財源自体に限りナシ)は、低所得者への手厚い経済支援と共に、中小企業の働き方改革推進の為の集中的支援に振り向けるべきではないか。しっかりと効果の見える化(※可視化)をすべき
  • 少子化対策に協力的な企業には負担率の優遇をする一方、少子化の克服に非協力的な企業には負担率を重くすることも検討すべき(第二回)


※は報道府の補足


子ども未来戦略会議「有識者構成員」

 全十九名。内、四十四歳以下の子育て世代は、四名。男性は〇名。


  1. 秋田喜代美;「学習院大」文学部教授 
  2. 荒木泰臣;全国町村会会長
  3. 遠藤久夫;「学習院大」経済学部教授
  4. 奥山千鶴子;NPO法人「子育てひろば全国連絡協議会」理事長、認定NPO法人「びーのびーの」理事長
  5. 権丈善一;「慶大」商学部教授
  6. 小林健;「日商」会頭
  7. 櫻井彩乃;「GENCOURAGE」代表
  8. 清家篤;「日本赤十字社」社長、「慶応義塾」学事顧問
  9. 高橋祥子;株式会社「ジーンクエスト」取締役ファウンダ
  10. 武田洋子(年齢不詳);株式会社「三菱総合研究所」研究理事 シンクタンク部門副部門長(兼)シンクタンク部門統括室長(兼)政策・経済センター長
  11. 立谷秀清;「全国市長会」会長
  12. 十倉雅和;「経団連」会長
  13. 冨山和彦;株式会社「経営共創基盤IGPIグループ」会長、株式会社「日本共創プラットフォーム」代取
  14. 中野美奈子;フリーアナウンサ
  15. 新浪剛史;「サントリーHD」株式会社代取
  16. 新居日南恵;NPO法人「manma」創業者・理事
  17. 平井伸治;「全国知事会」会長
  18. 水島郁子(年齢不詳);「阪大」理事・副学長
  19. 芳野友子;「連合」会長

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