終戦記念日に考える国防、先の大戦の失敗は国民にある

【政治論説】 八月十五日は第二次世界大戦の終戦記念日。平成三十年は終戦から七十三年が経過した。天皇陛下は平和の天皇として先の大戦を毎年、日本武道館にて顧みられている。


平成は来年で終わる。現在では当時の欧米列強による植民地支配の脅威ではなく、ロシアを含めて東アジアの驚異が平和を阻む。明治と昭和の戦争も国を守る、国民を守るという概念では今と何ら変わらない。明治維新も外国へ驚異から起こった。つまりは防衛である。


九月の自民総裁選を前に安倍晋三(甲午)首相は、八月十二日に地元の山口にて講演した際に今秋の臨時会での自民党『憲法改正案』の提出すべき、との考えを表明。安倍首相は昨年の五月三日「憲法記念日」にビデオメッセージによる改憲案を提示した。九条三項に自衛隊を明記する案で、一項と二項は変えない。これは友党・公明党の「加憲」に配慮したもの。


自民党は既に改憲を野党時代の六年前に発表している。こちらの九条改憲案と安倍首相の改憲案は異なり、石破茂(丁酉)元・防衛相が支持している。他にも先月に新たな希望の党の結党大会が行われ、改憲案を示した。こちらは九条二項に自衛隊の保持を明記する案だ。


国民は国防の為に考えなければならない。東アジアの驚異は依然として存在しているのだから。自身の国、自身の生活は自身達で守らなければならない。全てを米国に頼る時代は終わった。


先の大戦の失敗は天皇大権ではない。当時は軍部が事実上、司法・立法・行政と並列であり、指揮官は大元帥・天皇であった。明治憲法下の天皇は「君主としての天皇」「大元帥(軍人)としての天皇」に分かれていた。昭和の大戦の際、東條英機(甲申)元・首相のみが突っ走ったのではない。昭和十五年、公事結社「大政翼賛会」に共産党を除く国会議員が合流。政党は自発的に解散していた。そして十七年の衆院総選挙にて大政翼賛会は「翼賛政治体制協議会」を結成し、全議席の八割を占める完勝をした。これが決定的だった。つまり、国民及び国会議員並びに報道機関が東條内閣を支持したに他ならない。


現代では国際憲章上で認められている自衛権(個別的・集団的)を体現するのは自衛隊である。事実上の軍事力であり、軍部である。だが明治憲法下と異なり、文民統制(シビリアン コントロール)として行政府(内閣総理大臣)に属する。元は「警察予備隊」の名前で当時の「総理府(現・内閣府)」が管理していた。


先の失敗は東條内閣だけではない。それを支持した国民及び国会議員並びに報道機関が判断を誤ったのだ。内閣も国会議員も世論である国民が支持せずに成り得ない。とどのつまりは、国民の責任である。現代の危機の為に国民は真剣に対処を考えなければならない。当時とは異なる無興味・無関心も日本の未来に対して大いに無責任であり、第二次大戦下の国民に同罪であろう。


秋の臨時会ないし来年一月の常会で憲法が発議された場合には、今から一年以内に改憲の国民投票が行われる見込み。

(了)

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