中小企業が本年に採るべき“経営戦略”

【ビジネス論説】 日経二二五(日経平均)は平成二十八年一月八日現在で一万七千六百九十七円と、戦後初の年初来五日続落になった。世界的な株安で初週を迎えた。本年、取締役及びビジネス オーナは自社の貸借対照表(BS)内の「投資有価証券(上場企業株)」を増やすコトに慎重になった方が良いであろう。輸出入関連企業は、為替への前もった対処も怠れない。本年末には、一月とは全く異なるビジネス環境になっているコトを肝に銘じる必要がある。


株式市場と為替が乱高下するならば、本業に精を出す。昨年と同じビジネスの前提ではならない。本業をバージョンアップする。その鍵(KFS)は、異業種との協業だ。業務提携等のシナジーからのイノベーションを図る。政治の世界も共闘が本年のテーマ。日米と中欧もアジアとの共闘を始めている。共闘しイノベーションを起こすコトで本業はバージョンアップできる。財テクよりも本業の根幹たる“ヒト”を育てる年であろう。




<ヒトが全ての二十一世紀ビジネス>

 昨年四月に「MFクラウド Expo 2015/マネーフォワード」が開催され、経営コンサルタントの大前研一が「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」の世紀に変わった旨の記事『大前氏が熱弁―ビジネスの要諦は「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」へ/ZUU(画像引用)』が公開されている。


要は、カネは今ではコモディティになっていまして、世界中1%以下でもってカネを調達できます。ですから、もはやカネは経営に必須のものではなくなっている。いい人がいて、良い事業計画があったら、カネは集まります


中小企業の悩みの種の一つに“求人”がある。優秀な“ヒト”を如何に集めるか。バリューネームのない中小企業は、大企業に勝てない。対策は一つ。メディア化である。前提に優秀な“ヒト”を求めてはならない。獲得コスト(求人掲載費用等)と“ヒト”を自社に引き留める維持コストの合計は、その“ヒト”の生産高を上回る確率が高くなってきている(三年以内の離職率の上昇)。因って、優秀でない“ヒト”を育てる戦略で取締役は挑むべきだ。




<自社のメディア化が活路>

 未だにホームページのない企業がある。未だに自社のSNSをもたない企業がある。これでは“ヒト”の獲得が効率的、効果的ではないだろう。既に優れた大企業はオウンド メディアと称し、メディア化を図っている。その効果は二つ。広報・広告と求人だ。情報が閉ざされた企業には、取引先も含めて警戒感を抱くだろう。ネット上で自社の情報をオープンにする。そうするコトで志向・趣向が同じタイプの“ヒト”が少しだけ集まる。何よりSNSの運用は、コスト的に優しい。


冒頭で触れた、共闘を推し進めるのも新たな“ヒト”だ。今迄の社内の“ヒト”では限界がある。限界があるから、イノベーションが起きない。イノベーションは中からより、外の“ヒト”からの方が起こり易い。新たな“ヒト”を育てる環境を社内に準備する。新たな“ヒト”を呼び込める様に自社をメディア化する。新たな“ヒト”と共闘できる様に予想できない行動を許容する(損失の発生しない新規開拓の分野等で)。




<小さく生んで大きく育てる>

 イノベーションは、通常、何か分からない。それは発明に等しい。イマ、理解できるワケがない。イノベーションは企業の継続に不可欠だ。予想できるモノ、理解できるモノの延長上にイノベーションは決してない。よく分からないモノの積み重ねが、イノベーションとなる。それはまるで英語の勉強に同じで、初めはよく分からない言語だが勉学の積み重ねで、ある時、ヒアリングやリーディング、スピーキングが少しできる様になる。


計画的なイノベーションは、計画的な“ヒト”戦略にある。今迄の“ヒト”、似通った“ヒト”ではイノベーションが起こし辛い。取締役会にとって疑問符の付く“ヒト”を獲得するコトが未来の利益を安定的にしてくれるだろう。株式市場及び為替は読めない。そんな時勢では、読めない“ヒト”を獲得し育てるべきであろう。重要な経営資源である“ヒト”もリーン・スタートアップだ。

(了)

0コメント

  • 1000 / 1000