【ビジネス報道】 日本と欧州連合(EU)は、平成三十年七月十七日に総理大臣官邸にて経済連携協定(EPA)に署名した。日本は安倍晋三(甲午)首相、欧州はドナルド・トゥスク(丁酉)欧州理事会議長とジャン=クロード・ユンカー(甲午)欧州委員会委員長。トゥスク議長は欧州における元首に相当。併せて戦略的パートナーシップ協定(SPA)にも署名した。
両首脳は五年に亘って交渉を続けてきた。今回の署名により、次の段階である国会(今秋の臨時会)及び欧州議会にて承認手続きを経て、来年初めまでに協定発効を目指す。新たに誕生する自由貿易圏は世界貿易の四割、世界の国内総生産(GDP)の三割で人口は六億人。
本協定は以下の全二十三章及び関連附属書等から構成する。和文で全四百七十八頁。
- 総則
- 物品貿易
- 原産地規則及び原産地手続
- 税関に係る事項
及び貿易円滑化
- 貿易上の救済
- 衛生植物検疫措置
- 貿易の技術的障害
- サービスの貿易,
投資の自由化及び電子商取引
- 資本移動,支払及び資金の移転並びに一時的なセーフガード措置
- 政府調達
- 競争政策
- 補助金
- 国有企業,特別な権利又は特権を付与された企業及び指定独占企業
- 知的財産
- 企業統治
- 貿易及び持続可能な開発
- 透明性
- 規制に関する良い慣行及び規制に関する協力
- 農業分野における協力
- 中小企業
- 紛争解決
- 制度に関する規定
- 最終規定
署名式で安倍首相は「EPAへの署名は保護主義的な動きが世界で広がる中、日本とEU が自由貿易の旗手として世界をリードしていく、との揺るぎない政治的意思を世界に鮮明に示すものであり、EPAを礎に今後も日EUが自由貿易の旗手としてWTOを中心とする『多角的自由貿易体制』を堅持、発展させていきたい。」と述べた。日本は本協定による経済効果を実質GDPで五兆円(一㌫)、雇用を二十九万人(〇.五㌫)増えると算段。
第八章・第B節「投資の自由化」に関しては以下は未適用。
- 内航海運/海上運送サービス
- 航空サービス及び当該支援関連サービス
- 音響・映像サービス
第二十章「中小企業」に関しては、特に利益となる可能性・重要性を認識している。日本からであれば、EU内の関税法(手続き)や知財の法令(手続き)、強制規格と適合性の評価手続き、輸入・輸出の衛生植物検疫措置、企業の登記手続き、輸入時の徴収税等を関連サイトにおける情報提供(リンク先)を無償で確保する。実態としては「中小企業連絡部局」を置く。
画像引用:外務省
記事:羽田野正法
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